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宗教や信仰についての雑記 #16

◯不正報道

昨今、政治家や企業の不正が様々なメディアで報道されています。少し前には、科学者の論文や科研費の不正なども報じられました。
これらの不正の原因は、まず第一には当事者のモラルの問題なのでしょうが、それに加えて、行き過ぎた競争主義があるように思います。

互いに競い合うことは、人々の切磋琢磨を促し、その結果、製品やサービスや研究成果の向上をもたらします。
競争がなければ、かつての共産主義の国のように、社会が停滞してしまいます。
ですが、何事にも限度というものがあります。ある一つの面を強調して、それを至上のものとみなしてしまうと、他の面が見えなくなってしまいます。
現実の人間はそんなに単純なものではありません。一つの面しか見えなくなると、知らぬ間に他者を傷つけることにもなりかねません。

オーストリアの精神科医、ヴィクトール・フランクルは、決まった主義や理論に縛られることで生じる硬直的な考え方を批判していました。彼はこのような考え方を過度な抽象化や単純化とみなし、人間の豊かさや多様性を無視するものだと考えていました。

ですから、「〇〇主義」や「〇〇理論」などと呼ばれるものには、そういう傾向があるのだと認識しておいたほうがいいようです。
でもそうなると、「宗教多元主義」にも「主義」という言葉が入っていますね。
この考え方も、特に諸宗教の向こう側にある「実在」を語る場合には、既存の宗教を篤く信仰している人を傷つけてしまう恐れがあるということを、よくよく肝に銘じておかなければならないのでしょう。

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