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緻密さの概念

また学問バーに行ってきた。今度は前回の文化人類学から趣向を変えて代数学。高校数学までしか知らない私でも十分楽しめたし学びがあったので色々書いていこうと思う。

きっかけ

私自身、大学受験の時は理系で数学は得意な方だったし父も数学科出身なので多分数学的思考センスはあるんだろうな〜あればいいな〜と今までうっすら思っていた。
だけど、父以外に数学を専門的に学んだ経験のある人にいままで出会ったことがない。彼らの思考にはどのような特徴があり、何について考えているのか。そもそも代数ってかなり難しそうじゃん…。みたいな興味関心が重なり、抽象的思考に強い友人と一緒に行くことにした。

何をやっていたのか

数学っぽく説明

※何をやってたのか詳しく書くと(私含め)誰もわからなくなりそうなので結構ふわっと抽象化して書いてます 間違ったこと書いてたらスミマセン

数字を扱うときに、一定の操作をして違う数字に変化させることがある。例えば、足し算とか。同じ3を足すのでも1に足せば4になるし3.5に足せば6.5になる。この、ビフォーアフターみたいな数字の組み合わせ(足し算の例だと、(1、3.5)と(4、6.5)みたいにセットにする)をまとめて取り扱うときに数学ではグループ化して扱う。

グループ化のイメージ図。
複数のビフォーアフターをXとYのグループに
とりあえず分けてまとめて取り扱う。

その、2つのグループの組み合わせを使って全ての数字のことを表そうとする!というとんでもなく範囲の広い問題があり、発表していた人はそのうちの限られた条件の時に「これは成立するぞ!」というのを修士論文で書いたらしい。

料理で説明

ここまで書いて、数学があまり好きでない人には伝わりにくそうな気がしたので例えに置き換えて書いてみる。

これは日常生活における料理とだいたい同じで、グループというのはそれぞれ食材と出来上がった料理のことを指している。
図では1対1対応のものしかないが、数学では操作をした結果が1つでない場合もある。そこが少し料理っぽい。同じ食材を使っても違う料理ができることがあるし(カレーを再現しようとして肉じゃがを作ったり、とか)
しかも、操作をしたあとは元に戻せない。料理も、一度火を入れたり混ぜ合わせたりしてしまうと元の食材には戻せない。
そして、発表されていたバーテンの方はこの食材と料理の仕方、できあがる料理の組み合わせを使ってこの世の全ての料理(数字)を現そうとした結果、「日本料理においては醤油を使っておけばこういう感じの料理ができることは分かった」みたいな感じで限定された場合における成立条件を整理した。そんな感じだった。

料理をいかに表すか

同じように数学を専攻されていた方から発表の途中にたくさん質問が出ていてとてもアツイ議論が交わされていた。
多分、料理に例えると
「ここで食材を焼くのはどういう目的があって焼いてるのですか?火を入れるのが目的ならば揚げるのでも可能では?」「いや、とりあえずここでは一旦焼く場合に限って説明しようと思ってて…」「なるほど」とか、
「この料理をする時の食材は魚ですか?肉ですか?」「いや、どっちでもいけます」「なるほど」
みたいな感じの緻密さで一つ一つのプロセスを検証していた。(あくまでざっくりとした印象だけど)
また、発表内容を代数学の範囲内でやるのはそこそこ複雑になってしまうので幾何を使って整理すればよいのではないか(料理で例えるなら、調理方法で細かく区分けして考えるのではなく、食材とできた料理をダイレクトに見比べて視覚的に分類すれば良いのでは?みたいなイメージ)という意見も出ていて、同じ数学というカテゴリの中でも色々やり方が違っていて奥が深いということがわかった。

緻密さの概念

切り分けと下準備

一通り聞いて思ったのは、経験した出来事を一般的に取りまとめて扱う際の切り分け方(場合わけ)がまず重要であり、その切り方がうまければうまいほど後々の料理(操作)がしやすくなるんだなということだった。
いくら料理が上手なシェフでも、食材がごちゃ混ぜにされた状態で用意されてたらやっぱり料理しにくいと思うし、食材ごとに下準備の仕方を変えなきゃいけない。そんな感じの話だった。
今回話されていた代数学の分野で数字の操作について表すのはなかなか長くなってしまうし色々細かく条件分けしてガッツリ考えないといけないので大変そうだったが、それでも他のやりやすそうな手段を使わずに代数学で証明にチャレンジしてみる!という精神性が美しいなと感じた。

扱い方のクセ

私たちは物事を緻密に扱おうとする時、きっと自分の得意な切り分け方で丁寧に扱おうとするけど、それは違う切り分け方を得意とする人のほうがもしかしたらスッキリとできるかもしれない。逆に時間をかけて細かく分解することでしか得られない視点というか副産物のようなものもあるのかもしれない、と考えた。

自分に置き換えてみて

今回の話は私の普段の生活にはあまり馴染みがないことかなと思いながら参加したが、実際にそこで話されていた内容や考え方は普段自分が仕事の優先順位を考えたり人の話を聞いて理解するときの考え方(行為の時間的・空間的な分岐点を意識しながら場合分けしてその先を考えつつ最適解を模索する)と似ていたことが分かり、今までよりもさらに数学が好きになった。

他に来ていたお客さん達は数学科卒の方が多くてガチな議論がたくさん交わされていて最初は正直少し尻込みしてしまったが、思い切って勇気を出して「高校数学までしかわからないんですが…」と質問できてよかった。教えてもらう時もポイントをわかりやすく説明してもらえたので大学レベルの数学の素養がない自分でもちゃんとついていくことができた。
こうやって少しずつ、自分の知らない分野に対してはみ出しながら自分の考え方のスタンスを見極めつつ越境していきたいなぁ、とか考えながら友人と帰りにラーメンを食べて帰った。

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