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躍進するPBブランド

原材料費の高騰で食料品の値上げが続いていますが、その中で躍進しているのがプライベートブランド(PB)です。

スーパーの食品販売額に占めるPB比率は2023年10月には過去最高となりました。

PB需要の高まりを受けてイオンなどの小売り各社は新たなPBの開発や商品の拡充に取り組むとしています。

PBとは

PBとはメーカーではなく、小売業などが企画・開発し、自社で販売する独自ブランドの商品のことです。

メーカーに生産を委託し、小売りの配送網の活用や宣伝費をかけないなどコストを抑えることでメーカー品よりも安価で提供でき、利益率が高いことが特徴です。

日本ではイオンの「トップバリュ」や西友の「みなさまのお墨付き」などが有名かと思います。

また、アメリカでもPBは存在しておりウォルマートの「グレートバリュー」やコストコの「カークランド」があります。

コストコを利用する人でカークランドを購入したことがない人はいないのではないでしょうか。

https://www.costco.co.jp/KirklandSignature

コストコ、ウォルマートについては以下の記事で書いていますので読んでいただけると嬉しいです。


PB比率の増加

食品のPB比率は成長しています。
物価高の影響を受けてメーカー品よりPBを購入する人も多いのではないでしょうか。

そのため、物価が上がればPB比率も増えるという相関関係もあるようです。

小売り、食品PB比率17%で最高 イオンやセブンが新商品:日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC1109V0R11C23A1000000/


一般にPBはメーカー品より1〜3割程度安く、物流や宣伝費を抑えられるため小売業にとって稼げる商品でもあるので小売各社はPBの拡充を行なっています。

イオンは食品PBの半分を刷新し、セブン&アイ・ホールディングスは低価格帯PBを倍増させるとしました。

また、ベイシアは新しいPB「ベイシアプレミアム」、西友も生鮮食品の新PB「食の幸」を始めるなど新たなPBブランドも次々と生まれているのです。



サッポロに匹敵するPB

皆さんがPBブランドを購入する商品はなんでしょうか。
私は日用品や調味料などをよく購入するのですが、発泡酒やチューハイなどのお酒も購入します。

実は現在ビールや発泡酒、第三のビールを合わせた「ビール系飲料」の総容量に占めるPBの割合が全体の約14%になっているのです。

これはメーカーシェアで4位のサッポロビール(シェア約12%)に匹敵する水準となっており、いかにPBが浸透しているのかがわかります。

つまり言い方を変えると、アサヒ、キリン、サッポロ、サントリーに並ぶPBという新たなメーカーが存在し始めたとも言えると思います。

小売りPBビールシェア14%、サッポロに匹敵 シフト進む:日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC1786R0X11C23A0000000/


PBをけん引したのは価格が安い第3のビールです。

ちなみに第3のビールとは何か知っていますか?

ビールは原料のうち、麦芽が3分の2以上使われているものを指します。

https://beergirl.net/liquor-tax-law-202310_c/

そして、麦芽の使用率が3分の2より小さいものを発泡酒と呼びます。

ビールと第3のビールの間である「第2」にあたるのは発泡酒です。

https://beergirl.net/liquor-tax-law-202310_c/

第3のビールとはそもそも原料に麦芽を使っていないものであり、発泡酒に別のアルコール飲料を混ぜたものになります。

これはリキュールに分類されるので発泡酒とは別物とみなされます。

原料に麦芽を使っていないので製造しやすく、価格も抑えられるのが特徴です。
そのため、小売各社も第3のビールのPBを展開しているのです。

https://beergirl.net/liquor-tax-law-202310_c/

また、PBはメーカーに生産を委託しますがどのメーカーに委託するかは自由です。

そのため、ブランドAについてはキリン、Bについてはサッポロというように様々なメーカーと共同で開発できるのも魅力でしょう。

ビールメーカーはどう思っているのか?

小売から生産を委託されるビール大手メーカーにとっては製造したPBブランドの全量を小売りが買い取り、売り場も確保してくれるので、PBは間接的に自社ブランド向上につながります。

皆さんもPB商品の裏面に「この商品は〜〜と共同開発しました」というような表現を見たことがないでしょうか。

このように自社ブランドだけでなくPBブランドを通じて価値を高めているというわけです。

ただ、恩恵がある一方で単価は安く、収益性には課題もあるのでバランスが難しいということもあります。

また、ビールメーカーのナショナルブランド(NB)とPBが食い合うという葛藤もあります。

価格で勝負するPBで裾野を広げて、高付加価値のNBに繋げるという小売とメーカーのWin-Winが達成できれば最高だと思います。

ビールメーカーのアサヒについては以下の記事に書いていますので読んでいただけると嬉しいです。


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