『わたしを上手にダマして』

はじめに
 突然だが、認知症高齢者を題材にした短編物語を作ってみようと思う。というのは、認知症の超独特な世界観を多くの人に知ってもらいたいからだ。そして、その世界観を知れば認知症の人だけでなくきっと純粋に人を愛せるのではないかと思っている
 このタイトルは以前働いていた老人ホームで不安の強い認知症利用者を語った時、対応した職員がふと言い放った言葉である。認知症の人を対応する時、安心してもらう為にウソをついたほうが言いときがある。ウソは悪いことなんて思うかもしれない。それに“認知症”、“ウソ”ときたら、「何それ、なりすまし詐欺の話?」なんて思うかもしれない。でも、彼らにとってウソをつかれることより、現実の答えに直面する方がよっぽど辛いはずだと私は思うし、現場を知る人もそう思うのではないかと思う。なにせ、自分が認知症だと自覚がない人の方が多い。
 なぜ彼らが不安かというと、それは説明しきれない。ただ一つ言えるのが、どうしても現実との錯誤に踊らされ不安が生じるのだと思う。彼らはやはり事実が知りたいのではなく、自分の事をただ一人の尊厳を持った人として認めて欲しいのだと思う。
 ともかく、こういった部分を実際にあった場面に置き換えて多くの人に認知症を知ってもらいたい。

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