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文学の街


中学の頃に五木寛之氏の大ベストセラーとなった「青春の門」を熱中して読んでいた。主人公である伊吹信介の逞しくなっていく姿と一体となり、新しい本が発刊されるとすぐに没頭して読んでいた。
青春の門をきっかけとして当時出回っていた五木寛之の小説は大半を読破して、夏休みの課題に五木寛之の研究と題して、年譜などを作成した記憶もある。
当時は、自分の居場所が見つからず、本を心の居場所としていた。             自分が何がやりたいのかが見つからず、悶々とする中、伊吹信介の好奇心全開でやりたいことに突き進んでいく姿に憧れの気持ちを抱きつつ読んでいた。

以前に述べたとおり、私のネイタルホロスコープで3室牡牛座に水星で9室蠍座海王星と180度の関係であり、海王星の働きで物語と一体になりやすい。

五木寛之氏の本は、その後、しばらくインターバルがあったが、最近、時々図書館で借りて最近のエッセイを中心に読んでいる。

2年前にひとりで文学の街、金澤を訪れた。
詩人であり俳人でもある室生犀星、小説、戯曲で独特の美しさを築いた泉鏡花、禅を海外に広めた仏教研究家鈴木大拙氏の生誕地でもある。
五木寛之氏は生まれは福岡であるが、一時期、金沢に暮らし、金沢に関するエッセイも発刊し、金沢文芸館のフロアに何と金沢五木寛之文庫があり、懐かしい背表紙を目で追った。

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五木寛之

10代から関わりの深かった五木寛之氏のネイタルホロスコープを見てみた。10室天秤座に太陽、月、水星がステリウム、MCに合で文壇で確固たる地位と名声を確立されたことに象徴されている。
その背景として天秤座ステリウムの3惑星と山羊座土星、獅子座火星が調停というアスペクトにより土星と火星の葛藤のエネルギーがうまく調和され作品に昇華されているのではと思う。
また、牡羊座天王星、山羊座土星、蟹座冥王星の活動宮のTスクエアというアスペクト。初期の青春の門や東欧を舞台とした作品にも権力に対しての反骨精神が浮き彫りになっているのも天王星の働きではと思う。
また、最近の親鸞をはじめ、仏教をベースとした生と死を問うエッセイは冥王星、土星が効いているように感じた。
いずれにしても全体的に激しい葛藤が生まれてくる中、それを調和させる惑星の働きで月による大衆性も効くことで文壇での地位をゆるぎないものになったように思う。
私も乙女座冥王星による祖先の導きを感じ、また獅子座天王星による仕事や健康面での変革の働きが顕著にあり、そういう意味でも魅かれる要素があったように思う。


室生犀星
既に退職された私の上司であった方が金澤の生まれで、久しぶりに会った際に室生犀星の句集を頂いた。室生犀星が私生児で、継母との関係で苦労した幼少期を過ごしたことを知った。彼の句にはそんな彼の繊細な心情がちりばめられた句が多い。


しめなはの北なびきするみぞれかな
山茶花や日のあたりゆく軒の霜
そのなかに芽を吹く榾のまじりけり
水仙の芽の二三寸あられかな
ふるさとの身もと洗はる寒さかな
わらんべの洟もわかばを映しけり
鯛の骨たたみにひらふ夜寒かな
https://www.kanazawa-museum.jp/saisei/saisei/index.html


鈴木大拙館
鈴木大拙館はその斬新なデザインで、知られ金澤の観光コースにも組み込まれている。大きな樹木に囲まれた建屋は大きな池が存在しており、水面のささ波と光、空が映し出されて、それを見つめぼんやりと時間を過ごすことができた。鈴木大拙館で「禅のつれづれ」を購入した。その一番目の内容が自力と他力について書かれており、五木寛之氏と著作とも重なるものがあった。

https://www.kanazawa-museum.jp/daisetz/


最後に私の好きな田中裕明氏の一句を紹介したい。存命であれば私と同い年。詩情(ポエジー)をとても大切にされた。この句も季語は菊であるが、金澤とのつながりは触れられていない。その茫洋とした世界観に今でも惹かれる若手俳人が多い。

渚にて金澤のこと菊のこと



蓮は実に鈴木大拙記念館

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