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フリーズ!

 久しぶりに、なかなか食べられないパスタの専門店に行く。
人気店だけあって待合室は一杯で外にも溢れている。待つことは覚悟の上なので、予約表の6番目に4人と記入する。
本名は書かない。今日は大谷翔平と書いた。
呼ばれる時の驚く顔がいつも楽しみ。時に誰の名前を書いたかわからなくなる。
ま、それはいいとして1時間は待った。
 やっと席に着くと接客のお姉さんが、机上のタッチパネルを指差し、こちらで注文してくださいと言う。
お水もセルフだといい、持ってきたのは一枚のアンケート用紙だけ。
『ん?以前来た時よりだいぶ変わったようだ。ここも人手不足か』
 タッチパネルでメニューを見るが動かし方がイマイチわからない。
4人がああでもない、こうでもないといったりきたり。
パスタの種類も多いせいか見るだけで時間がかかる。更に他のサラダやパンを注文すると、何が何やらわからなくなる。
どうにか、最後の注文確認画面までこぎついた。ここまで15分はゆうに掛かっている。
ちょっとイラつく。
そして、最後の金額が表示され確認ボタンを押すと、タッチパネル画面の真ん中が丸い渦のようにぐるぐる回りだす。
ちょっとヤナ予感。
しばらくそのまま待つが、画面は変わらず依然渦が回っている。
痺れを切らし画面を指でもう一度押す。
するとナント画面は最初の画面に戻り
『最初からもう一度入力してください』
とメッセージ。
「は?今までのは全部消えたわけ?」
4人が顔を見合わせぶ然とする。イラつきながら同じように再度入力する。今度は多少早い。
そして、最後の確認画面
「これでよろしいでしょうか」
と出たので、OK ボタンを押す。
すると、今度はぐるぐるの渦は出なかった代わりに、画面が固まってしまった。
これ、多分フリーズちゅうやつ。
『ええ加減にせんかい!』
イラつき頂点!
手を挙げて、お姉さんを呼ぶ。
でも、決して怒った顔はしない。年寄りは、いつもニッコリ穏やかに事情を説明する。

「申し訳ございません。改めてご注文をお伺いします」
お姉さんが申し訳なさそうに丁寧に頭を下げる。

『最初から口で聞いてくれよ』
後から来た若い二人の隣の席は、もう食べ終わってるで!

「カルボナーラモルトアルデンテ1、ヴォロネーゼアルデンテ2、等々、、、以上でよろしいでしょうか。では復唱します」
『復唱はええから早よ持って来てや』
もう聞いてもないのに笑いながら頷くしかない。
やっと復唱が終わったかと思ったら、テーブルの上にあるアンケート用紙を見て
「大変お手数ですが、改装になりましたのでこのアンケートのご協力をお願いします。あっ、ペンを只今持ってきます」
と言ってペンを取りに行った。

とうとうこっちまでフリーズしてしまった!

『さすが人気店。簡単には食べさせてもらえないわ!』

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