動物に愛情を伝えるスプーンケア 愛情はさわれる(10)

以前の記事「愛しのスプーンケア」にも書きましたが、スプーンケアとは、私がふだんの鍼灸の治療で使っている皮膚に刺さない鍼(てい鍼といいます)を使った鍼治療の考え方を応用して、家にあるスプーンを使ってできるようにアレンジした簡単で安全なケア方法です。

今の盲導犬シールがわが家に来てから、私は
「てい鍼の代わりに金属のスプーンを使っても同じような効果があるのでは?」
と考えて、シールにスプーンの柄の部分を当ててみたところ、てい鍼と同じように気持ちよさそうにすることがわかりました。
これがきっかけで私は「スプーンケア」をやるようになりました。
今ではシールや私自身の心身の気の流れを整えるのにスプーンケアをするようになりました。

先月と今月、二回の動物のためのスプーンケア講座を行ないました。
一回は犬と猫の飼い主さんを対象としたオンライン講座、もう一回は盲導犬候補のパピィのための講座でした。

オンライン講座では、まず私がシールにスプーンケアをやってみせて、質問を受ける形で行ないました。
シールは私がスプーンを見せると、「ワーイ!」と喜んでお腹を見せてひっくり返ってしまうので、なかなか始められませんでしたが(笑)、シールがスプーンケアが大好きなことは伝わったようです。

講座に参加したある犬の飼い主さんからは、
「今ではスプーンを見ると自分で寝転んで深いため息をついてやがて寝入ってしまうようになりました」
と報告があり、ある猫の飼い主さんからは、
「うちのシニアの猫はスプーンケアを気に入っていて、私がコーヒーを飲んでくつろいでいるとテーブルに上がってきてそこにゴロンと寝転び、ゴロゴロとのどを鳴らしてスプーンケアをせがみます」。
と伝えてくれました(笑)。

盲導犬候補のパピィたちのスプーンケア講座は対面で行ないました。
こちらも、まず私がシールにケアをするところを見せようとすると、シールはまたお腹を見せてひっくり返り、しっぽを振っていました(笑)。
こちらの講座では、その後にパピィたち一頭ずつに私がスプーンケアをするところを見て頂きました。
訓練前の2才のパピィたちなので、子犬らしく元気いっぱいです。私がスプーンを持ってそばに寄るだけで飛びついてきて顔をたくさんなめてくれました(笑)。
元気いっぱいで落ち着きのないパピィたちでしたが、頭にスプーンでふれるとまず「これなに?」と頭の上に大きなはてなマークが浮かんで、しばらくすると動きが停まり、やがて眼がトロンとしてきて、そのまま床に伏せてしまう子もいました(笑)。元気過ぎて、スプーンを当てると一瞬落ち着きそうになるけれど、また想い出したようにはしゃいでしまう子もいました(笑)。
それでも、7頭全員にスプーンケアを行なってシールのもとに戻ってきた頃には、パピィたちもリラックスしてその場もしんとして、なんだか保育園のお昼寝タイムみたいになっていました(笑)。

スプーンケアは身体の気の流れを整えるケアですが、
動物のスプーンケアでは、人の愛情のエネルギーがスプーンを通して動物に伝わることが大事だと私は思います。

動物は人間の愛情を感じる敏感な感覚を持っており、特に人と一緒に暮す動物たちは人間からの愛情を食べ物と同じくらい必要としている、と思うからです。
私たち人間は愛情のエネルギーを動物のようには感じられなくなっていますが、動物たちにとっては「目にみえないエネルギーのごちそう」のようなもので、それを感じることで安心感や幸福感を感じているようです。
スプーンケアで人間の愛情が動物に伝わる時、人と動物のまわりの空気が愛情のエネルギーでほんわりと温かくなり、まるで春の陽だまりで日向ぼっこをしているような心地よさに包まれます。

私はこの「日向ぼっこ状態」を、スプーンケアを通して沢山の動物と飼い主さんに感じてもらえたらよいな、と思います。
人と動物がそんなふうに毎日「日向ぼっこ状態」で安心感や幸福感を感じていれば、人と動物が笑顔でいる時間がもっと増えるだろうと思うからです。


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