初めての
彼とメールのやりとりを初めてから5日目。
なんと。
彼に電話で告白された。
一度も会った事は無かったが良い人そうだし、なにより彼氏というのを1回つくってみたかったという、なんとも軽い気持ちでOKした。
こうして私に初めての彼氏ができた。
そして、1ヶ月後に会う約束をした。
だが、問題があった。
お互い家が、車で40分程掛かる場所だった。
その中間地点である商業施設で会おうということになったのだが、その日は雨予報だった。
もちろん、男と母には彼氏ができたとは言っていない。
だが、雨に降られながら20分以上掛けて待ち合わせ場所には行けない。
意を決して母にだけ話した。
彼氏ができたこと、デートをする場所まで送ってほしいこと。
予想に反して母はすんなり受け入れてくれた。
何ならデートに着て行く服も買ってくれた。
それは愛情からくるものだったのか、はたまた男が自分の所に戻ってくることへの嬉しさだったのかは分からない。
デート当日。
待ち合わせ時間が迫っているにも関らず、中々送ってくれなくてハラハラした。
なんとか間に合い、待ち合わせ場所で彼を待つ。
ものっっっすごく緊張していた。
(顔は結局よく分かんないままだし、どうしよう。写真と全然違ったら。いや、逆に私を見てすぐ帰られたらどうしよう。そもそも付き合ってるとはいえ知らない人と会うのは、なんかだか怖い!というか、これは付き合っているうちに入るのか?ん?)
そんなことを考えていると、視界の端に近づいてくる人影が見えた。
『ポロロン?』
声のする方へ顔を向けると、写真とは全然違う顔の人が立ってた。
(ん?え、めっちゃ藤木直人に似てる。うわっ、イケメンだ。え、どうしよう。)
そう、彼は写真からは想像出来ないほどイケメンだった。
『プリクラのまんまだね!』
「いやっ、そっちは写メと全然違うっていうか…違い過ぎ!」
『え?そう?ハハハ』
あまりのカッコ良さに終始ドキドキが止まらなかった。
彼に手を繋がれた時は、本当に口から心臓が出るんじゃないかと思ったほどだ。
(こんな人が私の彼氏なんて…。信じられない。)
初デートを終えた私はフワフワした気持ちのまま家に帰った。
そう、男と母の居る家に。
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