見出し画像

旅先での「ひとりごはん」を楽しむ3つの心構え

出張の帰り、あまりに疲れて家に辿り着かない気がしたので熱海で途中下車して温泉に浸ったり仕事したりでリラックス。湯上がりにビールを飲んだらさらに家に帰れる気がしなくなったので、近くのホテルに泊まることにしました。

熱海駅からちょっと離れたところにあるホテルにチェックインしたのは夜8時頃。お腹が空いたので街の灯りに向かって居酒屋を探しに歩き始めます。

都内だとGoogle Mapの営業時間って結構正確なんですが、地方ってまだまだネットの情報が正しくないところが多いんですよね。

「営業中」とGoogle Mapに書いてあっても、しっかりシャッターが閉まってる店に3件当たったあと、テクノロジーに頼らず野生の感を取り戻すべく「いい匂いがする方」へと歩くことにしました。

熱海のビーチから裏路地に少し入ったところから、魚を焼く匂いがしてきました。海外生活が長いので、普通はこういう薄暗い路地ってのは避けるんですが、ここは日本ですので大丈夫。しかも熱海で魚を食べないでどうする、ということで奥へ奥へ。

雨風食堂

ありました!これこれ、この食堂って感じのたたずまい。絶対に美味しいやつじゃん。ガラガラっと引き戸を開けるとカウンターと座敷があって、奥からおばあちゃんが「いらっしゃい」と声かけてくれたので、私は人差し指一本で人数を伝えます。

「いま、お客さんたくさんいて時間かかるけど、ここでどうぞ」と笑顔でカウンター席に案内されて座ると、奥で調理してるおじいちゃんが小声で「あれ、またお客さんきちゃったのかい」とボソっと呟く。この雰囲気、大好きです(笑)

店内のカウンターと煩雑なメニュー

店内は座敷とカウンター。座敷には韓国から来たっぽい若者が3人、老夫婦が2人、地方から来た出張組っぽい人が3人、カウンターにカップルが2人。確かにおじいちゃん1人キッチンにはキャパオーバーかもしれないですね。

手書きのお品書きは壁に貼ってあって、全くカテゴライズされていないので、外国人はどうやって注文してるんだろうって思いながら、とりあえずビールとしらすおろしを頼みます。

雨風グループってチェーンなのか?

ビールをちびちび飲みながら、壁のメニューをひとつひとつ吟味していきます。しばらく迷った挙句、隣のカップルがアジのたたきを食べていたので、壁のどこにも書いていないけど「アジのたたき定食」を注文。ちゃんと出てくるかな?まあ、食べている人がいるから絶対あるはずなんだけど、ちょっとだけドキドキしますよね。

しばらくして、定食がでてきました。「待たせちゃってごめんね」とおばあちゃんが小さなとろろ蕎麦をつけてくれました。
「わぁ、嬉しいねぇ。じゃあ、ビールもう一杯」と追加注文。喜んでくれるおばあちゃん。こういうほっこりする時間て素敵だなぁ。

アジのたたき定食

その後も何組かお客さんが入ってきて、黙々と調理するおじいちゃん。このアジのたたき定食だけでも1日10食くらい作ってたとして、年間約2000定食。30年はやってそうな店だから約6万食。6万回もアジのたたき定食をつくってるんだから美味しいにきまってるよね、と勝手に妄想してありがたみMAXで食べ終わります。

帰り際におばあちゃんが「どこに泊まってるの?」と聞いてきたので歩いて15分くらいのところだよ、と答えると「あら、遠くから寒いのに大変ね。国道越えたところにも居酒屋が何軒かあるから、もういっぱいひっかけていったら?」と笑顔でお見送り。
私はお腹も心も満たされちゃったので、気持ちよくホテルに戻って爆睡しちゃいましたが。

旅先でのひとりごはんを楽しむコツ

こんな私も若い頃は1人で外でご飯を食べるのがなかなかできなくて、結局安心できるチェーン店にいくかコンビニ弁当で済ませちゃってたんですが、オジサンになってコミュ力が上がったのか、こういうシチュエーションをものすごく楽しめるようになりました。ここでいくつかのコツを共有したいと思います。

地元の人とのコミュニケーションを楽しむ

まず、泊まってるホテルや旅館の人に「このあたりで手頃で美味しい1人でも入りやすいお店ありますか?」って聞くところから始めましょう。年配の方のほうが知ってるところが多いです。
お節介なオジサンとかだと、「俺の紹介って言えば通じるから」みたいに言ってくれるときありますが、あんまり通じたことないので、そういうのは無視しておきましょう(笑)

店に着いたら、お店の人にもおすすめを聞きましょう。単に「おすすめは?」って聞くのもいいですが、「お魚食べたいんですが、何がいいですかね?」とか多少希望を言うほうがコミュニケーションが弾みます。
美味しかったら、お店の人にも紹介してくれた人にも感謝の気持ちを伝えましょうね。

自分は店のオブジェであると自意識をなくす

注文して待っている時間など、周りの人の目を気にしておろおろしがちですが、ひとりでご飯をたべているオジサンのことを気にしている人なんて誰もいません。
意識を自分ではなく、お店の細かい点に向けましょう。食器、小さな置物、レジの近くのメモ、他のお客さんが食べているもの、キッチンが見えたら中で働く人の姿などを観察しながら、時間を過ごしましょう。

ひたすら目の前の食事と雰囲気を楽しむ

食事が届いたら、スマホとか見ないで目の前の食事を観察しながらゆっくり口に運びましょう。これは「食事の瞑想」の一つの手法で、食べ物の見た目、匂い、質感、音、味を意識的に感じ取りながら、一口一口の感覚に集中していきます。他のお客さんがうるさいときはヘッドホンするのも私はありだと思います。その方が残りの感覚に集中できるからです。
時間をかけてゆっくりと味わいながら、名前も知らない旅人に美味しいご飯を作ってくれたことや、今という経験に感謝します。
毎日の食事でもできることなんですが、旅先のセレンディピティと組み合わせると、とても充実した体験になります。

これからひとりで出張する人、特に用事もないけど一人旅してみたい、なんて考えている人は、ぜひ実践してみてください。素晴らしい体験になると思いますよ。

面白かった、参考になったと感じていただけたら、ぜひスキとフォローをお願いします!
それでは楽しい旅とお食事を!






この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?