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特別展「和食(Washoku)」

国立科学博物館で開催されている特別展「和食(Washoku)」へ行く。
海外生活が長かったこともあり「和食」については思い入れもあり、以下、「和食」について整理しておきたい。

海外から見た「和食」とは?

ユネスコ無形文化遺産

「和食」は2013年にユネスコ無形文化遺産に選ばれている。
その趣旨を読んでみると、「和食」というものが、単に「食べモノ」だけでなく、自然との調和、文化、生活とも密接に関係していることがわかる。

<分類>
「自然の尊重」という日本人の精神を体現した,食に関する社会的慣習として提案。
<提案概要>
「和食」は,四季や地理的な多様性による「新鮮で多様な食材の使用」,「自然の美しさを表した盛り付け」などといった特色を有しており,日本人が基礎としている「自然の尊重」という精神にのっとり,正月や田植,収穫祭のような年中行事と密接に関係し,家族や地域コミュニティのメンバーとの結びつきを強めるという社会的慣習であることから,「無形文化遺産の保護に関する条約」(無形文化遺産保護条約)に定める「無形文化遺産」として提案し,「人類の無形文化遺産の代表的な一覧表」へ登録された。保護措置として,学校給食や地域の行事での郷土料理の提供,親子教室等の各種食育活動の実施,郷土料理や食文化に関するシンポジウムの開催等を実施。
<「和食;日本人の伝統的な食文化」の内容>
①新鮮で多様な食材とその持ち味の尊重
②栄養バランスに優れた健康的な食生活
③自然の美しさや季節の移ろいを表現した盛り付け
④正月行事などの年中行事との密接な関わり

文化庁文化遺産データベースより


Anthony Bourdainと和食

今は亡き、アメリカの著名シェフのAnthony Bourdainがインタビューで、「人生最後に何を食べたいか?」と尋ねられ(誰もが聴きたい問だろう)、すきやばし次郎の鮨を上げている。
(彼が各地の食を巡るドキュメンタリーが大好きだったが、残念ながら2018年に自殺している。ハノイでのオバマ大統領との会食も記憶に残る)


最後の晩餐は?と聞かれ、「すきやばし次郎」と答える。

もし、人生最後に過ごす都市を上げるとすれば「東京」。

ハノイでのオバマ大統領(当時)との会食


世界水準から日本の食はどの位置にあるのか?


最も意義ある物差しとしてはミシュランの星の数なのだろう。今月公表されたミシュランガイドで東京は引き続きレストラン数で第二位のパリを大きく引き離し世界でトップとなっている。


「和食」展で感じたこと


この特別展で様々な学びや気づきがあった。
ひと言で表現すれば、「食」は、まさに民族が長い年月を積み重ねて進化させている文化に違いない、ということ。

展示会では、各時代ごとの「和食」変遷が紹介されており、大変興味深い。つまり、その歴史を理解しないと、なぜ、世界に類をみない「和食」が誕生したかが理解できないからだ。


学んだことの例を挙げると、

・なぜ、和食は水から入るのか。

・日本人と海藻の関係性(特殊性)

・和食を変えた「麹」

・「うま味」とは?旨味、おいしさ、とは違う

・肉食を避けたのは仏教の影響だけではない

・稲作と国家運営の密接な関係  等々


そして「和食」の偉大さは(日本人の偉大さ、と言い換えてもいいのかもしれない)、外からの文化を、うまく自分の文化に昇華するイノベーション力、だと気がつくのだった。

具体的には!

すき焼き、カレーライス、オムライス、コロッケ、照り焼きバーガー、ナポリタンスパゲッティ、ラーメン、焼き餃子、焼きそば、カレーパン、カステラ、お好み焼き
これらも今や立派な「和食」です!

特別展で、唯一残念だったのは、英語表記がなかったこと。(オーディオはあるのだが)
インバウンドの観点も含めて、海外に向けて、もっとアピールすべき!
「和食」こそ、日本が誇るソフトパワーに他ならないと思う。

特別展では、「和食」を維持することの危機感も訴えかける。
これは教育(食育)も大きく関係すること。
そして、「和食」が、インスタントな文化の対極にあることを考えると、心の持ち様、心のゆとり、そして、それを良しとする社会・コミュニティ、が重要になるのではないだろうか。



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