今日

ケヤキの若葉が風にそよぐのを見た
ああ
こんなに柔らかくて淡い緑だった

高層ビルの中庭の日陰で　ひっそりと立つ木の葉が
さやさやと揺れ陽を受けて光った

知ってるよ
きみたちがいっせいに芽吹いて　そのよろこびを
手を広げて空はみていたのを
知ってるよ
きみたちが　いのちの続きの物語を語るのを

なのに

ひとはきみたちを憩いの場にして安らぐ鳥たちの
鳥たちの噂を始める

また　来るよ

また来るよ

羽が飛び

糞をまき散らし

群れて喧しく鳴くんだよ

また　来るよ

どうする？

そうね

ねえ

だからさ

木を切るの

枝を切るのよ

葉っぱなんかいらない
あのこたちが来るから

大きな空も　そよと吹く風も
なみだをいっぱい溜めて
したを見おろすの

あのこたちが来る前に
さあ
木をお切りよ
さあ
葉っぱを間引くの

あのこたちがくるまえに

ひとの声が　日増しに大きくなる