私の勤めていた大学病院の放射線科当直は気合の全件読影だった。
すなわち、その夜撮られた画像は全て読影しなければいけない。
単純写真もす・べ・てだ。

忙しい時間帯はコンサルト行列ができる。
そもそも夜間救急の研修医は全ての画像の結果を聞きにくる。
病院によると思うが、うちの病院はかなり放射線科への依存度が高かった。

そして、読影だけならまだしも、当直帯に造影剤をつなぐのは放射線科医の仕事だった。
放射線科のナースはオンコールで緊急カテが入った時にのみ。

深夜にPHSが鳴る。
「造影、お願いします」と技師さん。

深夜に造影CTをしなければいけないのは急性腹症が断然多く、もちろん急いで読影し、臨床医に結果を伝えなければいけない。

起こされたので、ちょっと「あーあ」と一瞬思うが、私も病院に寝に来てるわけでもないので、救急のCT室に急いで移動。

『今日も世のため人のため』

私が当直中や日直中に自分に言い聞かせていたフレーズで、慰めのフレーズでもあった。

でも深夜はどうしてもテンションは下がる。

だって眠いし、次の日普通に夜まで仕事だし。

でもなんとか自分を奮い立たせていた。

救急のCT室の横にはカテ室があった。

そこにはよく緊急カテを楽しそうにやっている循環器内科の先生達が。

あの人達は緊急カテになるとアドレナリンがドバドバ出て、「うぉーやるぞー」と思うらしい。

でもいつ見てもほんとに楽しそう！

私の弟が循環器内科になり、「なんで循環器の先生って緊急カテ好きなの？」って聞いたら、「緊急カテ好きだから、循環器選ぶんじゃないかなぁ」という答えが返ってきた。

『鶏が先か、卵が先か』？？

冠動脈の狭いところ広げて、症状がおさまって、患者さんに感謝されるから？

わたし深夜にイレウス管入れたとき、おばあちゃんに
「やーめーてー！殺されるー！！」

って叫ばれたことあるけどね笑

こう、循環器の先生みたいに深夜呼ばれても嬉しくてたまらない、ぐらいにならないといけないな、といつもちょっと憧れてました♡

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