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地元の学校を手本にしようとしないでほしい件 -Ep.4: 地方分権編-

このシリーズは教育面でイメージの良い私の地元の学校制度の課題を指摘するものである。


地方分権が与える教育への影響

日本で一時期"地方分権ブーム"があった気がするが、連邦/連合/合衆国は地方分権の最たるものなので、そのような制度が導入されている国で育った身として、実際どんな感じかお伝えしたい。何気に教育関係にとりわけ悪い影響を与えている。

格差+各々で好き勝手やっちゃう政策+政治

基本法により「教育は各地方で法律を定めること」となっている。するとどう言うことが起きるかと言うと、中央で仕切る人がいないので、地域差が大きくなる。大学入試がわりとなるAbiturさえ合格基準が同じではないため、どこで取得したかで行ける大学が変わってしまうと言う問題がある。
各地の政府がそれぞれ動くため予算投入の障害があることや、無駄な仕事を増やしていると言う指摘もされている。

政治的なカリキュラム

学校のカリキュラムは州政府が決める。つまり細かい指定がされておらず、専門家があまり関わっていない。すると政権の意見が優位になり、特定のイデオロギーが入り込みがちになる。どの地方に生まれたかによって、どこの学区で学校に通っているかにによってどのような思想を持つことになるかが決まってしまう。
地方分権により思想が多様化するはずが、地方ごとに統一してしまうのだ。

州単位で教育格差が大きいことはすでに広く知られている。
コロナ渦の期末試験なんて、過去にSchleswig-Holsteinが「うちでは今年は実施しません」と宣言したところ、他の州「え、うちらもうやってんだけど?」と差が生まれてしまったことがある。そこで各州の教育大臣が集結「全州で実施しましょう」と結論を出したものの、Nordrhein-Westfalen「いや、とはいえ同じようにはいかないからちょっと方法変えちゃおう」と独自路線を始めた途端、他の州が「あ、うちも特例作ろうかな」と言い出してまたバラバラになってしまったことがある。

世間的には「南部の方が学力に厳しい」と言われている。今でも学校の振り分けは厳しく成績ベースになっており、その点数の基準も昔から厳しめに設定されているる。全体的に”保守的”な州であると言われているため、昔ながらの「しっかり勉強」する感じが好まれてるようだ。他の州ではむしろ緩くなったようだが正直よく知らない。

大学合格基準について

私の出身国ではAbitur(通称Abi)といって卒業試験と大学入学試験を兼ねたものを13年生で受けるのだが、これは全国的に実施されている。しかし、問題や合格基準は州によって異なる。
すでに書いた通り南部の方が採点が厳しい。例えば北部でAbiturを受けた学生「他の地域で大学に通いたい」となった場合、「君、合格したっていうけど北部出身でしょ…?」と言われてしまうことがままあると言う。

結局のところ地方分権とは

州とはBundes"land"と言う名の通り、全て違う"国"である。行き来にパスポートは必要ないが、全く異なる法律が適用されている。日本で例えるなら昔の藩をイメージすると良いかもしれない。
各地域の住民が自分たちの暮らす地域に合わせて立法できて、快適な生活環境を構築できることが地方分権の強みなのだが、教育に至っては今回記述したように問題点が多い。少なくとも国内で教育格差が出てしまうのは如何なものかと考えている。

正直何とかして欲しい。格差がある限り私が北部出身だと言いづらいではないか。

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