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マジック・催眠・宗教

先日、エデン難波の3種類のバーに行った。
それぞれマジシャン、催眠術師、宗教家の方々に色々聞いてきたところこの3つのジャンルの似ているところと違うところが見えてきたのでまとめてみる。
※宗教の部分に関しては私の経験をもとに書いているし宗派も色々なのであくまで参考程度に。

関わり方と操作

マジック

1対多のコミュニケーション。基本的に、相手の不意をつくスタンス。なにが起こるのかをあえて先に言わず、相手の集中する先をわからせないように誘導する。
また、相手に警戒心を持たせたまま、その隙間を縫った意外性を演出する。
おそらく相手の意識がどこに向かっているのかが明らかであるほどやりやすいので、警戒している相手の方がやりやすいと思われる。
→顕在意識の操作に特化した技術、といった印象。

催眠術

原則1対1のコミュニケーション。相手の同意なしには絶対行わないし、なにが起こるのかを必ず伝えてから行う。
相手の集中力をうまく高める働きかけを行う。
相手の警戒心を緩め、催眠術に対するポジティブな印象を持ってもらってからじゃないと始めない(というか、そうしないとかからないそう)
→潜在意識の操作を主にやっている印象。

宗教

1対1のコミュニケーションに始まり、次第にコミュニティへの参加に繋げていく。相手の警戒心をダイレクトにほぐしに行くのではなく、先に信者になった家族や友人等の信仰心から発露される親切を通して信用させ、ともに信仰させる方向に持っていく。場合によっては、指導者の圧倒的カリスマ性を活用することもあり。
洗脳に関しては色々やり方があるが、洗脳されていると思わせずに洗脳することが多い。まだ入信しておらず洗脳されていない側の人々をむしろ「悪い習慣に染まっている」人たちとして扱い、「自分達は選ばれている」という意識をもって内部での連帯を強める。

パフォーマンスと世界観

マジック

最初からキメていく。服装はパシッとしたスーツや華やかめなメイクが多め。(普段の3割増しでかっこよく見えそう)キメはするけど、トークは軽くコミカルに。キザすぎず、キザに振る舞う。
ミスをしたとしてもミスをした顔を絶対にしない、ペテンの技術(ある種、勝つスタンスを最初からとっているので合気道的かもしれない)
即興性が大事で、ミスを指摘されたとしてもそれを上回るマジックで感情の書き換えを意図的に行い、うまくうやむやにする。
いきなりマジックを披露するのではなく前後のトークで世界観の展開を行い、場を盛り上げる。
世界観は展開するもののあくまで自分がスゴイ!と思わせにいくのではなく相手をさりげなく立てて褒めることに徹する(このカードを選べたお客さんがスゴい、等)
不思議な世界を作り上げながらも万能の神のように振る舞うのではなく、魔法操る魔法使いのように振る舞う。

催眠術

服装は特に決まっていなさそう。ミスをしたとしても致命的でないという雰囲気を作り、ゆるいリラックス空間を展開する。
何度でもリトライすることを前提にした長期的な関わりを相手との間に少しずつ行なっていく。(いきなり複雑な催眠にかかることは少なく、まずは簡単なものから始めていくのがセオリー)
催眠をかける時の話し方の工夫が特徴的で、就学児にもわかるような語彙の選択して優しく語りかけるように行う。
相手を操作してはいるものの、伴走者のように一緒に行う雰囲気がある。

宗教

構成要素は、「何らかの超常現象」と「思想」である。(仮説)
ユニフォームのようなものを用意して「わたしたち」感を強める。非日常感の演出。
信者の余ったエネルギーを発散させる先を提供している(ボランティア、布教活動、大会など)
それに頼らざるをえない状況になって出会い、信仰を始めるパターンが多い(強いつながりは得られるが、制約もそれなりに多い)
信仰を続けた先のぼんやりとしたビジョンは共有するが、それが起きなかった時は信仰心がないorもっと信仰を続けた先に起こる、みたいな保険をかけて失敗をなかったことにするロジックの組み立てが巧み。
良いこと悪いこと、なんでもネタにできるので話す内容に事欠かない。「わたしたち」の形成に特化している。

総評・まとめ

3者どれをとっても「人に対して見せたい世界を見せ、操る」という共通点があるがそこに向かうためのアプローチが異なっているのが興味深かった。
マジック、催眠術はなかなか宗教と並べて語られることがないなと思って書きはじめたが、やはり宗教に関してはその2者とは違い信者の獲得やその後の維持のための関係づくりや制度などが密に考えられている(まあ、そうしないと宗教たりえないのだろうけど…)ということを改めて感じられたように思う。マジシャンや催眠術師に熱心なファンやリピーターが生じてもその状態があまり固定されないのは宗教のように制度化されておらずあくまで個人の活動として行なっているカリスマ性の限界なのだろうと考えた。

今回はマジックや催眠をみせてもらい宗教的な話を聞くだけだったので深い部分まで聞き込むことはできなかった。
今度行く機会がある時はパフォーマンスを行う際に気をつけていることや難しく感じているところ、何をきっかけに始めたのかなどを詳しく聞けたらもっと楽しめるのかもしれない。

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