雨上がりのお散歩 盲導犬と暮らし、盲導犬と語る(11)

今日は、昼過ぎまでずっと雨でしたが、午後になってやっと雨が上がり、晴れてきました

「雨が上がったみたいだよ」
そう言われて、私はシールと家族で近くの川まで散歩に行くことにしました。

新しい散歩コースの途中で曲がらずにまっすぐ行くと、川沿いの散歩道に出ます。
シールはみんなと散歩ができて、うれしそう。何度も振り返っては「みんな、来てる?」と確認しています(笑)。
「シール、ちゃんとついて来ているから大丈夫。それよりちゃんと前を見て♪」
シールに家族から声がかかります。

シールのハーネスを通して私の左手にシールの心の状態が伝わって来ます。、、
今日のシールは、とてもリラックスしてうれしそうで、鼻歌が聞えてきそうです(笑)。人と暮らす動物は、家族がそろってみんなが楽しそうにしているとすごくうれしそうにします。犬は人の感情を匂いみたいに敏感に感じているので、みんなのリラックスした楽しい気持ちを感じ取ってそれを喜んでいるのだと思います。

川べりに出ると、そこは車も来ないし、家族も一緒で安全なので、私はそんな時、ブルートゥースの片耳イヤホンで音楽を聴きます。耳の穴をふさがないタイプのイヤホンなので、まわりの音や家族の声と音楽が混じり合います。

雨上がりの晴れた涼しい午後。
ゆっくり歩きながら、秋の透明な空気、かすかに聞える川の音、川にいる鴨たちの鳴き声、家族のおしゃべりする声、川べりを歩いてゆく子どもたちの声、そこに静かに流れる音楽が混じり合って、なんだか映画の一場面みたいです(笑)。
今日聴いているのは、最近の私のお気に入り、アイスランドのシンガー、レーベー(LAUFEI)で、低めの深くてやわらかい歌声が今日の散歩にぴったりです。

私が聴いている音の風景の中を、小さめのワンちゃんの息づかいが通り過ぎてゆきました。雨が上がって、ほかのワンちゃんも散歩に出てきたようです。

やがて私たちは川沿いの道からその先の公園に入りました。そのとき、風に乗ってキンモクセイの香りがしてきました。
見えない私にとって、秋のキンモクセイの香りと春のジャスミンの香りは、季節が移り変わったことを知らせてくれるサインです。
ああ、今年も秋になったんだな、と実感しました。

やがて私たちはルートを引き返し、家族とおしゃべりをしながら、鼻歌交じりで歩くシールと一緒に家に戻ってきました。
玄関で足をふいた後、シールは、
「楽しかった♪」
とうれしそうに私に飛びついて喜びを表したのでした(笑)。


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