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綿矢りさ『パッキパキ北京』

完全に題名で買いました。で、読んだ結果ですが直感があっていました。おもしろい。感想を一言をでいうと、赤白ボーダーTシャツを着て中国へ旅行に行きたくなる小説です。

旧暦の新年を迎えてからというもの、春節の季節を遊びつくそうと躍起になった。街中ランタンで赤い上に、まだしつこくクリスマス飾りも残っていてサンタクロースもいるから余計赤い。ほんとうこの街には色んな赤色がある。街の装飾も人の服の色にも色んな赤がある。バラや血のような暗い赤、ピンクが潜んでるチープキュートな赤、ほとんどオレンジに近い太陽みたいな赤、錦鯉の赤、くすんだ甘い小豆色の赤。ピジョンブラッドは鳩血赤と書かれていた。そして街中で見かける国旗の赤。「赤って200色あんねん」と言われれば「いや体感だともっと種類がある気がする」と答えたくなるほど中国には赤の種類が多い。

集英社『パッキパキ北京』P88

中国人の元気があるところがよく表現されている箇所で、ものすごく好きな文章です。彼女のコロナに感染し克服してからの猛烈な勢いは読者を圧倒していきます。むだな付き合いをなくすためにわざと嫌われるようなことを言うところも処世術としてまねしたくなる。彼女の思考はつねにシンプルだ。たのしく生きていくためにどうしたらよいか。人生は短い、無駄なことをする時間はない。さらに郷に入っては郷に従えのいにしえからの言葉にも忠実なのがおもしろい、中国に来たら中国ブランドの派手な服をきて、地元の人が食べているものを食べる。

そして以外にも人の意見を素直に聞くところもあります。夫から魯迅の『阿Q正伝』の話を聞き。小説の中ではネガティブに描かれている阿Qの精神勝利法をすばらしい考えだとスーパーポジティブな思考回路を持っているところも面白い。『めっちゃエコじゃん、阿Q天才じゃね?』もすばらしいセリフです、私の脳みその中に永遠に残っていく箇所になるでしょう。

そして『差不多❕チャープドウオ(大差ない)』という中国語も破壊力抜群でした。私も中国に行って韓国人に間違われたときに『日本人、差不多❕』と言ってみたいものです。


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