てはじめに

こんにちわ
ジャンボです
今日もお読みいただきありがとうございます

今回はタメになる、かタメにならないかは其々ですが
『アーティストのステージングなどを撮影したり録音したり』
のお話。
専門的な細かいところは解釈が違うかもしれませんが、ご容赦を。

よく「著作権が〜」「肖像権が〜」なんていうのはよく耳にされると思います

著作権、分かってるようでよく分からない言葉かもしれませんが
【著作物を創作した者がもつ権利】
です
分かりやすく音楽でいえば、
曲の歌詞、メロディを作った人、言い換えれば作詞した人や作曲した人に与えられた権利のこと
最近では、編曲した人にも付与されることが増えてきました

次に肖像権、こちらは冗談半分でもよく口にする方も多いので分かる方もいらっしゃるでしょう
要は、人の姿、形など、勝手に使用されたり悪用されるのを保護するための権利です

前談が長くなってきましたが、なぜこれらが今回のテーマに繋がるのか、説明していきます

イベント中の撮影について、禁止だったり写真だけはOKだったり、オールOKなんてこともしばしばあります
「全面禁止」の場合や「部分的禁止」の場合、主催者側または出演者側で禁止とするわけですが、
ここで、禁止する時の文句に「著作権的に〜」とか「肖像権が〜」と出てくるわけですね

そうやって言っておけば誤魔化せるから、専門的知識がない方にはそれで通用する“だろう”から、若手マネージャーやアルバイトさんに注意に行かせたりすることが多々あります
当然、専門知識が不足している彼らは、注意するだけなので、お客様から逆に言い返されたりして困っている人を見ることが多くありました

「そんななんでもかんでも禁止禁止言ってるから遅れんだ、だから撮って拡散して良いよ〜」なんて軽く言うアーティストも見かけます
日本の著作権法は、遅れているのではなくて【手厚い】ことでよく知られています
著作者や“それに携わる人々”の権利をしっかりと守ってくれています
もちろん、情報が拡散されてヒットすれば良いのも当然の話ではありますが
今日はそこではなく、もっと伝わりやすい言い方という点で話しておこうかと思います

録音や録画を注意した方から「個人で楽しむ分なんだから、良いだろ」とご意見されて昔は困ったことがありました
確かに、ダビング(という言葉自体懐かしい)する時の私的録音や私的録画は、定められた範囲内では認められています
しかし、撮影が禁止にされている場合の争点はそこではなく、「録音すること自体」や「録画すること自体」についての権利者の権利が関わってくる話です。

そこで私も少しキャリア積んで知識を得てからは、撮影ご遠慮頂けますか?と促した後に言い返されたらこう答えるようにしています
「この曲を録音する権利を持っているところから、録音権の侵害で数百万、下手したら数千万数億と請求きちゃうかもしれないから、やめといた方が良いかもしれないですよ?禁止させてるのではなくて、あなたの事が心配なので伝えてます」

「著作権的にNGなんで禁止です」
と言われるより怖いですよね汗

少し著作権の話に戻りますが、
「著作権」というのは、著作者がもつ権利であって、実演家やレコード製作者、放送局がもつ権利は、その著作物に隣接する人々の権利として「著作隣接権」といいます
我々マネージメントプロダクションが持ちえる権利や、実演家(アーティスト、歌手など)がもつ隣接権をマネージメントすること、およびレコード製作者としてもつ隣接権者としての立場になります
注意したあとに「作曲家じゃないお前にそんなこと言われる筋合いない」と怒鳴られたこともありますが、この隣接権を引き合いに出したら尻尾を丸めてご退散なさいました笑

ということで、私が注意する時は「禁止だからやめて」ではなく「高額請求されたら困っちゃうだろうから、やめといた方が身のためですよ〜」と促す方に舵をきったということです

さて、少し長くなってきましたがもう一点
肖像権というお話
よく「肖像権」という言葉は聞かれると思います
肖像、つまりは容姿、形がもつ権利で
勝手に写真や動画を撮られたり、またそれらを勝手に使われないようにするための権利、といった感じでしょうか
勝手にSNSに子供の写真載せられた、とか今の時代っぽいことですね
ですが、有名人、となると有名税といわれるように、写真が拡散されたりしてしまうこともしばしば
売れるというのはそれをある程度覚悟しなくてはならないわけです

しかし、有名人や芸能人、スポーツ選手にもプライバシーはありますので、勝手に撮る使うなんて言語道断ですよね

では、マネージメント側の立場として、この肖像権についてどうやって扱っているのか、というところですが
本人に代わって「肖像権の侵害になるからやめてください」というのももちろんあります
ですが、事務所が被る被害はプライバシー面ではなく、言ってみれば“商品”ともいえるタレントの肖像を無許可・勝手に使われることによる損害、損失になります
そうしたそれらを守るために【肖像パブリシティ権】という権利を認められています
よくテレビのトーク番組などで、話題に上がった方を写真やイラストで出したりしていますが、
なんで写真の人がいたり、イラストの人がいたりするんだ?と思われたことがありませんか?
放送局側は、写真を使う際は本人サイドの許諾を得るのですが、厳しいところだったり、本人が連絡不能な際にイラストになったりしています

冒頭の撮影OK NGの話には、今回出した権利が絡み合っているわけです

イベントの購入特典としてツーショット撮影を付属させていることが多くありますが、
イベント中に写真を撮れるならツーショットいらないから購入しない、となると、
せっかく販促イベントとして実施したのにな、と関係者達は嘆くことになってしまいます
そこで、写真撮影は全面 NGという可能性がうまれます
これは3番目に書いた肖像パブリシティ権に該当することでしょう
または、イベント中の撮影を許可した場合、タレント本人の意図しない瞬間にシャッターをきられることが多くあります
というか、ほぼ撮られる側には選択権はありません
それを本人側で嫌うためにNGを出すということもあります
これは、プライバシー的な肖像権の面もあり、かつ変な写真やコラージュ使用されて被害をうけないようパブリシティ権的な面もあります

録音や録画になると、この二つの肖像権だけでなく、最初に出した著作権や著作隣接権が関係してきます
録音の際は、著作者への録音の許諾、隣接権者への録音の許諾、表現者への録画の許諾全てが必要で
録画の際は、これらに加えて、肖像を撮影することの許諾が必要になり
もし、それらを認めてもらったとしても、対価を求められたら払わなくてはなりません
私が担当してきたタレントは比較的写真OKでやる事が多いので、よくお客様から聞かれます
「撮影した写真をSNSやブログで使って良いですか?」

これ、ずる賢いというと怒られちゃうかもしれませんけども、ここまでの権利のことを分かってて言ってくる方と、知らないからこそ聞いてくる方に分かれます
“事務所に掲載許可もらってます”って書けば苦情があっても逃げられると知ってるのが前者
純粋な気持ちで、許可をもらいに来てくれる方が後者
私も、何もかにも禁止にしたくはないので、
「よほど変な写真じゃなきゃ良いですよ」
とは言います

ただ、必ず付け足すのが
「許可は簡単に出せないから、知らなかったことにするので、こちらから下げてって連絡したら消してくださいね」
とお願いするようにしました
動画撮影や録音と同様に、高額な請求されないようご注意頂ければと思います

長くなりましたが、
イベント開催などは、お客様がいらっしゃらないと成立しません
皆様のご協力のもと開催ができておりますので、
これからも節度を保ち、ルールに則ったご参加をよろしくお願いします
そして、アーティストはそれぞれ人一倍努力をしています
その努力を応援して頂く為にも、さまざまな形でご声援を頂きたいと思います

最後までお読みいただきありがとうございます

※私見が大いに含まれております。専門的な見地で間違いもあるかもしれません。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?