オールオアナッシング(2023/03/20記)

米銀行破綻の話題が欧銀行問題へ飛び火し、当局が対策を講じ、状況は解決に向かうのか更なる悪材料でリーマンショックの再来となるか、予断を許さない。一旦、こういう問題が表面化すれば今まで氷山の下に隠れていた問題が連鎖的に表面化する可能性が強いように思う。youtubeやラジオなど「リーマンショック」という言葉が途端に多く使われるようになった。杞憂に終わる可能性もないわけではない。例えば問題が解決し「リーマンショックの再来」が杞憂に終わる確率が20%だとしよう。しかし、20%という数字の意味が起こるか起こらないかの確率であって、20%くらいの惨状になるということではない。起これば100%の惨状であり、起こらなければ0%である。生きるか死ぬかのロシアンルーレットを考えれば20%の確率は決して低い数字ではない。それが起これば100%死ぬのである。オールオアナッシングである。今は死なないように株価の下方向に備えるのが賢明ではないかと考える。

オプションも似たようなところがあって、現在日経平均株価は27000円程度だが26000円のプットの買いを保有していたとしよう。SQ値が26000円以上で着地すれば26000円のプットはゼロになってしまう。SQ値が30000円でも29000円でもそれは関係なく26001円でも26000円のプットはゼロだ。ところがSQ値が26000円以下であれば26000円のプットはとてつもない価値になる。4月SQまで4週間弱あるが、現時点での各権利行使価格のプットの価格の並びを見れば上から下に向かうに従って当然のことながらプットは値を下げていく。それはグラフにすれば穏やかなカーブを描いている。しかし、SQになればSQ値より下はすべてゼロとなりSQ値より上は右肩上がりの直線となる。SQ値を境にして天国と地獄である。このことが数字としてはっきりするのは残存期間が1週間を切った時である。日経平均株価よりも下の権利行使価格のプットは日ごとに急速にゼロに向かって低下していく。日経平均株価よりも上の権利行使価格のプットはほとんど変わらないのである。これを目の前で見たときにSQ持ち込みの決済という現在の戦略の発想が浮かんだ。こういうところにもオプションの特異性と面白さを感じる。

さて、日経平均株価は27000円前後でここ数日上下している。金曜日と比較してそれほど大きな下げではないが、日経VIは22以上。FOMCを控えて、また金融不安も払しょくされたわけでもなく、株価下落にリスクを感じているといったところか。

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