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宗教や信仰についての雑記 #19

◯兄弟への眼差し

浄土真宗の宗祖である親鸞聖人は、自分は父母の供養のために念仏を唱えたことはない、と語っていたそうです。
その理由の一つとして、この世の生きとし生けるものは皆、父母兄弟のようなものだからだと言ったそうです。

その話を聞いて、「ウルバイラテリア仮説」という仮説のことを思い出しました。
これは、今の左右相称動物は、太古に生きた共通の祖先から枝分かれしたものだという仮説らしいです。
そして、その仮説は、今の多くの動物種が非常に似かよった相同な遺伝子群の働きによって、個体発生していることを根拠としているそうです。

そうであるならば、海老や昆虫や、鳥や蝙蝠や、ネズミや人間のような、棲むところも食べるものも、大きさや色形も異なる、様々な多くの動物がみな共通の祖先を持ち、相同な遺伝子群の働きによってこの世に生まれてきた、まるで兄弟のようなものだということになるようにも思います。

そしてそのことは驚くべきことであると同時に、我々に問いかけてもくるのです。
その知識を智恵に換えられるか、それにより行いと生き方を変えられるのかと。

小枝の上を這う芋虫や、路上に墜ちた蛾の骸にさえも、兄弟に向けるような眼差しを持つことができるならば、そのとき我々は自ずから、行いと生き方をより良い方向へと、変えることができるようになるのでしょう。

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