希少性はそれ自体が価値である【ポジショニングの重要性】

筆者はこれまで何度か、少数派であることには価値があると述べてきた。
受験、就活、恋愛、結婚、世の中では様々な局面で競争相手に勝って勝ち取る必要があるが、この場合において少数派であることは有利に働くことが多い。そもそもあるものの価値は絶対的なものでなく、相対的なものであることが多い。ある人の価値は、自分が決めるのではなく、他人が決めるのである。これを忘れてはいけない。

希少性が生じるのは、本来何らかの参入障壁があって、少なくなるはずであるにも関わらず、それを敢えて乗り越えてやってくるものがいるからだ。
それは①本当に実力があって乗り越えてくる場合もあれば、②ニッチなポジションを狙って戦略的に入ってきているパターン、③ただ運が良い、もしくはたまたまその壁を乗り越えてきているだけかもしれない等色んなパターンに分けられる。今回は、①を実力パターン、②を戦略家パターン、③をラッキーパターンとして分析を進めてみたい。
複数事例を挙げてそれぞれを考察してみた。


1.東大理系の女子
【壁】:東大に入るのがそもそも難しいかつ、女子は理系科目が苦手と言われている中で東大理系に合格すること
【パターン】:実力パターン
【享受できる恩恵】:モテる(学生時代に限定)、就職が有利、配属に有利、出世に有利
【今後の動向】:理系科目の入試問題が変化しない限り今後も大幅な増加は見込めないため、その希少性が揺らぐことはない

2.外国語学科の男性(上智大学、東京外国語大学)
【壁】:男性の中で純粋に学問的な観点で外国語が好きな学生が少ない
【パターン】:ラッキーパターン
【享受できる恩恵】:モテる(学生時代に限定)、運が良ければそのままパワーカップルに
【今後の動向】:学問としての言語は実用性に欠けるので、今後も引き続き男の志望者は少ないと想定される

3.数学が得意な文系
【壁】:数学が得意であれば理系に行く中で、敢えて文系に進学するマインド
【パターン】:戦略家パターン
【享受できる恩恵】:文系の上位大学に合格しやすい
【今後の動向】:大学のブランド名が欲しいのであれば、有効であるが、就職できる職種の幅は理系に比べて限定されるので、今後は下火になるかも

4.英語が話せる理系
【壁】:理系科目に加えて英語もこなさないといけない、そもそも日本では英語が話せる人材が文理ともに少数派
【パターン】:実力パターン
【享受できる恩恵】:就職活動で優遇される、部署配属で優遇される、そもそも業務の幅が広がる、海外留学しやすい、海外駐在しやすい、出世しやすい
【今後の動向】:グローバル化が進む中、理系人材で英語が話せる人材のし市場価値は非常に高い。ただ英語が話せるだけであれば、通訳で十分であるが、そこに理系の専門性が加わると非常に強い

5.総合職女子
【壁】:男性は仕事、女性は家庭と言う従前の価値観がわずかながら残る中、総合職として確り戦う意思と総合職として業務をこなす能力が必要
【パターン】:実力パターン
【享受できる恩恵】:就職活動で優遇される、部署配属で優遇される、モテる、出世しやすい
【今後の動向】:前回出した記事でも記載したが、特に若い世代の総合職女性は家庭・仕事・金の全てを総取り出来る最強ポジション。足元総合職女子の割合は漸近的に上昇傾向にあるので、今後は希少価値は薄れていく可能性が高い


6.総合商社のIT人材
【壁】:総合商社でやっているだけの陽キャ性に加え、IT系のハードスキルが要求される点
【パターン】:実力パターン
【享受できる恩恵】:就職活動で優遇される、部署配属で優遇される、IT系部署の中では出世しやすい(かも)
【今後の動向】:今後もIT系人材へのニーズは引き続き高いと思われるが、近年急速に盛り上がってきた分野でもあるので、企業のDX化が完了すれば一旦は落ち着くかもしれない

7.金融機関における理系人材
【壁】:(微分積分もおぼつかない)文系人材ばかりで堅苦しい金融機関に敢えて飛び込むマインド
【パターン】:戦略家パターン
【享受できる恩恵】:就職活動で優遇される、部署配属で優遇される
【今後の動向】:理系人材が金融機関に入ってくると基本的にはシステム系や市場系、リスク管理系等の本社部署に優先的に配属される。金融機関は数学が出来ない文系ばかりなので、Σ記号が読めるだけでも大変重宝されると思われる。
金融機関では今後もデータ分析やシステム関連のニーズが強いので、理系人材は引き続き重宝される一方で、文系人材の価値はますます低下していく。

8.地方の医者
【壁】:資格業のため、どこでも働ける医者と言うポジションながら敢えて地方での勤務を希望するマインド
【パターン】:戦略家パターン
【享受できる恩恵】:(勤務医であれば)都市部よりも給与が良い、物価の安い地方で富裕層になれる、ライバルが弱いのでモテる、社会貢献性を実感しやすい
【今後の動向】:究極のBtoCである医者のニーズは引き続き高齢化が進む地方においても強い。筆者の地元の開業医もそうだが、地方の医者は言ってみれば地方の豪族。人生のQOLを上げるという観点では良い選択肢だと思われる。

9.女性余り地域の男性(関西圏全般、九州(特に福岡)、札幌、東京23区)
【壁】:女性余りの地域はサービス産業が多く、男性の就業機会が少ない
【パターン】:戦略家パターン
【享受できる恩恵】:モテる、結婚しやすい
【今後の動向】:産業構造は土地の立地によって決まる側面があるのでそこまで変化しにくい。そのため今後も歪んだ男女比率は一定程度維持されると思慮される。女性余りの地域は基本的には、地方都市や都心部であることが多いので、都心部で就業機会を見つけることが出来るような学歴が必要になる。ちなみに福岡が男性が日本一モテる県として注目されるが、比率だけで見れば関西も負けていない。

10.男性余り地域の女性(愛知、東北全般、北陸等)
【壁】:男性余りの地域は製造業が多く、女性の就業機会が少ない
【パターン】:戦略家パターン
【享受できる恩恵】:モテる、結婚しやすい
【今後の動向】:女性余り地域と同じ。ただし製造業の工場ではそこまで学歴などは要求されないため、参入障壁は高くなく、思いだったらすぐにでも行くことが出来るかも

11.地方都市(大阪、福岡、愛知、仙台、札幌)勤務希望のエリサラ
【壁】:都心勤務を希望するエリートサラリーマンが多い中で敢えて地方都市を希望するマインド
【パターン】:戦略家パターン
【享受できる恩恵】:(大阪、福岡、札幌では)モテる、結婚が早い、希望が通りやすい、部署配属で優遇される、転勤手当てがもらえる、ライバルが弱い
【今後の動向】:共働きの進展に伴い、首都圏一極集中が足元で加速しており、地方都市であっても希望者は減少中。
大阪や愛知のような大都市であっても企業は人手の確保に苦労しているのが現状で、金融機関の中には、首都圏以外を希望する場合には、手当を出すと発表したところも。ライバルも弱いので、学歴や能力に自信がないものは敢えて地方を目指すのはかなり良い戦略かも

12.地味な部署希望者(ただし市場価値は高め)
【壁】:地味な部署を見つけ出すマインド
【パターン】:戦略家パターン
【享受できる恩恵】:希望が通りやすい、部署配属で優遇される、専門家になれる
【今後の動向】:希望者が少ない分、会社側としても長年その部署で活躍してもらいたいと考えている場合が多く、専門家になりやすく、労働市場での評価が高い。ただし、地味な部署は時代の流れの影響を受けやすいので、市場価値は今後の世の中の情勢による点は注意が必要

結論:人と異なる性向や特技を有していることはそれ自体が価値である。