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不確定要素の中に確定要素を生み出すための5つのカウンタータイプと重要ポイント整理

不確実性/不確定要素が多いとよく言われるフットボールというスポーツ。そんなただでさえ予測が効かないフットボールにおいてもさらにその不確実性が高まるトランジションというモーメント。

もちろん相手も”プレーをする”中で、100%に起こる現象/起こす現象を予測することはできないわけですがトランジション時にプレーヤー/チームが抱える”迷い”を最小化することは可能です。

もちろんそれを可能にするには、チームとしての行動を事前にパターン化し優先したいアクションの共有をチーム内で行うことが必須となります。

ということで今回の記事では、トランジションの中でも守-攻の切り替えの構成要素の1つに分類されるカウンターアタックに焦点を当て「カウンターアタック5つのタイプと5つの重要ポイント」のテーマで話していきますのでぜひ最後までご購読下さい。

当記事の内容を動画で視聴されたい方はこちらから。

-この記事を書いている人-

カウンターアタックの位置付けを理解する

まず初めに、カウンターアタックのポジショニングを共有していきます。

バルセロナの育成現場で定義がされる13のプレー行動(構成要素)
※セットプレーも含めると15の行動になる

以下の図にも記されているように守-攻の切り替えのモーメント内で定義がされる1つの構成要素として分類がされます。そこからさらに派生して原理原則が定義されるわけですが今回のテーマはカウンターですので「守備→攻撃の切り替え」に当てはまります。

次に定義も確認していきます↓

カウンターアタックを3つのフェーズで考える

僕の中ではカウンターアタックの概念を話す際は3つのフェーズに分類を行いながらTRに落とし込みます↓

❶のボール回復の予見を行うというのは、言葉の通りに「先を見通す,予測する」になるので組織的守備のモーメント時から既にカウンターのフェーズ最初の段階はスタートしておりカウンターへの予見を行うことが重要となります。もちろん前提としてどこのゾーンでボールを奪えるかはわからないですが組織的守備時から「俺らは中央ゾーンの左レーンでボールを奪うんだ」という共通意識を持っていれば、プレスの方向性やどこで強度を上げるべきなのかが自然と決まってきます。

つまり…これらの考え方から逆算をするとボールを奪った後になってよく聞く「切り替えろ!メンタル変えろ!」などの言葉は適切ではないと思っていて、組織的守備段階から事前に各プレーヤーというのは”守備をしてたらいつかボールを奪うし、攻撃をしてたらいつか奪われる”を理解し、ある意味でトランジションというものはナチュラルにプレーの中で起こるものなんだということを理解する必要があります。

組織的守備の局面において存在する6つの構成要素と8つの重要コンセプト

もちろんこの予見は組織的守備時からスタートするので、組織的守備時の構成要素や原理原則もセットで理解する必要がありますが今回は深く触れません。

❷のフェーズはいざボールを回復する際の方法の部分です。インターセプトで?1vs1の守備で?相手のエラーで?…etc 

どの手段での回復がより現象として起きるのか?以下参照図となります↓

❶❷❸の順に回復数が多い手段となってます

興味深いのは、単純なボール奪取でカウンターに移行する回数よりもインターセプトでボールを回復した後にカウンターに移行するケースの方が多いという点。守備時の相手プレーを読み解く力。大事ですね。

最後に❸のフェーズで例えば左レーンでインターセプトを通してボールを回復した際に、どのようにして相手ゴールに向かって即時的な攻撃を行うのか?になります。

FWが脅迫ムーブメントをしてスペース生成するのか?逆サイドのウイングが斜めに走り込むのか?もちろんそこにはボールの回復がどこのゾーンで行われたか?によっても決め事は変化します。

冒頭にも話した通り、相手も”プレーする”中で常に我々の望む回復の仕方はできないわけですが、少なくとも守備時の段階から予見しておくことでその段階で相手を上回れる場合もたくさんあるということです。

またこのフェーズ内にはさらに2つの段階と4つの小フェーズが存在します↓

僕が6年前にバルセロナで通っていたフットサルの指導者学校で戦術講師の方が「スペースがより縮小されるフットサルにおいては基本的にはボール奪取時の運ぶドリブルは禁止する」と言ってましたが、フットボールにおいてもこの後見ていくカウンタータイプにもよりますがドリブル以上にパスに優先権を与えることは1つ重要なポイントです。

先シーズン指導したチームでもボールを運ぶよりショートパス経由でのカウンターがよりゴールチャンスを生んでました

また2番目の段階「ゴールに向かって前進する段階」において、3つのグループ(スペインでは3つの波と呼ぶ)を形成することも重要です。※タイプによっても変化

1波,2波でカウンターが完了しない際のために。

”再トランジション”という悪魔と”トランジションは局面ではない”という定義

先ほどまで見てきた3つのフェーズに追加して、”特殊フェーズ”として定義するべきなのが「再トランジション」のフェーズです。

ボールをせっかく回復した後にまた自身のエラーを起こしてしまい、再度攻守の切り替えを余儀なくされる場合のことを指します。もちろん守備のオーガナイズが崩れているため、守備チームからすると最悪ですし逆に攻撃チームからするとゴールにつながる確率も高くなります。

またここまでのフェーズの話を要約するとフットボールにおける”モーメント”図はこんな感じです。(セットプレーも含む)

僕の中では、トランジションというのはある意味で両組織的局面の中で起こり得るアクシデントのようなものです。

カウンターが発生する3つのシチュエーション

もう少しだけ整理していきます。

主に頻繁にカウンターが起こりやすいプレーシチュエーションは以下の3つ↓

❶のプレー最中というのは、組織的守備からの流れで行われるものですが❷のプレーの再開はいわゆるセットプレーのリスタートを指します↓

❸は言うまでもないですね↓

ただここで重要なポイントは、クルトワがキャッチした際の”各波”の動き出しに迷いがないということ。事前にチーム内で共有されていると思います。

カウンターアタックを5つの規模(タイプ)に定義する

ここからカウンターアタックの5つのタイプを順番に見ていきます。そのカウンターに何人のプレーヤーが参加するのか?ゴールとの距離は?スペースは?を元にその規模からタイプわけを行います↓

❶ナノカウンター
1つ目のタイプは規模が一番小さなナノカウンターです。定義は以下↓

ボール奪取後は仲間にボールを渡しゴールまでいくパターンもあれば、奪った本人がそのままゴールまで持っていく形があります。カウンターの中でも一番に規模が小さなサイズです。

ブライトン一点目もナノカウンターです↓

❷ミクロカウンター
2つ目のタイプはミクロカウンター。先ほど説明した特殊フェーズの再トランジションの際にも頻繁に見られるカウンタータイプとなります。定義は以下↓

❸メソカウンター
3つ目のメソカウンターでは、より自陣にボールを奪取した際のカウンタータイプとなります。レーンの活用も先ほどのタイプに比べても増え、参加人数も増えます。

さらにこのメソカウンターの中でも2つのタイプが存在します。

❶ダイレクト型
相手ゴールまで可能な限り少ないコンビネーションでたどり着く
❷コンビネーション型
仲間とのコンビネーションを多く利用し、より安全に相手ごるまでボールを運ぶ

❶ダイレクト型
ここでのダイレクトというのは何も前にロングボールを放り込むことではなく、質的優位性のある選手が個人でダイレクトに運びながら少ないパス交換でゴールまで向かうという意味です。

以下の2点目のゴール↓

❷コンビネーション型
一方でコンビネーション型は選手間でのコンビネーションをより活かしながらゴールへと目指すタイプ。

もちろんいつも話すことですがこれらのタイプを使い分けはチームのプレーモデルそして選手のキャラクターからの逆算です。

❹マクロカウンター
最後のマクロカウンターはより規模の大きいタイプです。相手のDFオーガナイズがある程度整っている中でもカウンターを行うと決定した際により多くの参加プレーヤーが求められます。

カウンター実行時に最低でも達成したい5つのポイント

ここからはゴールへ向かい前進をする段階においてより有効な実行を行うために理解すべき5つのポイントを見ていきます。

❶3つのレーン使用

カウンターを行う際に3つのレーンを使用するとはよく聞くキーファクターの1つとは思います。ここでの目的は相手のプレスを分断し、1度に複数のDFを守ることを困難にさせることなわけですが、実際に使用するべき3つのレーンを明確化する必要があります。下の図では5つのレーンで仮定していますが緑の中央レーンと左右の黄色のゾーンが対象となります。

フットボールのおけるスペースと時間の概念の話をする際によくバスケットボールの3ポイントシュートの話をスペインの子供にもします。3ポイントシュートを打つためには相手から離れないとボールを受けられないんだけど、逆に離れすぎてしまうとゴールから遠ざかってしまってシュートの難易度が上がる。プレーヤーはここの適切な距離間を意識する必要があるわけですが、カウンタータックではこのレーンの定義が1つの基準となるわけです。

❷相手の脇を狙うデスマルケ(”離れる”は最小限に)

カウンターの類の話をする際によく聞くキーワードとして「離れる」や「固定する(引きつける)」があると思います。

確かにカウンター時に1波の受け手の選手が相手から離れる動きを行うことは重要ですが、よく見るエラーとして「離れすぎてしまって、ボールは受けれたけどゴールから遠ざかってしまった」があります。

いつも言うのが「”離れる”は最小限に」です。それを可能にするための1つテクニックがデスマルケの1タイプに当たる相手の脇を狙うデスマルケのタイプです↓

https://youtu.be/IL0dDQaApM8

ポイントは事前動作で相手の視野内に入ることで固定したのちに、相手の横(脇)に最小限離れることです。


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