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宗教や信仰についての雑記 #13

◯紙を切る作業

だいぶ昔の話ですが、私が失恋の苦しみに苛まれていたとき、同じクラスのあまり親しくもない友人が、休み時間に隣の席で、何かに使うために紙を何枚も一定の大きさに切っていました。

そしてぼんやりとその様子を眺めていると、「暇なら手伝って」と頼まれて数枚の紙を渡されました。
鬱々としていて断る気力もなかった私は、渋々紙を切りはじめたのですが、その作業をしている間は心の苦しさを忘れることができたのです。

些細なことやつまらないことに思えても、今目の前にあることに集中して取り組むことには、そのような効果があるのだと、目から鱗が取れた気がしました。

時の経過が心を癒やすということが、「時薬」や「日にち薬」という言葉で呼ばれることがあります。
それと同じように、今目の前にあることに集中して取り組むことが心の痛みを和らげることを、「今薬」とか「目の前薬」なんて言葉で呼んだらどうかな、などとつまらぬことも考えたりしました。

それはともかく、あのときあまり親しくもない友人が、紙を切る作業を頼んできたのは、遍在する「実在」からの恵みだったのかもしれません。

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