風の谷のナウシカ読後感想

2019/11 の感想見つけた


「これは自然栽培のことを書いている本だと思うんだよね」

と言われたから読んだ。

ナウシカさん、全然映画の内容と違ったからびっくりした。

巨神兵がナウシカのことをママと言いながら空を飛ぶ描写なんてどこにもなかったぞ、、、

自然栽培との直接のつながりというよりも、腐海の役割は地球上の植物とか災害とかと同じで、災いと呼ばれるものは本当はすべて人間の仕業であるという考えにひどく共感した。

お金と地球を天秤にかけている世界、いつか地球にも大海瘴や火の七日間のような日が訪れても不思議じゃない。


気になったところをいくつか列挙したいと思う。


①土民の研究者たちが開発した粘菌(変異体)

・遺伝子をすべて書き換えたかなんかで常温に置いたら爆発的に増殖する粘菌を開発した。

・人間によって制御できるとされていたが結局保存容器を破裂させ、地球を襲う大被害になったが誰も制御方法が分からない

・開発の段階で名誉やお金のことを口々に言う人の姿を強調して描いている


理系だからか妙にこのシーンが刺さった。

自分たちが研究している理由は何か?

もし私が聞かれたら迷わず卒論のため、と答えるだろう。研究を始めた動機が受動的だからだ。

研究者という職業だからお金のために開発をする。

目的が名誉やお金になったとき、本質を見失った時、人は取り返しのつかないことに足を踏み入れていることにさえ気が付かなくなるのかもしれない。

実際、現実でも新薬の開発によって新たな病害や副作用が出ることや新技術が地球温暖化を助長していることはざらにある。

本質を見失ってはいけない。何のためにこの作業をしているのか、生きているのか。

目的がはっきりとわからない、誰かがこうだといったから、自分の意志はどこかわからない。

そうなったとき本質的な幸せもつかみにくくなると思っている。


②皇弟様か忘れたけど闇そのものみたいな存在が死んだときナウシカは見捨てず天国まで導いたシーン


戦隊モノのアニメで敵が死んだとき、闇に葬り去ってヒーローはガッツポーズ、みたいなことになるのが普通だ。

振り返ればちっちゃいころから「悪者はやっつけて地獄におやりなさい」

と無意識に教育されてきた気がする。

ナウシカは違った。

悪の手先が死んで、魂だけになったとき闇に返すのではなく明るい場所に一緒に行こうといって手を差し出した。

悪の魂は次第に喜びとやさしさの感情を思い出し、最後は天国に笑いながら飛んで行った。


小さいころから「悪者排除は正義」

という感覚を植え付けられるからこそいじめが起こるのではないか?

人間は自分が悪の手先だとおもって他人を排除しようとするのだろうか?

自分が正義だ、と思うからこそ悪者排除(いじめられる人を悪者とする)をするのではないか?

そう思う。

唐突だけど戦隊もののヒーローは割と狂気の沙汰だと思う。

言ってしまえば暴力で当事者視点からの悪者を殺し、視聴者に喜びの強要をしているようなものだ。

世界がナウシカのように、憎しみも傲りもない愛をもって他者と接しようと思ったらいいのになあ。


圧倒的蛇足ですが、テレビが決めた悪者を視聴者も悪者だと思うあたり、日常生活にも似た現象が起きていると思っている。

みんなの嫌われ者だから、人を傷つけたことのある人だから距離をあなたも距離を置いた方がいいよ。

と言われると本当に腹が立つ。打ちながら腹が立ってきた。

その人の価値を他人からの評価で推し量ることは自分自身が流されることになる。

怒った気持ちを落ち着けて、言いたいことは合わない人はいると思うが他者が決めつけた悪者とは何なのだろう、、、?

強くなりたい。


③最後のナウシカのセリフ。


シュワの墓場に行き、墓場の内部にあった先人が残した「未来人を生み出し平和な世界を作るためにプログラミングされた装置」(*現代人は滅びるように設定されている)をナウシカは発見した。

無慈悲に定められた未来を歩く必要はないといって巨神兵を使って装置を破壊し、未来人のものとなるはずだった血の海を見て思ったセリフ

ナウシカ「オウムと同じ真っ青な血、、、」驚いたような悲しいような顔

森の住人セルム「これは二人だけの秘密ですよ」


え、ここで終わるんかい


何を思ったのかご想像におまかせといったところのように思えたので考えてみました。


オウムと同じ真っ青な血、、、

未来人はオウムと同じ血ということは浄化された現代人が住めなくなった地にはオウムも住めるということになる、、

青い血を流す生き物はすべて先人が作り上げたものたちだ。

先人がプログラミングしていた平和な未来とはもはや自然が作り出した生き物はいない人工生物の楽園だったのか、、、


でも、オウムが人造生物と知る人は少ないのでセルムが「2人の秘密」といったのか?


もっと深いわけもありそうだなと思う。

また読む機会はきっとあると思う。

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