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放射線科医の知名度

職業を聞かれる、放射線科医と答える。

「えっ何それ?あのレントゲン撮る人?」と大体言われる。

それ放射線技師さんですけど・・・

そう、放射線科医の知名度は低い。

なる前からわかっていたが、誰も私達の頑張りを知らない。

私達は日々たくさんのCTやMRIの読影をし、そのレポートを見て主治医はあなたに画像の説明をしたり、治療方針を決めたりしている。

わかりやすく説明すると、骨折しているかどうか、癌があるか、癌はどのくらいの大きさで、転移はあるか、それを評価している。そんなところだ。

「えっそれ主治医の先生がやってるんじゃないの?」

はっきり言おう、大体やってない、若ければ若いほどやってない笑

画像検査の後に診察予定で待たされる時があるだろう。そんな時は放射線科医のレポートが出るのを主治医は待っている。そしてそれを確認後、患者さんに画像の結果を説明しているのだ。

放射線科医は『doctor’s doctor』と形容されることもある。

臨床のドクター達からは頼られ、感謝されている(と信じている!)。

それが私達放射線科医である。

私は医者になり、医療ドラマを見なくなった。

毎日毎日病院に行って現実を知っているし、間違っていることも多いから、突っ込みどころ満載で疲れる。そして大体主人公は外科医か救急医である。

ところがある時、放射線科医と似た境遇の病理医が一躍有名になった。

放射線科医と病理医は外科と合同でカンファレンスを一緒によくする。

手術症例で術前の画像診断と最終病理診断が合っていたか、違っていた場合にはどういったことが考えられるか、などを議論するためである。診断するといった点、患者さんと直接関わらない、縁の下の力持ち的な点で放射線科医と病理医は立場が似ているのである。

病理医を有名にしたのは、長瀬智也が病理医を演じるドラマ『フラジャイル』だった。

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上司の先生が強くオススメしてきたので、私も何回か観た。

『僕の言葉は絶対だ』

そんな自信持って診断できるなんてまじかっこいい。っていうか長瀬がかっこいい。このドラマはきっと一般の人も病理医という仕事を知るきっかけとなっただろう。

その証拠になんとあの有名な子役の芦田愛菜ちゃんが「将来病理医になりたい」と言ったのだ。

「あーぁ、先越されちゃった、次は放射線科医のドラマあるといいな」
そう思っていた。


私が研究留学で渡米後、放射線科医のドラマが始まった。

それは『ラジエーションハウス』

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『医師の資格をもつ放射線技師』が主人公で、放射線科医は本田翼演じる甘春先生。普段あまり目立たない放射線科医に可愛い人をチョイスしてくれた。

でも設定がややこしい!そもそも放射線技師さんと放射線科医が混同されがちなのに、混同に拍車をかける設定だ(涙)!

私の同僚の台湾人は日本のドラマが好きで始まってすぐ観て感想を教えてくれた。感想は「微妙、、」らしい。もちろん彼女も放射線科医である。

私の専門は乳腺の画像診断、デンスブレストの回だけちゃんと見た。よくできていたと思う。女性の人にはみんな見てほしい。

技師さんの描写もリアルでよかった。また技師さん達とワイワイ仕事をしたい。

その当時、研究留学で一人でずっとパソコンと睨めっこしている私は思った。


アメリカ人はおしゃべりが大好きだ。Uberのドライバーさんはかなり高い確率で話しかけてくる。

職業を聞かれ、「I’m a radiologist」と答えると、「Oh, cool!」とか「僕のおじさんもradiologistだ」とか、色々答えは返ってくるが、何それ?みたいな反応をされたことは一度もない。

知ったかぶりもあるのかなあと思い、アメリカ人の旦那さんに聞いてきた。

「みんな知ってるよ」

アメリカでは知名度が高いらしい!
検診結果の手紙とかradiologistから来るのも一因かな、と考える。


『ラジエーションハウス』の放送後、日本で放射線科医の知名度は上がったのだろうか?

何はともあれ、私たち放射線科医は毎日頑張っている。

たとえ患者さんが知らなくても、患者さんに直接感謝されなくても。


※ちなみにタイトル写真にあるような、フィルムで読影するスタイルはかなり古いです。今はモニター読影ですよ。


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