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乱読日記3〜昭和概念セレクト〜

まず初めに、私は昭和62年生まれ36歳。物心ついた頃には平成になっていた世代で、昭和の記憶はありません。
私にとっての昭和とは、物語の中のものでした。ちびまる子ちゃん、サザエさん、トトロ。
実際に体験した訳でもないのに時々無性に懐かしくなる、集合無意識の如く刷り込まれた昭和概念。
2月の乱読日記はそういったラインナップ、題して昭和概念セレクトにてお送りします。


(11)きもの番長(松田恵美)
まずは形から入っていきましょう。麗しいイラストによる着物のコーデ本です。
個人的にはコーデ本はイラスト集として見てる側面もあるので、正面立ち絵だけでなく、見返り姿など様々なアングルで描いてもらえないかな、絶対美しいから……などと思っている。華宵とか夢二を思い浮かべて頂ければ分かりやすいかしらん。あの時代の広告は芸術だったと思うの。あの辺は大正だっけ?

(12)姑獲鳥の夏(京極夏彦)
これはもはや説明の必要がない名作。
最初に読んだのはもう二十年くらい前、ちょっと背伸びしたいお年頃な中学生の時でしたね。今では関君達も年下ですよワハハ!

余談ですが、読書の醍醐味には“知らない事を知れる”、“自身の言葉に出来ない思いを代弁してくれる”といった旨味がありますよね。中学生だった頃は前者の楽しみだったのに、今では後者の魅力。名作は何度読んでも新しい発見があるのだなぁ、これは読書を続けていた人間だけの特権だなぁ、としみじみ。

(13)殺し文句の研究(阿刀田高)
作者が中年期に描いたエッセイ集。
昭和と令和の違いは多々あれど、“死が今よりずっと身近だった”、強烈さでこれに勝る相違点は無いのでは? メメントモリが価値観の土台に根付いてる感じ。
それは戦後の成長期でも言える事。
「結核は既に治る時代だったけど、子どもの頃に年の離れた姉が発症して亡くなっていたので、当時は恐ろしかったですよ」……などというエピソードが綴られています。

作者の軽妙なタッチで重苦しさはないですが、昭和を超えてきた作家の人となりが伺えて、趣深い一冊です。

ーー以上、本当は2月中に詠み終えていたのに、プチ・スランプと家族の体調不良によるゴタゴタで、えらい難産になってしまった乱読日記でした!

いや、「今年はアウトプットも頑張ろう」という軽い気持ちで始めた読書感想文がここまで大遅刻するとは……。
次回(3月分)も漫画ばかりなせいで数多めですが、「とにかく続ける事」が目標なので、失踪しないよう頑張りますね\(^q^)/

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