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駆け出しインフラエンジニアにおける資格の重要性

弊社ケルンでは未経験者の方についてはCCNAを取れるor持っている方しか選考に進むことができません。仮にサーバーエンジニア志望だとしてもCCNAは必須資格と考えています。弊社に限らず、まともにエンジニアを育てている企業では似たようなハードルを設けているケースをよくみます。

逆に無努力の状態から応募可能な会社があれば、それはIT企業の皮を被った派遣会社なので気を付けましょう。

▼参考記事


インフラエンジニアは兎にも角にも資格

なぜ資格が重視されるか。それはインフラエンジニアはポートフォリオの作成が難しいという点が挙げられます。

開発エンジニアは自身の作ったプログラムを実際に相手に提示することで実力を示すことができますが、インフラエンジニアが扱うものはメーカーの機器であり、機器を購入することが困難である上に、こういった機器を実際に揃えて構築をしたとしても次は環境を相手に見せることが困難です。

では学習の質や量はどうでしょうか。

ときどき面接の場で「今はCCNAを勉強しています。」という風にご説明してくださる求職者の方がいらっしゃいます。次に私が「どうやって勉強していますか?」「コマンドは使ったことがありますか?」と質問をすると、求職者の方の反応はさまざまです。

流暢に答える方もいらっしゃれば、化けの皮が剥がれたように何も答えられない方もいらっしゃいます。進捗についても半年かけて合格まで50%という方もいらっしゃれば、1か月かけて90%という方もいらっしゃいます。

何が言いたいかというと、学習量や質は人ぞれぞれで外側からその資質を図るのは難しいということです。

インフラエンジニアはポートフォリオの作成が難しく、かつ、学習の量や質は外側からの判定が難しい。とすれば、資格を取得して学習成果を証明できることが重要です。

とはいえ、資格勉強とはドライに付き合うべき

本を読んで、練習問題を解いて、少しずつ合格に近づいていく・あるいは合格する、そんな行為は自身の向上心を大いに刺激してくれます。自分が努力家であると感じることが出来ます。

これ自体は素晴らしいことですが、あまり懲りすぎると資格学習自体が目的になってしまい、次々に新しい資格・書籍に手を出すことになります。

資格はあくまでも知識とチャンスの獲得です。資格学習をどれだけ頑張ったとしても、実務に取り組むと驚くほどに手が動かないものです。それどころか、学習したはずの内容が穴ぼこに抜け落ちていることに愕然するでしょう。そんなものなのですよね。

そのため資格学習とはドライに向き合うことが大事です。基本的な用語や概念はきちんと押さえつつも、あまり深掘りせず、チャンスを得るためだと割り切ってまずは取得してしまうことです。

取得後にだっていくらでも勉強はできます。忘れる前提で必要に応じて調べなおせば良いです。

アウトプットの学習を取り入れるべき

資格勉強は知識のインプットといえます。対してアウトプットとは実機や仮想環境を使ったコマンドの実施といえます。アウトプットがないと実務では知識を十分に生かすことができません。

例えば野球が上手くなりたい時に理論を学ぶだけでバッティングやピッチングは上達するでしょうか。実際にバットを振ってみる・ボールを投げてみることも重要であると感覚的に分かりますよね。

技術も同じで知識を獲得することと、それを実際に使うことは別問題だと考えた方が良いです。いわば知識を技術に変えるトレーニングが必要なわけです。

そんな理由から弊社では実機を使った研修や、先輩が実際に実務で対応した業務をシミュレーション問題に落とし込んだシミュレーション課題を用意しています。

周りにアドバイスをくれるエンジニアがいない場合にはUdemyがおすすめです。

Udemyとは動画教材を扱っているWEBサイトです。動画教材を購入してPCで視聴することができます。

例えばLinuxをPCにインストールしてコマンドを入力してみる程度の検証動画等あります。こういうのとか。

セール期間中だと数千円で買えたりするのでお勧めです。

検証については技術ブログも山ほどありますので、ネットで探してみるのも良いです。根気がある方であればブログを使えば無料です。不安な方は動画の方が取り組みやすいかと思います。

オススメの資格

インフラエンジニア向けにいくつかお勧め資格を紹介します。

LPIC(Linux Professional Institute Certification)

LPIC(えるぴっく)は、Linuxシステムの管理スキルを証明する国際的な資格です。LPI(Linux Professional Institute)という組織によって提供されます。

この中でも『LPIC-1』がオススメです。LPIC-1ではOSの基礎やコマンドライン操作、ネットワークについて学びます。

サーバのOSにはLinuxが採用されている場合が多く、業務においてもLinuxサーバにログインしてログを取得したり、あっちこっちディレクトリを移動したり、権限確認したりなんてことは日常茶飯事です。どんなシステムを触るにしろ、Linuxのコマンド操作は当たり前に発生します。インフラエンジニアとしては教養レベルの技術になります。

OCA(Oracle Certified Associate)

OCAはOracle技術の基本的な知識とスキルを持っていることを証明する国際的な資格です。Oracle Corporationによって提供されます。

この中でも『Oracle Database OCA』がオススメです。Oracle Database OCAでは、Oracleデータベースの基本的な構成、管理、SQLクエリの実行などのスキルに焦点を当てています。データベース管理者や開発者の入門資格として理想的です。

データベースはどのようなシステムでも利用しますが、その中でもOracle DBは、世界で広く利用されているリレーショナルデータベース管理システムの一つであり、大企業や中規模企業の多くで中核的なデータベースシステムとして採用されています。

加えて、駆け出しの方が初めて参画する業務ではテストフェーズを担当することが多く、テストのデータを組んだり、運用担当者の指示に従ってデータがきちんと登録されているか確認したり等、データベースに触れるシーンがあります。そのため、DBの基礎技術もまたインフラエンジニアにとっては教養レベルといえます。

CCNA(Cisco Certified Network Associate)

CCNAはネットワークの基本的な知識とスキルを持っていることを証明する国際的な資格です。シスコシステムズによって提供されます。

難易度は他の資格に比べてやや高めではありますが、その分、単にネットワークの知識を担保するだけでなく『継続的な学習ができる』という証明にもなります。

CCNAはネットワークエンジニアを目指す方にとっては登竜門のような資格であり、駆け出しの方が初めて参画するような現場においても、Cisco機器にログインしてIPアドレスの変更やpingの実施、DHCPやDNSの確認、ALCの書き換え等、コマンド操作を行うようなシーンは数多く発生するため有用といえます。

また、CCNAはベンダー資格でありながらネットワークの基礎を網羅的に学べるため全てのインフラエンジニアにお勧めの資格といえます。

AWS Certified Cloud Practitioner

AWS Certified Cloud Practitionerは、Amazon Web Services(AWS)の基本的な知識を持つことを認定するエントリーレベルの資格です。AWSによって提供されます。

この資格は、AWSの基本的な概念、基本的なインフラストラクチャ、主要なサービス、セキュリティ、アーキテクチャ、料金、サポートに関して学べます。AWSの概念や基本操作を学ぶイメージです。

駆け出しの方がいきなりクラウドを利用した設計構築業務にアサインされることは稀なケースです。一方で、クラウド技術は2024年現在の東京では広く浸透しており今や案件数はオンプレよりも圧倒的に多い状況です。従って、運用フェーズの業務の中でクラウドに部分的に触れるような機会は今後増えていくことでしょう。

このような理由から、代表的なパブリッククラウドのひとつであるAWSについて、構造やサービスの名称を知っておくことは非常に役立ちます。

資格を取る順序とかアウトプットの仕方とか

各エンジニアごとのオススメの資格を下図にまとめてみました。

▲やっぱりLPIC取るのが一番潰しがききそうです。

サーバエンジニアとデータベースエンジニアにはそれぞれLPIC-1とOCAをお勧めしています。これは実務において、サーバエンジニアの場合はDBをインストールしたり、片手間でDBを触ることがあるためです。データベースエンジニアも同様にLinuxサーバにログインしてOS操作を行うことがあります。

ネットワークエンジニアはCCNAがあれば十分なのですが、実務においてサーバチームと折衝することがあり、OSの知識がないと会話にならない可能性があります。また、運用の現場であればCisco機器だけでなくLinuxサーバにログインしてログ取得するシーンも考えられます。そのためLPIC-1を取得することは有用です。

最後、クラウドエンジニアですがこちらはちょっと特殊。そもそもクラウドエンジニアという職種は最近出来たのですが、どうやらインフラ全般の知識が必要っぽいです。そのため、まずはインフラ全般に対する理解を深めてから、それらを扱うためのプラットフォームの知識を得るという順序が良いと考えます。

▼以下の記事も参考にしてください。

アウトプットの学習についても触れておきます。前章にて資格勉強におけるアウトプットの重要性について説明しました。

例えばLAMP環境(Linux/Apache/MySQL/PHP)でシステム構築の検証を行うシーンを想定した場合、これまではPCにVirtualBOXをインストールして仮想環境にWEBサーバを構築することが一般的でした。

しかし現代においてはPCに仮想環境を作るよりもAWSに契約してしまった方が楽です。(値段もそんな高くない)

AWSに契約し、OS/ミドルウェア/アプリケーションを導入する過程で、AWSの様々なサービスに触れることになります。ここではLPICやOSAの知識が大いに役に立つことでしょう。

また、構築したシステムをインターネット上に公開して自宅のPCから閲覧できるような構成をとる場合にはネットワークの知識が必須です。ここではCCNAの知識が大いに役に立つことでしょう。

このようにクラウドではインフラ全般の知識を広く使った検証が出来ます。部分的に検証するだけでは得られない、生きたシステムを作るという充実感を得られますし、その結果システムの全体像について理解が深まります。

オススメの勉強方法

私はCCNAやCCNPに関してほとんど満点に近い点数で合格しました。(当時は点数が公開されていました。)

勉強法はひとぞれぞれであることを念頭におきつつも、私の勉強法をひとつ紹介させていただきます。

教科書は1冊を繰り返し読む

私の場合は教科書は最低でも3回は読むようにしています。

1周目はさらっと読みます。理解度でいうと30%くらいだと思います。ここでは理解というより、資格の全体像をなんとなく把握することと、出てくる単語をなんとなく把握することを目的にしています。

IT資格の勉強にありがちなのですが、教科書の前半で登場する概念の解説が、後半に登場する概念を前提としていて所見ではイマイチ何を言っているのか分からないということがあります。そのため1周目に理解しきることは非常に効率悪かったりします。

このような理由から1周目は全体像をなんとなく把握することに努めて、さらっと読むようにしています。

2周目は精読します。70%くらいは理解するつもりでじっくり読みます。教科書の構成を1周目で把握しているため、前半と後半を行ったり来たりしながら読みますし、教科書の書き方で理解できない場合はインターネットを使って違う角度からの解説を読んだりもします。立体的に読むイメージです。

ただし、ここでも30分程度考えて理解できなければ「今は縁が無かった」とすっぱり諦めて次に進みます。なので70%の理解です。残り30%は問題集を解いたりしながら徐々に埋めていくことになります。

3周目は問題集を解き始めた頃に読み返します。しっかりと理解できているところはもう読む必要がないので、辞書のような扱いになります。

また、私の場合は基本的にはノートは取りません。

基本は頭の中で整理しながら読み進めます。書くという行為は、文字を書くのに単純に時間がかかりますし、字を間違えたら消したり、綺麗にまとめたくなってしまったりととにかく非効率的です。

私がノートを取るシーンとしては、頭の中が混乱した際にそれを整理するために紙にアウトプットします。複雑な概念は誰かに発表するくらいのつもりでA4のコピー用紙に綺麗にまとめます。だらだらと書かないためにA4用紙1枚にまとめるというルールを設定しています。

で、それをしばらくデスクの近くにでも貼っておきます。時々見返すことで自然と記憶に定着します。「覚えたな」って思ったらぐちゃぐちゃに丸めてゴミ箱にポイです。

問題集を繰り返し解く

問題集は繰り返し解くことになるので、合格者のレビューを参考にしつつ良質な書籍を選ぶようにしています。とはいってもインフラ資格であればPing-tでほとんど網羅的にWEB学習できます。

問題集を解くコツとしては、連続正解した問題はもう解かないことです。問題の数が多い中で既に理解している問題を繰り返し解くことは非効率的です。ネット教材であれば連続正解した問題を問題集から省く機能を使います。紙であれば問題番号の横にでもしるしをつけておきます。

注意ポイントとしては、『正解』とする基準を厳しく持つことです。例えば文章から答えを暗記してしまっている問題や、あやふやな気持ちで回答した問題については、たとえそれが正解であっても不正解ということで処理します。きちんとロジックを説明できることが正解の基準です。

また、何度か間違えた問題は理解が足りていないということになるので、教科書やインターネットで調べなおします。

調べなおした問題のみピックアップしておけば『自分だけの苦手分野の問題集』みたいなものが作れます。これを試験直前にチェックしておくこともオススメです。

アウトプット学習を取り入れる

アウトプット学習の重要性はこれまでに述べた通りですが、こと資格勉強に限定してメリットを述べるのであれば『記憶への定着を助ける』ということでしょうか。

教科書を読んで問題集を解くだけでも十分に学習効果はありますが、やはり手を動かした方が細かいトラブルへの対処で知識が深まります。

記憶に関する科学を知っておく

学習において記憶の科学を知っておくことは役に立ちます。

まず記憶には短期記憶と長期記憶があります。PCに例えるならば短期記憶がメモリで長期記憶がハードディスクでしょうか。

昨晩の夕飯のおかず、今朝の電車の時間のような短期間にしか必要のない雑多な情報は短期記憶(=メモリ)で処理されます。

逆に取引先の担当者の名前だとか、勤務地への電車の乗り換え等は長期的に使用する情報であり長期記憶(=ハードディスク)で処理されます。

つまり、学習においては学んだ知識を長期記憶(=ハードディスク)に入れていくことが重要になるわけです。

では、どうしたら学んだ知識を長期記憶に保存できるか、これはある程度は科学的に証明されています。簡単にまとめると以下の2つです。

・数多くその知識に触れること
・五感を使って触れること

数多くその知識に触れることというのは接触回数を意味します。例えば、100個の英単語を10日で覚えるとした場合に、1日10個の単語を10回ずつノートに書いて覚えるよりも、1日に100個の単語をノートに1回ずつ書いて覚えた方が記憶に定着しやすいということになります。ノートへの書き込み回数は同じ1000回ですが、接触回数でいうと前者は1回、後者は10回になるためです。

また、ただ書くだけでなく、声にだして発音してみることで五感が刺激されより記憶に定着しやすくなります。

このように、接触回数を増やすことと五感を使うことを意識して学習に取り組むことで通常よりも記憶への定着が良くなります。

IT資格の学習において、教科書を繰り返し読む・問題集を繰り返し解くというのは接触回数を増やすことへの対策であり、アウトプット学習を取り入れるのは五感を使うことへの対策となるわけです。

ダメだと思う学習方法

教科書が付箋だらけ、マーカーだらけ、ノート何冊目みたいな勉強法は避けた方が良いです。

付箋を貼るよりもネットで検索をした方が情報へのアクセスは早いです。マーカーで強調することは知識のインプットに先入観をもたらします。ノートに書きこむことよりも実際に手を動かした方が効果的です。

この中でもノート作りは特に時間を奪います。文字を書く行為自体に時間がかかりますし、字を間違えたら消したり、綺麗にまとめようと色ペンを使ってしまったり、とにかく時間を奪います。

上記のような学習方法は自分の努力が可視化されることで充実感は得られますが効果はいまいちだと私は思います。

とはいえ、楽しみながら学習できることはひとつの成功の秘訣でもあるため批判することは野暮かもしれませんね。

まとめ

  • インフラエンジニアはポートフォリオの作成が難しいため資格を取得して学習成果を証明することが重要である。

  • オススメ資格は『LPIC-1』『OCA』『CCNA』『AWS-CCP』である。

  • 教科書や問題集は繰り返し解きつつ、アウトプット学習を取り入れることで効率よく資格取得できる。

以上、ここまで読んで下さりありがとうございました!

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