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ディア・アンド・カンパニー ~緑の巨人~


概略

ディア・アンド・カンパニーはアメリカのイリノイ州に本社を置く世界最大の農業機械メーカーです。
「ジョン・ディア」と呼ばれるブランドが世界的に知られており、緑色の農機に黄色の鹿のエンブレムがブランドアイコンとなっています。
農機の世界シェアは1位で、16.1%を占めています。(2021年)
世界シェア1位ということと同社の農機の色が緑を基調としていることから「緑の巨人」などと呼ばれることもあります。

ビジネスモデル

ラインナップは大型

ディア・アンド・カンパニーの商品の特徴はトラクターなどの大型農業機械が中心ということです。
近年、アメリカでは農地の大規模化が進んでいます。
農業従事者は実は減少しているのですが、その一方で平均農地面積は増加しているのです。
つまり、少数の農家が大規模な土地で農業をしていることになります。

大規模な土地を耕すためには大型の農業機械が必要です。
そのため、ディア・アンド・カンパニーは大型の農業機械のラインナップをそろえています。

逆に言うと、小型の農業機械はあまり製造していません。
ここに、日本の農業機械メーカーであるクボタに商機があります。
農地が小さい国や稲作を中心とするアジア諸国でシェアを獲得しているのです。

広大な土地で農業を行うのがアメリカの特徴

ITの力を活用

ディア・アンド・カンパニーは近年スマート農業にも力を入れています。
農業従事者がする中で高い生産性を維持するためには効率化が必要です。
そのためITの力を農業に活用することで作業効率化する動きが活発になっています。
精密なGPS情報を活用した大型農機の自動操縦などの技術は近年特に進んできており、少ない人員で大規模な生産を実現しています。
農業機械というハードの製造に強みを持つディア・アンド・カンパニーはソフトの面でも覇権を獲得しようと挑戦しているのです。

各種指標

ここからは売上高、営業利益、営業利益率を見ていきたいと思います。
(単位は百万ドル)

まず売上ですが、長期的に見て右上がりをしています。2021年には約523億ドルという売上を計上しており、まさにグローバル企業と呼べる企業活動をしていることがわかります。

また、営業利益率も非常に高く20%に迫る勢いです。
営業利益率は一般的に10%を超えると優秀と言われている数字ですので20%に近い数字は圧巻と言えるでしょう。

今後の展望とまとめ

以上のようにディア・アンド・カンパニーは大型の農業機械とITの技術を活用して世界の食を支える企業だとわかります。
また、売上が長期的に見て右上がりをしていますが、今後さらに右上がりになるのではないかと予想しています。
ではなぜ成長していくのか考えていきたいと思います。
以下のグラフをご覧ください。

このグラフをみると、世界の人口は2050年まで右肩上がりです。
日本では少子化が非常に大きな問題となっていますが、実は世界では人口爆発とも呼べる状態が今後も続いていくのです。
そうなると大量の食糧が必要となり、食料不足の問題が必ず出てきます。
安定した食料生産を実現するための農業機械やスマート農業はその救世主になるかもしれません。

「命を支える食」「食を支える農業」「農業を支える農業機械」というような考え方をすると今後もディア・アンド・カンパニーの果たす役割は大きいと考えており、応援していきたいなと思います。

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