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父へのこじれた気持ち

私は小さいころから父が嫌いで、口をきかなくなった。
怒るとすぐに叩くし、優しくないし
難しい話ばかりするし、弟ばかり褒めるし…
ずっと、考えてた。
どうして父親のことで、こんなに腹がたつのだろう…と。

その頃相談できる人もなく、イライラした時に
自分への質問を、自分で日記に書き
自分で考えて、自分で答えを書く習慣ができていた。

小5から、口はきいていないのに
どうしてこんなに腹が立つのだろう。

突き詰めて考えて、日記に書いて
「なぜ、この気持ちを無視できない?」
また自分で考えて、自分で書いてをずっと続けた。

「父に認められたいのか?」と書いた。

「認められたくなんかない」とは、書けなかった。

私、父に認めてもらいたいんだ…

予想外のその答えは
高校生だった私にとって、あまりにも破壊的すぎて
一瞬で、心に蓋をしてしまった。
それ以上、自分を知るのが怖かった。

小さいころ厳しくされたから、口をきかない
怒るときに叩かれたから、口をきかない
嫌いだから、口をきかない
口をきかなくなった経緯に、たくさんの理由はある。

でも・・・それって本当?

あぁ、それ以上は考えたくない…
いろいろな思いが交錯する。

私は、本当に父が嫌いで
これまで何の違和感もなかったのに
今ある私が見たくない、モヤモヤってなに…

自分を騙してまで
私は、ちぐはぐなことをしたかったみたい。
そうしないと、バランスがとれなかった
すごくこじれた父への思い。

「認めてもらいたいのに、口をきかない、は辻褄が合わない」

心の中で小さくつぶやいていた。

そのつぶやきに促され、恐る恐る心の奥を覗き
胸が痛くなったり、ギュッとなったり
辛くて、悩んだり
ぶつかって、試行錯誤して
ちぐはぐだった私を、長い時間をかけてやっと受け止められた
その頃にはもう、30歳になっていた。

今となっては、自分のことを
すごく、愛おしく感じられる期間だ。

7月課題『失敗の科学』からのエッセイでした。


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