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Roomies @BLUE NOTE PLACE(20240228)

 新たな編成で紡いだ、珠玉のスウィート&グルーヴィ。

 都会の夜にフィットするハイブリッドなネオソウル・ミュージックを奏でるRoomies(ルゥミィズ)が、恒例となってきた恵比寿・ブルーノートプレイスでのライヴショウを、2月27日と28日のミッドウィーク2日間にわたって開催。前回Roomiesのステージを観たのも、ここブルーノートプレイスでの2セット・ショウ(「Roomies @BLUE NOTE PLACE(20230411)」)だったが、それ以来約10ヵ月ぶりとなる。今回は2日目のショウへ足を運んだ。

 前回と異なるのは、ドラムがサポートの黒田泰平になったことか。黒田は(脇田もなりのバンド“Up & Coming”のベース担当の越智俊介が所属していた)カラスは真っ白やShuns'keG & The Peasでも叩いていたドラマーの模様。ベースは前回に引き続き、Nulbarichの永井隆泰がサポートに入り、さらに、コーラスにコリンとレオナ・イザベラを配した、豪華な編成となった。

 メンバーが代わったといっても、元来手練な面々が集っているゆえ、何かが欠けるということはない。及川創介、斎藤渉の鍵盤勢を左右対角に配し、永井のベース、黒田のドラムのサポート勢とリズム隊を形成、ビートに跳ねと刺激を与える高橋柚一郎のギターが粋なアクセントとなり、コリンとレオナ・イザベラのハーモニーの後押しを受けて、スウィートなケヴィンのヴォーカルがヴェルヴェットのようになめらかに、肌当たりよくフロアへ広がっていく。

 1stセットは、3月6日に一十三十一作品や自身のプロジェクト“流線形”でおなじみのクニモンド瀧口の主宰レーベル〈CMT Records〉から3月6日にリリースとなる7インチ・シングル「甘い夢」とそのカップリング「Hypnotized」から幕開け。新体制となって初のシングルということもあり、Roomiesの挨拶代わりの構成といったところか。

 「甘い夢」は前回のライヴでも耳にしたが、「Hypnotized」を生で聴くのはおそらく初めて。“ヒプノタイズ”と言うと、タイトルからディー・インフルエンス(D'Influence)の「Hypnotize」が思い浮かんだが、そこまでアンニュイではないものの、Roomiesらしい甘茶加減とネオソウル/R&Bアプローチが適度に寄り添った、ジワジワと腰を動かす良曲に仕上がっていると感じた。

 その後も既存曲を中心に展開。「Do you feel」でどっぷりと深い夜のグルーヴへと落とし込んだ後は、「The End of the Two」と新曲(「Stay us~??」聞き取れず)へ。スウィートネスと携えたグルーヴが横溢する「The End of the Two」は、いつ聴いても身体と心を無意識のうちに揺らせてくれる。新曲はバリー・ホワイト&ザ・ラヴ・アンリミテッド・オーケストラの「ラヴズ・テーマ」(「Love's Theme」、邦題「愛のテーマ」)を彷彿とさせる清涼感あるフュージョン・ソウル。AORやフュージョン、シティポップあたりに近しい作風となっているのは、シングル「甘い夢」リリースで交わったクニモンド瀧口の影響などもあったのだろうか。ケヴィンの透き通ったハイトーンもあって、喉越しというか、聴後感が清々しいアクトとなった。

 2ndセットは、おそらく個人的に初めて耳にした英語詞曲を含めた構成に。煌びやかな音の装飾を施しながら、ケヴィンとコーラス隊のヴォーカルがそよ風に吹かれるかのごとく、伸びやかに放たれていくさまが実に快い。もちろん、それを体現しているのも、胸の内をくすぐる、細やかながら、圧ではなくてグルーヴで刺激を与えるバンド・サウンドがもたらしているからだ。3番目に演奏した(おそらく“You're my destiny”のフックが耳に残る)楽曲などは、R&Bが持つブライトネスと肌に刻み込ませるようなソウルネスが見事に融合していて、美麗なミディアム・チューンといった感じ。

 1stセット同様、中盤に「きみとふたり」というセンチメンタルなラヴバラードで落ち着かせたところで、アッパーな「Higher」で文字通り一気に熱量を高めていく抑揚ある展開も、Roomiesのさまざまな魅力をオーディエンスへと披露しているようで面白い。歌い慣れている楽曲の一つであろう「Higher」では、メンバー間のアイコンタクトも特にあったりして、楽しげにパフォーマンスしているさまがこちらにも伝わってくる。

 見どころ、聴きどころのひとつとなるのは、やはり「In My Dream」だ。ケヴィンの甘いヴォーカルとメロウなグルーヴを堪能するネオソウルマナーを湛えた前半から、撚った糸が次第に太く強くねじり上がっていくような、斎藤の渾身の鍵盤捌きを中心とした丁々発止のインプロヴィゼーションへと雪崩れ込む後半への展開は、フロアに高揚と興奮を呼び起こす。メンバーたちが奏でる技巧の妙とそこから生まれる一体感は、Roomiesならではのスペシャルなヴァイブスだ。

 アンコールは、Roomiesというクルーの存在とそれに触れる人たちへの感謝を綴った、クラップが弾けるジョイフルな「Family」でエンディング。晴れやかな笑顔で演奏を終えてステージを後にする姿を見遣り、正直なところ、もう少し聴きたいという後ろ髪を引かれる思いが全くなかった訳ではないが、充溢した空間にいられた愉悦を噛み締める一夜となった。

◇◇◇
<SET LIST>
《1st Set》
00 INTRODUCTION
01 Hypnotized
02 甘い夢
03 Do you feel
04 The End of the Two
05 Stay …??(New Song)

《2nd Set》
01 (unknown)
02 (unknown)
03 (unknown)(You're my destiny) 
04 きみとふたり 
05 Higher
06 (unknown)
07 In My Dream
《ENCORE》
08 Family

<MEMBERS>
Kevin / ケヴィン(vo)
Wataru Saito / 斎藤渉(p)
Yuichiro Takahashi / 高橋柚一郎(g)
Sosuke Oikawa / 及川創介(syn)
Taihei Kuroda / 黒田泰平(ds)※support member
Takayasu Nagai / 永井隆泰(b)※support member
Colin / コリン(cho)
Leona Isabella / レオナ・イザベラ(cho)

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【Roomiesのライヴについての記事】
2022/12/13 Roomies @BLUE NOTE PLACE
2023/03/04 Roomies @WWW(20230304)
2023/04/11 Roomies @BLUE NOTE PLACE(20230411)
2024/02/28 Roomies @BLUE NOTE PLACE(20240228)(本記事)


もし、仮に、気まぐれにも、サポートをしていただける奇特な方がいらっしゃったあかつきには、積み上げたものぶっ壊して、身に着けたもの取っ払って……全力でお礼させていただきます。