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技術ハンズオン勉強会の地方サテライト会場を軽率に設置した話

こんにちは、じゅんです。
Hokkaido MotionControl Network (#DoMCN)というHoloLens・VR技術好きの技術者コミュニティの勉強会を運営していて、開発者の知見の交流を促進しています。また、元・物性研究者として、研究機関に所属する若手研究者でxRに興味を持つ人を見つけてはHoloLensを被せに行き、開発者コミュニティへの橋渡しを行う事を続けています。これらを適切に表現する職名が無いので、勝手にScientist/Developer Relations と名乗っています。

 昨日福岡のARコンテンツ作成勉強会(#AR_Fukuoka)によって行われた、ARCore Geospatial APIを使った位置情報ARハンズオンという勉強会にオンラインで参加して、位置情報とスマホの画像認識機能を使ったAR表示機能の作り方を習いました。ただ参加するだけだと私個人の中で閉じるだけになりそうなので、もうちょっと面白くするため札幌の現地会場も立てて、数人で遊んでみる事にしました。急遽会場利用させていただいた13LABOさん(@13LABO_cafe)ありがとうございました。

togetterまとめ(2日開催の準備編からまとまっています)

#AR_Fukuoka との連携ハンズオンの開催は昨年11月以来なので、その時との違いも含めて書いておくことにします。

実施体制

 今回は福岡でも福岡エンジニアカフェの現地会場が設置されて、オンライン参加者にはYoutube配信視聴+Discordサーバでの質問助け合いスペースが提供されました。北海道では札幌の現地会場の募集をしました。オフライン会場が2つとそれを包括するオンライン会場1つの構成です。

 コワーキングスペースで会場をお借りしたこともあり、今回は最大定員4名で実施しました。前回は5人でしたが、今回は運営の私自身が技術内容を理解していない(!)ところからの低いスタート位置の為1名減らしました。後述ですが、札幌ですでにAPIを触っていたきっポジさんをお誘いしましたので、現場サポートスタッフとしては技術方面が彼で、事前準備周りでは私という事になります。
 技術に興味を持っていそうとあらかじめわかっていたみやもりさんもお誘いしてからイベントページを一般向けに公開し、当日までに3名の登録を頂きました。対応が間に合わなかった登録者さんにはオンライン会場に誘導し、当日は予定通り4名で集合しました。

 13LABOの大型モニタにYoutube配信を映す係のPC+高音質スピーカーを一台、手元でハンズオンの作業をするための開発用PCを一台それぞれ持ち込み、開発用PCでは音声コミュニケーション用にzoomでも福岡会場と繋がっていました。今思えば、大型モニタをzoom+会議用マイクにして開発PCをYoutube視聴にすればよかったです(前回はそうしてたのに、なぜか思いつかなかった)。zoomの会話内容から20秒くらいのタイムラグがあったので、福岡からの呼びかけに気づくの自体が20秒後とかになってしまい、もろもろ迷惑をかけました。大反省。

 ハンズオンの講義内容をみんなで聴きながら、各自の分からなくなったところをすぐさま教えあう体制がひとまず出来ていたので、現地会場ならではの良さはあったのではないかと思っています(というか私が一番得をした)。

 16時半の本編終了からオンライン懇親会開始の17時半までの間に会場設備の構造を変え、トークゲストとして来ていただいたきっポジさんに会議マイクを貸して二次会現地参加の3人の声とzoom会場の音声の一元化を行いました。

 オンライン懇親会になってしまえばあとはいつもの勉強会なので、発表内容をスクショ実況するだけになり、楽でした。


現地に集まって良かった点

・現地でのいい事たくさん

・サポートが受けられるまでが速い
 ハンズオン中に困り事が発生した時に即座に他の人に見せられるため、解決開始までのラグが小さいです。Unityの状況を直接見てもらって、足りてない設定項目などを見つけてもらったり出来るので、その後の説明まで追いつくことが出来ます。

・位置バレを気にすることなくガンガンスクショを上げられる
 開催するまで気づいていませんでしたが、GeoSpatial APIを扱う場合、緯度と経度を扱いますので、開発中の画面をネットにあげていくと自環境の近所の座標が他人にバレる事になります。ですので、自宅バレなどが怖い場合は公開するべきではないと考えます。
 コワーキングスペースであればその位置バレを気にする必要もなく、画像の発信へのハードルが下がります。複数人で似たような座標でのアプリ実装をするため、うまく表示されない時の原因の切り分けなども行いやすい利点があります。
 ARを扱う技術、特にGeoSpatial APIのハンズオンは会場集合一択では…って気持ちになります。

・ガジェット体験会が随時発生する
 xR開発者特有かもしれませんが、各自が最近手に入れたガジェットを見せあう時間が自然に始まります。今回はみやもりさんが持ってきてくれたnreal airを体験させてもらいました。こういう事を通じて、自分が買っていないガジェットへの理解を深めることが出来ます。(私はPC VR機材一式と、HoloLens 2を持ち込んでいました。ホントはQooCAM EGOを持っていきたかったですがまだ到着していません)

・勉強会をきっかけに外出する
 すっかりリモート環境を整備してしまっていて、外出すると逆に不便だなくらいな感じになってしまっていますが、たまにこういう機会があると外に出てもいいかなと思えます。みなさん元気そうで良かったです。

・札幌の活動として痕跡が残せる

 これが長期的な観点では一番重要だったりします。地形3Dデータの提供が大都市圏以外で進んでいないこともあり、東京くらいでしか盛り上がっていないように思われがちです。
 今回のようにイベントを立てて発信する事によって、福岡や札幌の方の開発者もちゃんと興味をもって取り組んでいるところを多少なりとも残せたと思いますので、これは単なる個人でやるよりも良かったです。実はLinkedInでも英語で告知は流しており、海外勢のxR関係者の目に留まるようにもしています。
 また、今回はさって~さんが都合によりオンライン参戦になることも分かっているので、Discord会場にも最低1名の札幌在住者が居ることが分かっており、これは福岡サイドにも北海道民の存在を知ってもらうのにいいなと考えています。


設備的なサポートについて

 オフライン会場での体験を良くするにあたり、音質をよくするためにポータブルのスピーカーを持ち込み、配信を聴きやすくしました。個人環境でYoutubeを見返したくなる瞬間が来る事を想定して、イヤホンを各自持ってくるよう案内も出しました。
 13LABO内のWifi通信を使う事を想定していましたが、不慮の通信トラブルの対処のため、私のWiMAXルータを持ち込みました。実際、Unityのプラグインをダウンロードする際にファイアウォールに阻まれるという事態が1件起きたため、該当のPCからは私のルーターでネットに繋がってもらいました。
 札幌会場からきっポジさんが講演するときに音声が悪いともったいないので、会議用マイクも持ち込んでいます。一台あれば長机一台程度の範囲で声を集められるので、懇親会の時の用途(3人分の集音)にも使えて便利でした。
 また、コワーキングスペースでの講演の際、他の学生団体が居た場合はそちらの声もはいり込んでしまいますので、その対策として、隔離用に会場脇の小部屋も使えるようにあらかじめオーナーと確認をとってありました(今回はサークルイベントが中止になっていて我々以外の利用者が居らず、大丈夫でした)。
 勉強会以外でスペースにいる他の人の存在も考慮していたため、体験会をやっても大丈夫なように消毒セット、ニンジャマスク、手袋なども常備していました。
 ハッシュタグツイートをしやすいようにQRコードからテキスト付投稿できるものを作って印刷物を置いとこうと思っていましたが、焦っているうちにネットプリントにアップロードする事を忘れました。次回は忘れないでおきたいです。

札幌会場開催までの軌跡

 ここからは運営者むけの備忘録です。

①26日に福岡のイベント告知にコメントを付けて乗っかってみる

②関係者含めた会話がいい感じになったので雑に振ってみる→とりあえずオンライン懇親会でのトークセッションが生まれる(まだサテライトの話は無し)。

③サテライトの機運が高まるので候補予定地にひっそり打診をしとく

④めどが立ったので唐突にイベントを立てはじめる

⑤立てた。↑からもろもろ確認をとり2時間で終了。OGPは札幌仕様にして地味に地方アピールを入れる小細工っぷり。

⑥2日開催の準備編の発信をお手伝い(札幌会場登録者へのサポートの予習)。

(⑦自分の開発環境づくりの構築にドハマりして詰む)

⑧本編が開催 現場サポートと自分自身のケアに必死でつぶやくペースが格段に落ちる様子がつらい

(↑「どうせ私だけ開発環境不完全で自分のビルドはコケるんでしょ」って思って組み立てていたのになぜかビルドが成功して動いている時の歓喜の「おお。」(語彙力))

⑨全編終了 謎の持ち物アピールで締め&イベントの成果を微バズに持ってく仕込みをはじめる

⑩ブログを書いて次回の備えにする(今ここ)

⓪今回の話にはちゃんと伏線があります。24日時点で観測気球を打ち上げて実現可能性をある程度予測していました。ちょうどGeospatialAPIの勉強会がタイミングよく公開されたため(ここまでは予想外でした)自然に導入できた、というからくりでした。


DevRel闇TIPS

私1名の参加者登録を徐々に肉付けしていき最終的にサテライト会場になったここまでの軌跡は、別途「DevRel闇TIPS」シリーズとして発していますのでこちらも置いておきます。おススメ。


公開やりとりの意味

 サテライト実施までに要したコミュニケーションのたぶん8割以上を公開の場で行いました。会場の打診や細かい調整はDMでやってますが、話の大枠は↑のようなツイートを見れば把握できるようになっています。

 意味は企画時間の短縮化と、実施内容のロングテール化です。

 まず第一に26日に公開されたイベントのサテライト会場を10日後に立てるのは結構大変なため、いろんな人への相談のコストをそれぞれ軽くする必要があります。関係者に事情を伝える際にツイートを参照していけばよいので、一つ一つを頑張ってテキストで打つことをせずに大まかな雰囲気を伝えられました。今回は電子メールが必要な機関への相談はしていません。

 ツイッター利用中の情報ノイズが増えてきているため単発の告知があまり機能しません。なので、知ってもらうための接点を増やしていくためにやり取りにもハッシュタグをつけてみたりして勉強会への動線をつけておきます。各段階で私に巻き込まれた方も分かるようにしています。

 イベント開催の状況も残っている方が私が後で思い出しやすいので、出来る限り表に出せるものをツリーにして発信しています。これが他の人のTLに乗っていくので、次回開催の参加のきっかけになる事を期待しています。あまりにうるさいのでミュートされてる可能性もありますが、気にしないことにします()。

 イベント開催後も参加者の活動を拡散していくことで(日を開けない)、上と同じく興味を持つ人を増やせるように工夫しています。当日までイベントを知らなくて終わった後で知った、という方がその時の情報を追いやすくしておくことで、次回は見つけてくれたらいいなという気持ちで居ます。

 以上の事から、イベントをパルス的に終わらせずにジワジワ残るものに仕立てたうえでコミュニケーションは身軽、みたいな運営のスタイルに至っています。要所でいくつかの無茶振りをポンとしては居ますが、それがギリギリ断られない信頼関係が前もって出来ていることが必要です。地道に積み上げるべしです。

まとめ

 札幌でも未知の技術のハンズオンを開催することが出来、アプリの作成もなんとかでき、地方アピールも出来たので、大変有意義な1週間でした。関係者の皆様ありがとうございました。
 本当は6/2-3の期間に大阪で開催されていた展示会XR Meetに行きたかったので直前までそっちに行こうかどうか悩んでいましたが、行かないと決めたからにはこっちでもちゃんと活動をしようと思い直して即席でこちらを組み立てました。
 Geospatial APIに限らずxR技術全般について、地域単位で騒いで遊んでいることが可視化されない限りは東京在住企業で盛り上がってる関連技術が北海道に自然に流れてくることなどないと思っているので(おま道)、こういう技術イベントが低負荷でふわっと開催できることが大事だと考えています。
 DoMCNは他の地方での技術イベントの開催・告知・運営も協力します('ω')みんなで楽しく技術で遊びましょう。


以上です。
(2022/6/5 初稿 4854字 240min)