見出し画像

【オンライン講義】天国にいちばん近い島の悲劇

あなたは天国にいちばん近い島、ニューカレドニアを知っていますか?
そして、この島の自然を、あなたが破壊していると知っていますか?
独自な自然を持つ美しい島、ニューカレドニアの悲劇に対して、あなたは一体何ができるでしょうか?

前回の記事はこちら

第4回 あなた暮らしの犠牲とは

講義が折り返しに来ましたので、今回は、少し趣向を変えて、ひとつの事実を違った視点から見たときの、あなたの決断について聞いてみたいと思います。今回の問いに正解はありません。あなたは、一体、どのような決断をするのでしょうか?

今回の舞台は、オーストラリア大陸から東に1500kmほどいったところにある、四国と同じくらいの大きさの島、ニューカレドニアです。ニューカレドニアは、フランスの海外領土であり、人口は約27万人ですから日本で最も人口が少ない鳥取県の約半分といったところです。ニューカレドニアは、孤島ですので、オリジナリティに富んだ生態系を持つことが知られています。とくに数千種類あるとされる植物のうち、9割がニューカレドニアの固有種であることが特徴とされています。こうした多様で独自の生態系から、ニューカレドニアの海岸線、ラグーンは、世界遺産にも登録されており、天国にいちばん近い島として観光の目玉にもなっています。どうでしょうか。美しく、独自な自然環境を持つ、ニューカレドニアという島に行ってみたいとは思いませんか。

ここで、あなたに考えてもらいたいのは、この自然を脅かす存在です。天国にいちばん近い島は、ニッケルとコバルトの鉱山としても知られているのです。Wikipediaによれば、この鉱山から産出するニッケルのうち、約半分が日本に輸出されているそうです。ニッケルはステンレス合金の原料であり、極めて需要の高いレアメタルのひとつです。私たちの便利で豊かな暮らしのために、一体、何が犠牲になっているのでしょうか。ひとつの事実について、いくつかの視点から考えることで、それを考えてみましょう。

参考

一般社団法人 地球人間環境フォーラム
FoE Japan 開発金融と環境 ニューカレドニア・ニッケル開発事業

いつもより,少しだけ科学について考えて『白衣=科学』のステレオタイプを変えましょう。科学はあなたの身近にありますよ。 本サイトは,愛媛大学教育学部理科教育専攻の大橋淳史が運営者として,科学教育などについての話題を提供します。博士(理学)/准教授/科学教育