見出し画像

表現方法の多様さ

ブルージャイアントという漫画がある。
宮本大というサックスに取り憑かれた少年がジャズの世界に羽ばたいていく姿を描いた成長の物語、とでも言おうか。
スポーツも音楽でも学術でも、広くとらえると練習、上達というフェーズがあり、それらを経て成功(勝利する)というステップに変わりはない。
本作も、練習の虫と化した大が、その素直さゆえに周囲とぶつかりながら成長していく様は、スポ根漫画にもつながるところがある。もしかしたら、一昔前のジャンプを表現するような魔法の言葉、
友情、努力、勝利
もしかしたら、現代とはそぐわない面があるかもしれないが、もろに影響を受けた自分としては、本作も非常に楽しんで読んでいる。

ゆる言語学ラジオというpodcast番組を愛聴していて、最近、味の表現のことを取り上げている。自分を始め、何かを食べた時の表現のレパートリーの少なさを気にされている方もいるかもしれない。そんな人は一聴の価値ありだ。
基本、自分も「うまい」「まずい」くらいしか表現方法がなく、食事中に妻に料理の味を「どう?」と聞かれても基本、そのいずれかしか答えず、もはや”うまいまずいbot”と化している。
確かに、味は長さや重さなどん計量できる指標ではないため、数値などの共通の物差により共有することができません。
となると、別な表現方法で伝達する必要が出てくるのですが、この多様性が面白いところです。
・甘い、辛い、しょっぱい、苦い、酸っぱいという味の要素
・パリ、サク、にちゃ、ねば、ごりといった食感の要素
・香の表現
・比喩
・温度
とほぼ無限とも言えるレパートリーがあるわけで、これがわかりやすく的を射ていれば”うまいなぁ”となるし、外れていると下手だなとなる。大袈裟だと若干笑いのネタの要素も出てくる。

podcast中でも出てきましたが、美味しんぼはその意味で(原子力発電関連の表現や内容は大いに疑問が残りますが・・)言葉と若干の作画による表現の幅を広げた代表作品とも言えるかもしれません。
将太の寿司、ミスター味っ子、中華一番、クッキングパパ・・料理漫画は数多く出版されていまして、”味の表現方法”という切り口で読む&整理してみると面白いかもしれません。将太の寿司では食べた人が空を飛び出したり、柏手を打ったりしてました。ものによっては「ギャグか!」とツッコミを入れたくもなりますが、仮に自分が作品を作る側に立ったとして、読者に飽きられずに、かつ、美味しそうに伝えることってかなり難儀な気がします。

にしても、ミスター堀本はよく人の話を聞いている間に自分の過去に読んだ作品を記憶の中から引っ張り出し、内容を端的に説明、示唆を引き出せるもんだなぁと感心してしまいます。水野さんの説明の巧みさも素晴らしい。

知識を使って悪ふざけをする。
学術界の先生からみると、眉を顰めてしまう部分もあるのかもしれませんが、当該分野への尊敬・配慮をしつつであれば、人生を楽しむ方法の一つな気がします。
卑近な例で言うと、研究室で自分たちだけに通じる専門用語でツッコミを入れたり・・・ちなみに、自分の兄は獣医学部にいたのですが、焼肉で肉を焦がしてしまった同期が大声で「あ、炭化した」といったそうなw
そういう、閉じたおかしみみたいなものってある気がしますね。








この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?