猫900匹以上を救い続けた犬の実話 動物の本だな(1)『猫たちを救う犬』フィリップ・ゴンザレス、リアノー・フライシャー著 草思社


この本はNYで病気やケガをした900匹以上の猫を救い続けた犬ジニーと飼い主フィリップの実話にもとづいたノンフィクションです。
1996年に出版され、1998年には続編の『今日もまた猫たちを救う犬』が出版されました。

中型の雑種犬ジニーは、前の飼い主に空き家に放置され、餓死寸前のところを保護された犬でした。ジニーはフィリップに引き取られてから、病気やケガで助けを必要とする猫の居場所を離れた場所からでも察知するという不思議な能力を発揮し始めます。
中でも、ガラス工場の廃棄ガラス置き場からの子猫救出のエピソードは、新聞記事に取り上げられ、ジニーは一躍有名になりました。

フィリップとジニーの出会いは次のようなものでした。

かつてNYで働く優秀な鉛管工だったフィリップは、事故で片腕の自由を失ってしまいます。家に引きこもっていた彼を心配した友人のすすめで、彼は飼い犬をさがしに動物保護センターを訪れます。そこにいたドーベルマンを飼うことに決めたフィリップに、職員が同じ檻にいた中型の雑種犬を強くすすめます。

散歩だけでも、という職員のすすめにしぶしぶ施設のまわりを散歩しますが、その犬のことを見ようともしない彼の後ろで犬が突然立ち止まります。いらだって振り向いた彼と犬の目が合った瞬間、二人の間に閃光が走り、彼はその犬の自分に向かってほほえんでいるかのような顔から目が離せなくなりました。そして彼はいつのまにか「お前は私の犬になるんだ」と心の中でつぶやいていました。

事故で障害を負って生きる目的を失いかけたフィリップと、人間に虐待され殺されかけた犬ジニーの出会いはそれぞれの人生と犬生を大きく変えました。
そして数多くの助けを必要とする猫たちはジニーとフィリップの仲間たちによって救われ、900匹以上の猫たちが里親に迎えられました。

続編の『今日もまた猫たちを救う犬』の最後に、「虹の橋」の伝説の話が出てきます。
ペットたちが旅立った後に愛する飼い主を待つという虹の橋。

フィリップはいつか自分が虹の橋を訪れた時の情景を想像します。
そこでは彼とジニーをめがけて、かつて救われたおびただしい数の猫たちが、うれしそうにゴロゴロとのどを鳴らしながら押し合いへし合いしながら駆け寄ってくるのでした。

10年くらい前まではインターネット上に「ジニーファンクラブ」というサイトが存在して、テレビ出演した時の動画なども見ることができたのですが、今はもう見ることができません。
それでも「GINNY」「the dog who rescues cats」などで検索するといくつかのジニーの動画を見ることができます。

 

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