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Netflixから考えるサブスクリプション

サブスクリプションモデルとは?

現在では利用しない日がないと言ってもいいほどサブスクリプション(=サブスク)は人々の生活に広がりました。
皆さんも映画や音楽を楽しむためにサブスクリプションサービスを利用していると思います。
私もNetflixやAmazon Primeなどにはお世話になっています。
そんなサブスクリプションモデルについて改めて考えていきたいと思います。

そもそもサブスクリプションモデルとは1か月や1年など期間ごとに決められた利用料を支払うことで、様々なコンテンツやサービスが受けられる形態です。

インターネットが普及する前にもサブスクリプションサービスと言われる形態はありました。
新聞や雑誌の定期購読などがその例ですが、急速なデジタル化によって瞬く間にその市場が広がりました。
今では音楽や映像作品などのデジタルコンテンツに限らず、自動車や食品業界でも活用され始めています。


サブスクリプションモデルのメリット

サブスクリプションモデルはサービスの利用者にも提供者にも大きなメリットがあります。

利用者にとってのメリットは気軽に様々なサービスを利用できることです。
動画配信サービスでは観たいと思っていた作品だけでなく、少し気になっていたという作品まで定額で視聴することが可能です。
暇つぶしにちょっと観てみるかというドラマが非常に面白く、夜更かししてしまった経験もあると思います。
このように気軽に多くの作品やサービスに触れることができることが利用者にとってのメリットです。

一方で、提供者のメリットは商品やサービスをその都度販売するよりも継続的に一定の利益が見込めることです。
利用者が解約しなければ常に利用料を集め続けることができるため、将来的な予測を立てやすく、思い切った投資や決断をしやすいとうメリットがあります。


このサブスクリプションモデルを成功させるためには新規顧客の獲得と既存顧客の囲い込みの両方をバランスよく行うことが大切です。
途中解約の数をできるだけ減らし、新たな利用者を獲得することで安定して収益を伸ばすことができるのです。


サブスクリプションモデルで大切なこと

モノを販売する従来のサービスはモノを販売した時点で利益を得ることができるため売り切り型モデルと呼ばれています。
このモデルでは販売数を伸ばせば伸ばすほど利益が大きくなるので、いかに商品を多くの顧客に購入してもらえるかが重要になります。

そのため、売り切り型モデルの企業は宣伝や広告といった商品の売り込み方を追及し、顧客への関心や購入後の満足度についてはあまり重要視していない場合があります。

つまり従来の売り切り型モデルにおいては、提供する側は商品を主体としていると言ってもいいでしょう。

一方でサブスクリプションモデルは継続モデルと呼ばれます。
サブスクリプションモデルで最も重要なことは、いかに顧客満足度を高いままキープして途中解約を防ぐことです。

売り切り型モデルとは異なり、サービス提供者と顧客の関係性が途切れることなく続いていくサブスクリプションモデルでは、提供する側の焦点は顧客側にあり、「ユーザーは今何を欲しているのか」を考え続ける必要があるといえるでしょう。


Netflixはなぜ優れていた?

Netflixは言わずと知れた動画配信サービスの世界的な企業です。
世界シェアでは1位を誇っており、世界で利用されている超巨大動画配信サービスといえるでしょう。

冒頭でも述べましたが、定額課金のサービスは雑誌や新聞など古くから存在していました。
そして近年では「モノ」を提供するサービスから「体験」を提供するサービスへと移行しています。


Netflixのサービスはこれまでのサブスクリプションモデルとは異なり、好きな時に好きな場所で制限なくサービスを享受できるというものです。
従来のサブスクは一度商品を利用すると次に商品が届くまでは待機するというものでしたがNetflixは待機の時間をなくしたと言えます。

また、Netflixの特徴の一つに目的と価格選択の多様性があります。
4Kなどの高画質なコンテンツを楽しみたい層には高額なプランを、スマホでしか視聴しないような層には安価な通常画質のプランなど、用途とニーズに合わせた価格選択を可能にしました。

また、多額の資金をオリジナルコンテンツに投入して一般のテレビ局では太刀打ちできないような大規模な作品を制作して他を圧倒しているのです。
この多額の資金は毎月得られる利用料からきています。
このようにある程度の資金の予測ができるからこそ大規模なオリジナルコンテンツを作成できるのでしょう。


サブスクリプションモデルも安泰ではない?

飛ぶ鳥を落とす勢いのNetflixにも経営に影が差しています。
自前の配信サービスを持つディズニーなどが、Netflixから相次いで作品を引き上げ、自社サービスでの独占配信に舵を切ったのです。
また、ディズニーだけでなく様々な動画配信サービスの競合が増えたのも影響しています。

シェアを伸ばすライバルに対抗するためにNetflixは広告付きプランを導入しました。
広告付きベーシックプランは従来のプランよりも安価で利用することが可能です。
その代わり、YouTubeのように広告を閲覧することになります。

広告モデルを取り入れる企業側のメリットは広告主から収益を得られるようになることに加え、顧客データを活用した広告ビジネスが可能になります。
一方で顧客側のメリットは安価でサービスを利用できることです。
これまで価格の問題で加入しなかった人にも門戸を開いた形になります。


このようにサブスクリプションモデルだけで一生安泰な企業はありません。
収益の上げ方だけを工夫しても良いビジネスが生まれるわけではないのです。

サブスクリプションモデルは一定以上の顧客規模が見込める高いニーズのある商品・サービスであること、継続して頻繁に利用されることなどと言ったいくつもの条件とのバランスを見極めたうえで成立するビジネスモデルなのです。

今回Netflixはサブスクリプションモデルだけにこだわらず広告モデルを採用しました。
稼ぎ方だけにこだわらずに複合的な視点でビジネスモデルを構築していく必要がありNetflixは柔軟な決断をしたと言えます。

このような柔軟性が常に成長していくことができる企業の必須条件なのではないでしょうか?

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