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あけちかし

あけもどろの中に
一筋の光が
浮かびあがるとき

わたしは 幻聴のなかに
あの子の声を聴く

壊れかけたアンテナは
意味不明な言葉を
発しながら

わたしを狂気へと
追いやってゆく

時計は 沈黙を守ったまま
死への秒針を走らせて

真実のヴェールを
剥ぎ取ってしまう

偽善で塗り固められた俗塵は
盲目のアンドロメダによって
すべてを白日のもとに
晒される

そして
わたしは 明けの明星を
片目でみながら
しずかに 筆を置いた

たいいりょう

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