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新年一般参賀のススメ

私の地元に上皇陛下と上皇后陛下(当時の天皇皇后両陛下)がいらしたことがある。日本人駐在員全員に領事館から、ご挨拶か何かに赴くように御達しがあったそうだ。土砂降りの雨で、ライン河沿いのヘリポートに降り立ち、そこからレッドカーペットが敷かれたそうだ。領事館の職員たちは傘を差し出し頭を下げ、両陛下を見ることは許されなかったという。父の知り合いによると「上目遣いでチラ見はした」んだとか。
私はその頃赤ちゃんで、子供の参加はNGとのことだったので大手企業に勤める知り合いの家に預けられ、両親は両陛下に会いに行った。

私はしょっちゅう海外の話をしているが、実は平成の日本に生まれた。私にとって上皇上皇后両陛下は特別で、自分が生まれた年に天皇、皇后に即位された。「一度くらいは本物にお会いしてみたいなあ」とは思っていた。大学の同級生が上皇陛下とお話しをしたという話を聞いて心底羨ましかった記憶がある。彼女によると「オーラがハンパない。陛下の周りだけ時間がゆっくり流れてる。」とのこと。
ある2019年の冬、私は「上皇上皇后両陛下は一般参賀のお出ましは来年で最後になる」というニュースを聞いて、一度は行ってみたかった一般参賀に行ってみることを決意したのである。就労支援の知り合いと2人で朝行って、もう1人は朝は難しいとのことだったので一緒に昼食をとる約束をした。

2020年1月2日朝6:00過ぎだったか、父が送って行ってくれるというので知り合いを家でピックアップし、皇居へ向かい列へ並んだ。整列していると紙でできた日本国旗を配ってくれる人が現れたので受け取った。あとで調べるとボランティアが寄付金を募りながら実施しているらしい(皇居一般参賀 国旗小旗配布事業へ寄附のお願い|日本文化興隆財団 - 日本のこころ [Heart of Japan])。警察官や警察車両が行き交い、厳戒態勢であることを感じた。ちなみに列の先頭は「天皇陛下万歳」という横断幕を掲げ特攻服のようなものを着たいかついおじさんたち。なんだかよくわからないけどすげー。

列は7:50頃に動き始め、セキュリティチェックへ移動。ボディチェックのテント前にはちょっと珍しい警察車両が鎮座していて英語で"THANK YOU FOR YOUR COORPORATION"と何かしら英語の案内も出ていた。こんな車あるんだ?と思ったし、外国人観光客も来るんだなあと陛下パワーを感じた。

8時から江戸城(多分)が見える広場で再び待機。番号札が立っており、指定の箇所に整列。9時を過ぎると列が動き出した。道端には「【宮内庁からのお願い】お出まし終了後は次の方のためにご退出をお願いいたします」の看板が。もう3時間並んでいる身だ。次の人がこれ以上待たされるのはかわいそうだ。終わったら速やかに移動しよう。二重橋を渡って正門をくぐる。なんかおめでたい感じの雅楽が聞こえてくる。雰囲気作りもしてくれている宮内庁。正門には皇宮警察の方も立っていた。制服が超かっこよかった。

正門を通過すると早速「自撮り棒禁止」の看板が。危ないもんね。9:20過ぎ、また別の橋を渡る。眺めがよく、そして待機中の後ろの列が一望できる珍しい景色に参列者が写真を取り始める。「立ち止まらないでくださーい」と移動を促す警備員。それを動画に収める私。そしてそのまま次の門をくぐると「あの」バルコニーが出現!後ろにはお立ち台が組まれており報道陣がびっしり。バルコニー向かって斜め右あたりに空きスペースがあったのでそちらへ。連れがオタクダッシュを発動するも警備員のお姉さんに制止され失敗。皆さんも走らないようにしましょう。危ないですからね。

お出ましを待っていると様々なアナウンスが。そしてやはり英語アナウンスも。これは観光客フレンドリー。上空には報道陣と思しきのヘリが飛び交う。
電光掲示板には「次回のお出まし時間は、10時10分の予定です。」と表示がされ、「お出まし時間」はここでしか聞かないワードかもしれないと思っていると、画面が"Imperial Appearances: c.10:10 a.m."、「下一次朝敬时间:上午10点10分左右」に一定時間で切り替わることが判明。午前って中国語で「上午」っていうんだ、と学びを得るなどした。そもそも中国人来るんだ?!という驚き。中国のネットでは「日本は唐時代の博物館」と言われているようだが、「もし中国も王朝が続いたらこんなだったかな?」と考えたりするのだろうか。中国人のみなさん、もし読んでたら教えてください。

他にも不審物に関する掲示が。

10時が近づくにつれ「宮内庁からお願いいたします。持ち主のわからない荷物など、不審な物を見かけた際は触ったりせずにお近くの係員、または皇宮護衛官までお知らせください。皆様のご協力をお願いいたします。」の大きめのアナウンスが繰り返される。見物人は呑気だが、関係者は気が気じゃなことがなんとなく伝わってくる。このイベント、皇族の皆様がお出ましになるのだから何があっても不思議ではないのだ。

そして10:10分を回ったところ、皇族の皆様がバルコニーに登場。ギャラリーが頭上に旗を掲げ「天皇陛下万歳ーーー!!!」と叫んでいて肝心な陛下が見えない…でも隙間から秋篠宮家眞子内親王殿下(当時)が見える。そして双眼鏡を持ってきてよかった。上皇上皇后両陛下と、天皇皇后陛下をこの目でしっかりと見ることができたし、天皇陛下の肉声を生で聞くことができた。そしてご挨拶になるとみんな静かになり日の丸を下ろす。さすが陛下の前。マナーがいい。

そして皆様手を振ってくれる。

と…尊い!!!

当たり前だけど尊い!!!お出ましが終わると「陛下って実在したんですね!!!」と大興奮で知り合いとその場を立ち去った。ちなみに速やかな退出を促すアナウンスも英語版があり、電光掲示板も日英中あった。これも見逃せないのが言語オタク。

速やかに退場して宮内庁庁舎前にたどり着いたのが10:25頃。そこでも英語で滞留しないようアナウンスが。皇居内の皇宮警察本部坂下護衛署供溜警備派出所という(個人的には)珍しいものを横目に皇居外へ向かっていると、十月桜?が咲いているのを発見。10:40でやっと表通りへ。こちらももちろん交通規制中。

皇居外苑でお昼を食べたいので出店が出ているところや大量の警察車両と観光バスを横目に楠公レストハウスへ。もう1人の知り合いと合流に成功。
この日のランチは天ぷらとかき揚げうどんと、江戸エコ行楽重、国産牛のローストビーフ一汁三菜御膳の三種類。3人で仲良くローストビーフを注文。11時というちょうどいい時間に昼食。

この写真、ローストビーフも地味でしょぼく見えるでしょ?それがね、

とんでもなく美味しいんです、これ。

1,500円でいいの?っていうくらいローストビーフだけじゃなくて全部が全部美味しい。お米に漬物まで美味しいと思ったのは初めてかもしれない。皇居にお出かけの際はぜひお立ち寄りください。おすすめです。

絶対行ったほうがいい

食事をしながら知り合いと「陛下マジ尊かったな!!!」「陛下って実在したんだ!!!」「感動する。日本人なら一度は来るべき!!」「並んだ甲斐あったわ」と一般参賀を大絶賛。
でも大げさではなく、本当にそうなのだ。一度でもお顔が見れてよかった。後悔はない。あの強烈の待ち時間の先には強烈な感動が待っている。正直私もここまでテンションが上がるとは期待していなかった。

行かれたことない方、是非行ってみましょう。そして行けるなら足腰が元気なうちに行きましょう。人生に一度は経験しておいて損はありません。
特に今年2024年は成年皇族となった愛子内親王殿下が初めてお出ましになるので、同い年の方なんて記念にいかがでしょうか。

以上、新年一般参賀のススメでした。

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