脱「コスパ病」で日本復活

小島尚貴(こじま なおたか):1975年福岡出身。 日本経済再生の新常識を説く異色の書…

脱「コスパ病」で日本復活

小島尚貴(こじま なおたか):1975年福岡出身。 日本経済再生の新常識を説く異色の書『コスパ病』(KDP)著者(英独仏タイ語でも発刊)。 マルチリンガル貿易マン。 自治体・経済団体アドバイザー。 『九州マーケティングアイズ』執筆陣。

最近の記事

⑨「逆輸入」は、ココが自損型輸入と違う。

私が作った「自損型輸入」という新しい貿易・経済用語が、少しずつ世の中に広がってきました。 今年に入ってからは、経済団体、産業別組合、マスコミ、各種団体から講演のご依頼があり、自損型輸入という新たな視点を得た方々から、様々な反響をいただいてきました。 ・ ・ ・ そんななか、時々、「もしかしたら、誤解されているかもしれないな」と感じる言葉に出会います。 それは、自損型輸入を語る方々が、「逆輸入」という言葉を用いる場合があることです。 「逆輸入」という言葉は、貿易に従事

    • ⑧自損型輸入が教えてくれる日本経済のチャンス

      『コスパ病』の第6章では、代表的な自損型輸入業者の実際の企業名を挙げ、三つの分野の売上を実際の決算報告書に基づいて算出、掲載しました。 自損型輸入業者は、もちろん、あそこに掲げた企業だけではなく、他にも無数に存在し、その売上規模、すなわち「被害総額」は私が第6章に記載した総額よりも何倍も大きいのですが、中にはあの数字を見て、自分の所属する業界の自損型輸入業者の売上を計算し、「そっか!」と笑顔になる経営者もいます。 自損型輸入による貿易額は、「日本人消費者が中国や東南アジア

      • ⑦読者に言われて、一番嬉しいこと

        本を書くのは、面白い体験です。 私はこれまで、編著やゴーストライターとしての代筆も含めれば、4冊の本を出したことがありますが、『コスパ病』は初めて国家に対する問題提起を行った本だけに、気合いの入れ方が違います。 だから、『コスパ病』に対する感想は、どんな種類のものであれ嬉しく、勉強になります。 ・ ・ ・ 一次産業、つまり農家さん、漁師さん、林業関係者、畜産関係者という、毎日、ごまかしがきかない厳しい自然や生き物と向き合いながら、私たちの食卓や住宅を作り、彩るために奮

        • ⑥女子大生の「何気ない一言」から教えられたこと

          私は2003年5月から、学生たちが地元の企業を取材し、雑誌を編集、発刊して、週に一度、定例勉強会を行う「企業取材サークルFUN」(現在は福岡女子大学が拠点)の顧問を、20年間引き受けています。 毎週土曜の朝から若者たちと集い、若者たちが学びたいと望むテーマに沿ってオリジナルの講義を行い、若者たちと楽しく語り合う「FUNゼミ」は、2023年4月の時点で通算1079回を数え、私の大切な時間であり、生き甲斐の一つです。 ・ ・ ・ このサークルFUNで、2022年10月~11

        ⑨「逆輸入」は、ココが自損型輸入と違う。

          ⑤業界人には「口にしにくい、その一言」。私が代わって口火を切ります。

          『コスパ病』が初めて日本社会に提起した問題は、断片的、部分的には多くの地域や業界で、多くの方々に深刻な問題として受け止められてきた問題です。 「安くて品質も悪くない商品があらゆる業界に溢れた結果、値下げとコストダウンという、後ろ向きの経営努力を強要される」という、もどかしく先の見えない経営環境の中にあって、こうした低価格の輸入品がいつ、どのように発生し、海外でどのように企画、開発され、どのような手法と経路を経て日本市場に侵入し、あらゆる業界を覆い尽くしたのか・・・。 手前

          ⑤業界人には「口にしにくい、その一言」。私が代わって口火を切ります。

          ④自損型輸入は、なぜ、どのように恐ろしいのか?

          「安いニッポン」、「失われた30年」、「一人負けの日本」という暗く単調なフレーズが世論に頻繫に登場するようになり、私たち一般庶民も自国経済に自信を失いつつあります。 昨年からは、ロシアによるウクライナ侵攻の影響で原油や小麦の国際相場が値上がりしたことから、物価上昇が国民生活に影響を及ぼし始めたことから、賃上げに踏み切る企業も出てきました。 しかし、実体経済の成長に裏付けられない賃上げは、希望からの賃上げではなく、不安への対処としての賃上げにすぎず、まっとうな収益向上の見通

          ④自損型輸入は、なぜ、どのように恐ろしいのか?

          ③「自損型輸入」とは何か?

          拙著『コスパ病』によって、初めて世に知られた「自損型輸入」という言葉は、私が作った言葉です。 なぜ言葉そのものを作ったかというと、この種の輸入の手法、構造、性質、影響を説明する用語そのものが日本には存在しなかったからです。 ・ ・ ・ 一般的な輸入は、たとえば「フランスで食べたチーズが美味しかったから日本に輸入する」、「タイで見かけた民芸品がかわいかったから、日本に輸入する」というふうに、「輸出国で一般的に流通している商品を、国境を超えて日本に輸入する」という形で行われ

          ③「自損型輸入」とは何か?

          ②『コスパ病』発刊後の主な実績、ニュース

          今日は拙著『コスパ病』に関する、第三者へのご紹介にご利用いただけるニュースをご紹介します。 「あの社長に小島を紹介したい」 「講演、セミナー、パネルディスカッション、対談を企画したい」 という話題が出た際にご活用下さい。 ▼『コスパ病』大学生の感想 可処分所得は小さくても、経済活動、企業経営、マーケティングに対して無視できない影響力を持つ若い女性。 私が2003年から顧問を務めている「企業取材サークルFUN」(福岡女子大学)では、2022年の10月~11月にかけて、

          ②『コスパ病』発刊後の主な実績、ニュース

          ①本ブログを「消費者主導の地産地消」の具体策を提言するブログに変更します

          本ブログは開設以来、主に地方都市の小さな会社を対象にした輸出ノウハウや事例、海外の情報を発信する内容として運営してまいりました。 しかし、一昨年に発刊した拙著『コスパ病~貿易の現場から見えてきた「無視されてきた事実」~』(KDP)に対する反響が全国各地から増えてきたため、今後は拙著を題材に、下記の内容を中心に記事を投稿していきたいと思います。 ①「自損型輸入商品による産地・業界への損失」を阻止し、減少させるための具体策 ②読者やセミナーでお会いした方々から聞いた"新たな自損

          ①本ブログを「消費者主導の地産地消」の具体策を提言するブログに変更します

          「水」の次に枯渇しつつある資源は何か、知っていますか?

          21世紀の世界で最も争奪戦が激しくなる資源は「水」で、すでにエジプト、エチオピア、スーダンの間では水を巡る局地的な紛争が起き、死者が出ています。 中国がチベットを絶対に手放さないのも、チベットが中国、インド、バングラデシュなど巨大な人口を持つ地域を潤す「世界最大の水源」だからです。 人類の水の総使用量の内訳は、国によって若干の差はあるものの、「農業60%、工業30%、生活10%」とされ、人類が文明と生活の維持のために活用できる淡水は、人口増加と環境汚染により、年々減り続け

          「水」の次に枯渇しつつある資源は何か、知っていますか?

          手漕ぎボートで働くフィリピン漁民の現代ならではの要望

          日本と同じく島国のフィリピン。 離島と無人島の数は日本以上に多く、全ての島を合わせるとその数は7107とされています。 そのため、日本のように鉄道で全国を回ることはできず、大都市間の移動には飛行機が頻繫に使われますが、もっと近距離の島への移動だと船での移動も一般的で、世界の船乗りに圧倒的にフィリピン人船員が多いのは、子供の頃から水や船の取り回しに慣れており、船酔いせず、長期の航海も楽しむ明るい国民性を持ち、海に親しんでいるからです。 私は昔から近現代史、とりわけ戦争の歴

          手漕ぎボートで働くフィリピン漁民の現代ならではの要望

          英語ハッシュタグで、お手軽「リモート市場調査」をしてみよう。

          インターネット文化の一つの象徴である「タグ(札)」は、コンテンツをフィルタリングして検索、分類、選択するためのツールで、長年「単語」がその役割を担ってきました。 ところが、たった一つの記号が単語だけでなく文字列、フレーズ、短文までも「札」に変え、タグの意味と影響力を根本的に変えてしまいました。 それは、言うまでもなく「ハッシュタグ(HT)」のことで、その生みの親とされるクリス・メッシーナは、ドライブで偶然遭遇したカリフォルニア州サンディエゴの山火事を見て、「大変だ、みんな

          英語ハッシュタグで、お手軽「リモート市場調査」をしてみよう。

          タイ人の旅行代理店社長が、ユニークな日本ツアーを提案してきた。

          コロナでしばらく旅の機会がないとはいえ、改めて近年のインバウンド需要の伸びやLCCの普及を振り返ると、「海外」はかつてないほど私たちに身近になり、また、日本も世界の人たちにとってより身近な国になりました。 日本のイメージも昔の「忍者、神風、富士山、芸者」から「ハイテク、自動車、ゲーム」に変化し、今ではラーメン、和食、アニメとより生活に根差した事柄になり、訪日回数が多い外国人観光客の中には、日本文化に対して日本人顔負けの知識を持つ人もいます。 また、旅行情報が充実した結果、

          タイ人の旅行代理店社長が、ユニークな日本ツアーを提案してきた。

          あなたの輸出製品に『特定原産地証明書』を取得したら、「関税がいくら課税されるのか」が分かる方法

          今日は輸出で避けて通れない「輸入関税」についてのお話です。日本とEPA協定を結ぶ国との間で有利な税率の適用を受けるには、何をどう調べ、どう準備したらよいのでしょうか。 ◆「輸入関税率」が分からずに輸出の準備が止まる会社もある 輸出を行う時は、国内事業では考えることがない手続、書類、許認可について調べ、コストや所要日数を計算する機会が増えます。 そのうち、船便や航空便の運賃、輸出通関における申告料や貨物の取扱に関する諸費用は、運送会社か通関代理業者に問い合わせれば、日本で

          あなたの輸出製品に『特定原産地証明書』を取得したら、「関税がいくら課税されるのか」が分かる方法

          海外ニーズを満たした「輸出用の加工食品」を地方は作れる

          今日は、地方の農水産品が、海外販路を獲得する一つの手段となる「加工食品」というオプションを持つと海外展開のチャンスが広がるという話題です。 ◆「農林水産物・食品の年間輸出額1兆円突破」のニュースを見て さる9/16、九州の農業関係者の間で話題になったニュースを見かけました。 ▼「日本‶農産物〟輸出1兆円を手放しで喜べないのはなぜ?」 このニュースでは、いわゆる「爆買い」の絶頂期に、「抹茶KitKat」が外国人に大量に売れていた頃から、農業関係者の間で冷ややかに語られて

          海外ニーズを満たした「輸出用の加工食品」を地方は作れる

          本来の意味の「プラスチック」を知ると、世界の見え方が変わる。

          今日は、 「よく耳にする言葉でも、由来を正確に知らなければ、情報を的確に理解できず、物事の判断を歪めてしまうこともある」 と感じた体験談をご紹介します。 昨年7月にスーパーやコンビニで始まった「レジ袋の廃止、削減」という社会的な取り組みを通じて、一気に注目度が高まった「プラスチック(plastic)」という日本人にも耳慣れたこの英単語について、皆さんはどのようなイメージをお持ちですか? また、「プラスチック(plastic)って何?」と聞かれたら、皆さんはどのように説明し

          本来の意味の「プラスチック」を知ると、世界の見え方が変わる。