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ミライの小石13.「本のシェア」を通じた自己表現とコミュニティ

町の書店が閉店に追い込まれる中、「シェア型書店」という新しい形態の本屋が広がりつつあるというニュースを読みました。そもそも現代の私たちの生活の中で、本とはいったいどういう存在になってきているのでしょう?

例えば、日々ウェブニュースを読んだり、ゲームをしたりすることで本を読む時間がなくなり、最近では電車で本を読む人も見かけなくなっています。一方で、かつて読んだ本はその後読まないまま本棚を占有していて、よほど思い入れがない限りは断捨離の対象になっていたりしますよね。つまり本に書かれた情報だけ欲しい人は図書館や電子書籍を利用して、本を所有しなくなっているのだと思います。

ここでシェア型書店に関するJIJI.COMの記事から引用すると、

「棚主」と呼ばれるオーナーは賃料を払ってスペースを借り、思い思いの本を並べる。本が売れれば収入を得られる。だが、むしろ個性が光るそれぞれの区画は、棚主にとって自己表現や発信の舞台。買い手にとっては一冊の本を媒介とした未知の世界への入り口となっている。

(※1)

さらに、シェア型書店の一つである神保町「パサージュ」の棚主や運営会社によれば、

パサージュに並べるのは、自身の書架から巣立ち、「誰かに見つけてもらいたい本」。「さあ、行っておいで」と送り出すようにして選ぶという。 「本棚一つ一つが棚主さんにとっては自己表現の場。本が売れるということは自己承認にもつながる」。

(※1)

のだそうです。

自分の思い入れのある本をシェアすることが自己表現になるとすると、その表現に共感する利用者(読者)と棚主とが出会うシェア型書店は「本を売る書店」というよりも、「個人のこだわりに特化した図書館」や「本を通じたコミュニティ」といえるのかもしれません。図書館も最近ではさまざまな形態のものが誕生しています。24時間365日利用できる図書館、お酒やコーヒーが飲める図書館、宿泊できる図書館などなど。(※2)

読者の自己表現にもなり得る本とはどのような本なのか、また本のシェアを通じたコミュニティ空間とはどのようになっていくのか、本を取り巻く街の風景も変わっていきそうで、妄想が膨らみませんか?


(※1)棚主の個性光る「シェア型書店」続々 こだわりの本棚で未知の世界へ【けいざい百景】:時事ドットコム (jiji.com)
https://www.jiji.com/jc/v8?id=202301keizaihyaku088 2023年5月17日閲覧

(※2)【パブリネット】図書館のイメージが変わる!全国のおしゃれ・おもしろ図書館まとめ (homemate-research.com)
https://www.homemate-research.com/bc186/publilog/8/ 2023年5月17日閲覧


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