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いつしか家族になっていたカマキリ

子どもの頃は、カマキリは勿論、色々な昆虫を捕獲しては収集していたのだけれど、
半世紀近く月日が流れるにつれて、いつしか虫があんまり得意ではなくなってしまったのです。
一番は、あの細い節。
蜘蛛やゲジゲジなんて遭遇した日には、背中がゾ~っとするわけなのです><;
そんなシングルパパが暮らす狭い狭い、鳩小屋のような、ウサギ小屋のようなアパートの、しかも自分がよく居座っている、ココの部屋に・・
一匹のカマキリが勝手に住み込んで来ました。
押し掛け女房のように居座って、天井の同じ場所にずっといました。
自分が今まで何度も「気持ち悪いし、殺さなきゃいけなくなるから、早く出ていけよ」と声かけしたのですけれども、
聞いているのかどうなのか?無視してました^^;

そして、ある深夜。
自分がトイレのため目を覚まして、自分の居場所にちょっとタバコを求めに行った時、天井でカマキリが結構大きめのクモを捕まえてくれていて、捕食していました。
自分が「あぁー。一応仕事してくれるんだなー。ありがとうなー」っと声かけしたのですが、やっぱり無視されました。^^;

すると、次の日の朝からは、何故か自分のPCにまとわりついていて、手ではらいのけようとしても、逃げないし怯えない。
その上、威嚇すらしてこない。
なんだか可愛く感じてしまい。。
「どっか行けよっ!っか、居るなら居てもいいけど、天井に戻れよっ!クモ退治したりしてくれたんだから、家族みたいなもんだ^^」
とか、言って聞かせました^^;
すると、不思議なのですが、その後天井に戻っていました。

それから、数日くらいして
またPCのところに居ました。
「んーーもーぉぉお」っと、
思ったのですが、どうも動きが鈍いのです。
弱っている様子でした。
なんとか、助けてやりたい!と思って、「お腹空いたんじゃないか?」と言いつつ、ハチミツを舐めさせたり、
子どもが飼育していたカナヘビのエサで買ってあった、ミルワームをちぎって与えたり、看病しました。(試験前だったのに・・^^;)

看病の甲斐あってか、カマキリは一時元気になりました。
「やったー!元気になったー!長生きしろよー」
と、自分も嬉しくて声をかけました^^
そして、いつものように子どもを遊ばせに連れて出て、帰宅してみると
痙攣をおこしたような、変な動きでカマキリがキーボードの上に居ました。
「おぃ?大丈夫か?」
とか、声をかけたら
ズルズルと痙攣した身体を動かして、自分の太ももに
ペタンと落ちて来て、ズボンを前足で引っ掛けて、なんとかしたまで落っこちないように踏ん張っていました。でも他の足は痙攣している様子。
すぐに、水を飲ませたり、餌を与えたりしました。
けれど、どんどん弱っていくというか、枯れていくような感じがしました。
こりゃ、もたないかな。。
と思った次の日、
カマキリはPCの傍には居ませんでした。
「えっ?どこに行ったんだろ?」
いろいろ探し回ったけれどいませんでした。

この事を子どもに言いました。
「痙攣していて、動けなかったはずなのに、居なくなっちゃった。」
と・・
子どもは
「不思議だねー!エサで元気になって、どっかお外に出たんじゃないかなー」
と^^

が・・・
その話をして、それから子供を連れて遊ばせに行こうと玄関を開けると、
玄関前にまだピリピリと痙攣をおこしているカマキリが横たわっていました。
「なんで?えっ? っかPCの場所からかなり離れているし、どーやって玄関の外に出たんだよ? はっぁ? っか、水!エサ! お前大丈夫かっ!」
と・・
今から遊びに出かける気分満々の子をあとにして、とりあえずカマキリの看病をしてみましたが、全く水も、餌も食べませんでした。
口に一生懸命、エサとかを付けてみましたけれど、口を動かさない。
思わず自分が
「よく頑張ったな。クモとか取ってくれたありがとうな。ゆっくり休めよ。」
と、言った途端、今まで痙攣していた足が、スっ―と固まって、
動かなくなりました。
子どももその様子をマジマジと見ていました。
子どもが「お父さん見て安心したのかな?死んじゃったね・・」
と。。
自分は何故か目に涙が滲んでいました。
ただの虫。ただのカマキリなのに・・

一応、それでも息を吹き返さないか?
ケースに入れて、自分のPCの傍に置いて、出かけましたが、
帰宅後もやはり、動いていない様子。
明らかに死んでいました。
子ども達と、外に埋めて、ちょっとしたお墓らしきものを作って埋葬しました。

とても不思議な出来事でした。

カマキリ
さよなら。
ありがとうね。



自分のにとって忘れたくない内容ことだったので、書き留めておきました。




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