見出し画像

《人間中心デザインとイノベーション》デザイン思考に触れてみた③

こんにちは、昨年4月から金融機関のデジタルマーケティング担当になったJUNです。
「思考を止めない」「思ったことをシェア」をnoteのモットーにしていますので、こんなご時世ですが引き続き発信していきたいと思います。

最近富士通さんの「Transformaiton by Design」を読んで、「デザイン思考を鍛えよう」と取り組んでいます。

今回はデザイン思考への理解を深めるために『「デザイン思考」を超えるデザイン思考』を読んで感じたことを書いていこうと思います。

こんな人には気づきがあるかも

読んでくれたら嬉しいです
  • デザイン思考について勉強したいと思っている方

  • ビジネスサイドで企画業務をしている方

『「デザイン思考」を超えるデザイン思考』を読んで

読書は楽しいですよね(すぐ忘れますが…)

著者はビジネスデザイナーの濱口秀司氏です。
パナソニック電工米国研究所上席副社長、ソフトウェアベンチャーCOO、米国のデザインコンサルティング会社Zibaエグゼクティブフェローなどの経歴を持つ方です。

こちらの書籍では、完全にビジネス寄りのデザイン思考について語っています。
そして、富士通の「Transformaiton by Design」では抽象的だったモデルの一つ、意味のイノベーションについて別の視点で語ってくれる書籍だと感じました。

ハーバードビジネスレビューの記事なので40ページほどしかないですが、非常にデザイン思考のエッセンスが詰まった内容でした。

細かくは記載できませんが、刺さった言葉と気づきを何個か紹介していきたいと思います。

総合格闘技「B/T/C」にデザイン思考で挑む

いま行われている競争とは、「B」(Business model:ビジネスモデル)、「T」(Technology:技術)、「C」(Customer experience:顧客体験)という三領域それぞれのアイデアを組み合わせた、総合的な設計者同士による高度なものである

『「デザイン思考」を超えるデザイン思考』より抜粋

Note CXOの深津さんも「B/T/C」という言葉を富士通さんとの対談でも使っておりました。私としては新鮮な言葉だったので、改めて深く知ることができてとてもよかったです。
会社のチームメンバーにも共有したい概念です。

富士通さんとの対談イベントはこちらで紹介されています。

一般的なデザイン思考ではイノベーションは生まれない

一般的に使われる「デザイン思考」とは、ビジネス上の問題解決を、異分野の人々が再現性あるプロトコルを用いて解決しようとするものであり、そのプロトコルの皮を剥いていくと現れるのは、ユーザ中心デザインである。つまり、「デザイン思考」を一言で表現すると「デザイナー以外のための『ユーザー中心デザイン』である」

『「デザイン思考」を超えるデザイン思考』より抜粋

こちらも富士通さんとの対談でも出ていた話題です。

「デザイン思考が広まればデザイナーの仕事がなくなりますか?」との視聴者からの質問に対して、富士通デザインセンター長の宇田さんが「デザイン思考は60点を素早く出せるようにはなるけど、120点や200点が出せるものではない(それはデザイナーの仕事)」と回答していました。

その意味が、別の言葉で語られることで、ああそういうことかと改めて腑に落ちました。

そしてノンデザイナーである私は、やはりまずはユーザー中心デザインをベースとした「デザイン思考」を当たり前のようにできるようになりたいなあと思いました。

冷静と情熱のあいだで考える:structured chaos

効果的なブレストをするためにはまず、思考のモードを論理思考と非論理思考の中間にもっていくことが重要である。一九九八年、私はその状態を”structure”(構造・論理)と"chaos"(混沌・直感)の中間にある「ストラクチャード・ケイオス」(structured chaos)と呼んだ

『「デザイン思考」を超えるデザイン思考』より抜粋

こちらも「Transformaiton by Design」で創造的問題解決の要素として紹介されていた「仮説推論」に記載があった部分と合致します。

「Transformaiton by Design」を読んだ際は「どのシーンで」というイメージまで持てておりませんでしたが、例えばブレストの際にという具体的イメージが持てたことで理解の解像度が上がりました。

こちらの書籍ではさらに、以下のようなことも語っています。

  • 直感的な思考からはイノベーティブなアイデアが生まれることも多い

  • 一方で不確実性が高いアイデアである

  • 大企業のトップには論理型思考の人間が多く、そういった人たちには受け入れられにくく賛否が分かれることになる

  • 一方で賛否が生まれるからこそイノベーションになりうる

ただし、前提として実現可能性は必須とも書いています。
ドラえもんの「スモールライト」はとってもイノベーティブですが、現在の技術で実現可能性はありませんのでイノベーションとして生まれません。

当たり前のことなのかもしれませんが、イノベーションになりうるアイデアってそういうことだったのか、と妙に納得しました。
不確実性が高いからこそ論理的な思考だけでは納得できない、そういったアイデアこそがイノベーションの種になりうる。
これは今後自分がイノベーションを語る際の定義としても使えそうです。

イノベーションをどう意識的に生み出すか:ユーザー中心デザインと逆を行け

こちらの書籍でもっとも興味深かったポイントは、「改善・改良でないイノベーションを生み出すにはどうしたらいいかの実践的なフレームワーク」を解説している部分です。
※改善・改良でないイノベーションとは富士通「Transformaiton by Design」でいう「意味のイノベーション」を指していると解釈しています。

だいぶ端折ってしまうのでわかりづらいと思いますが、『イノベーションはユーザーニーズベースの「ユーザー中心デザイン」のアプローチとは逆の思考の手順で生み出す必要がある』という発想には、「そこまで考え方をシンプルにできるのか」と衝撃を受けました。

一般的にユーザー中心デザインのアプローチはユーザーを知り、ニーズを理解することから始まると思います。これを本書では”「DTn」(Design Thinking driven by needs)”と呼んでいます。
思考の流れでいうと、ニーズから始まり、アイデアとして形にして、フレームワークとして形成する、といった流れになります。

イノベーションは逆の流れをする、ということです。
これを本書では”「DTf」(Design Thinking driven by frameworks)”と呼んでいます。
私なりに解釈すると、「フレームワークから始めるデザイン思考」ということかなと思います。

実際にイノベーティブなアイデアを生み出す具体的な方法論は本書で丁寧に解説していますので、詳しくはぜひご一読ください。

おわりに

最近はデザイン思考を理解するために、まずはいろいろな書籍を読んでいます。
そんな中でも今回は当たりを引いたな、と個人的に感じた書籍をご紹介しました。

会社員である私が常にイノベーティブなアイデアを求められているかというとそうではないかもしれません。
ですが、イノベーティブなアイデアの作り方をイメージできていない状態でいくら頑張ってみても、ヒット率は万に一つといった感じだと思います。

登山でいえば、未踏破の道でも頂上は目指せるかもしれませんが、できればけもの道や登山道で登っていきたいものです。イノベーティブなアイデアであればけもの道くらいしかないかもしれませんが…。

今後は今回得た知識をぜひ経験に変えられるよう、業務の中で実践していきたいと思います。

デザイン思考って面白そう、と皆さんのアンテナに少しでも響いていたら幸いです。


この記事が参加している募集

読書感想文

振り返りnote

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?