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フィリップモリス 〜ビジネスモデルの大転換を行うたばこメーカー~

概略

フィリップ・モリスはアメリカのコネチカット州に本社を置き、スイスに統括本部を置く世界最大のたばこメーカーです。

フィリップ・モリスは2008年に訴訟リスクを避けるためアメリカのたばこ企業アルトリアからアメリカ国外の事業を担当する企業として分社化して誕生した企業です。

世界売上高首位の「マールボロ」をはじめ、有力銘柄を保有しています。

また、加熱式タバコのiQOSが第2の柱に成長しており、無煙製品の分野でも強化をしています。

フィリップ・モリスの製品は世界180カ国以上の国で販売されておりまさにグローバル企業と言えるでしょう。

たばこ業界の現状とフィリップ・モリス

現在は健康志向の高まりとともにたばこ業界は逆風にさらされていますが、たばこ業界にはフィリップ・モリス、アルトリアの他に以下のような4社があります。

  • 中国烟草総公司(国営)

  • ブリティッシュ・アメリカン・タバコ

  • インペリアル・タバコ

  • JT

中国烟草総公司の市場シェアは4割を超えていますが、世界のたばこ消費量の40%を占める中国で事業を独占しているためで、海外販売量はわずかです。

国内事業が国営企業に独占されている中国を除くとタバコの販売は実質的に5社で世界市場が寡占されている状況です。

その中でフィリップ・モリスは「たばこを吸い始めない、または禁煙することが最善の選択ではあるものの禁煙しないのであれば紙巻きたばこから加熱式たばこに切り替えて欲しい」というメッセージを消費者に発信しています。

たばこの有害性を認め、これまでのビジネスモデルを否定するような呼びかけを行ったことでフィリップ・モリスに対する社会的な信頼は高まりました。

そしてフィリップ・モリスは21世紀に入ってから少しでも健康への害を減らせるたばこを作るべく研究を重ね、その成果として誕生したのがiQOSなのです。

iQOSは煙が出ず、紙巻きたばこと比べると有害性成分の発生が約95%低減されます。

フィリップモリスは紙巻きたばこの製造をいずれ終了し、加熱式たばこへ切り替えるとしており、事業の大転換を行うこととしています。

各種指標

ここからはフィリップ・モリスの売上高、営業利益、営業利益率を見ていきたいと思います。

まず売上高は長期的に見て右上がりをしていることがわかります。
これはiQOSの売上が堅調ということと先進国ではまだまだたばこの需要が大きいということがあげられます。

また、たばこには依存性があるため、世界で一定の需要があるのは間違いありません。

一方で営業利益は減少傾向ではありますが30~40%近い数字というとんでもない数字です。

たばこは原価も安いですし、高い値段で売ることができますので非常に利益率はいいということでしょう。

今後も需要がなくなるということは考えにくいですし、急成長することはないにしても毎年安定した利益を上げることは容易に想像できますね。

今後の展望とまとめ

先進国を中心に喫煙者が減っているというイメージが強いたばこですが、世界全体で見ると人口増加を背景に世界のたばこ市場は今後も伸び続けると予想されています。

https://www.mordorintelligence.com/ja/industry-reports/cigarette-marketを参照し作成

また、依存性が高いたばこの需要は今後も底堅く、市場はこれからもゆっくりと拡大していく見込みです。

ここからたばこ事業は将来的に安定した収益を上げることができるものと考えられるでしょう。

たばこ全体の世界出荷量は2021年に前年比6%増の1804億本となっており、そのうち加熱式たばこが前年比30%増の243億本となっています。

利益率の高いiQOSが伸びているためフィリップ・モリスの業績も伸びていくのではないでしょうか。

たばこメーカーでありながら禁煙を呼びかけ、吸うのであれば加熱式たばこを推奨するフィリップ・モリス。
社会的な責任と信頼がある企業だからこそ依存性が高く、健康を害する可能性があるたばこを扱うことができるのでしょう。

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