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食品と世界史 29(甘味)

甘味の歴史

砂糖以前

古代の人々は果実やハチミツなど、自然界に存在する甘味を享受していました。これらの甘い食物はエネルギー源として重要であり、その甘さは食物が熟して食べられることを示す指標でした。

砂糖の登場

砂糖の初期の形態はサトウキビから得られ、その使用はニューギニアの紀元前8000年頃まで遡ります。サトウキビから抽出された砂糖は、初めてインドで製造され、そこから中東に広まりました。ヨーロッパにおける砂糖の使用は、中世にアラブ人によって導入された後、次第に広まりました。

新世界と砂糖

クリストファー・コロンブスの新世界への航海は、サトウキビ生産を大いに推進しました。これにより砂糖はより一般的な商品となり、同時に奴隷貿易と深く結びつきました。

甘味料の発展

19世紀と20世紀は、甘味料の発展の時代でした。テンサイから砂糖を作る方法が開発され、また人工甘味料(サッカリン、アスパルテーム、スクラロースなど)が発明されました。これらはカロリーが低いかゼロであるため、砂糖の代わりとして使用されるようになりました。

健康と甘味

21世紀に入り、過度な砂糖摂取が肥満、2型糖尿病、心臓病などの健康問題につながることが認識されるようになりました。これにより、砂糖に代わる甘味料の需要が高まり、ステビアやモンクフルーツなどの自然由来の甘味料が人気を博しています。

砂糖と紅茶、コーヒー、チョコレート


新世界での砂糖製造が増大したことと、ヨーロッパでの紅茶、コーヒー、チョコレートの人気上昇とは、密接に関連しています。それぞれが、ヨーロッパの飲食文化や経済に大きな影響を与えたからです。

砂糖の登場

16世紀と17世紀にかけて、クリストファー・コロンブスの新世界発見という事象は、大西洋を越えた砂糖の貿易を可能にしました。新世界、特にカリブ海の島々では、労働集約的なサトウキビ栽培と砂糖の生産が盛んに行われ、大量の砂糖がヨーロッパに輸出されました。この時期の砂糖の生産は、奴隷労働に大きく依存しており、奴隷貿易が大いに増大しました。

紅茶、コーヒー、チョコレートの普及

紅茶とコーヒーは両方とも17世紀にヨーロッパで人気を博しました。紅茶は主に中国から輸入され、コーヒーはオスマン帝国を通じて中東から導入されました。チョコレートは新世界から来た新商品で、特にカカオ豆は中南米から輸入されました。

砂糖との相乗効果

これらの新しい飲み物と食べ物は、それ自体が新鮮でエキゾチックな味わいを提供しましたが、加えて砂糖と一緒に消費されることで、さらに人気を博しました。特に紅茶やコーヒーは砂糖を加えることで、苦味を和らげ、より多くの人々に受け入れられるようになりました。チョコレートもまた、砂糖と組み合わせることで、当初の苦味から甘いデリケートな味わいへと変化しました。

飲食文化と経済

砂糖とこれらの新たな商品は、ヨーロッパの飲食文化に深く影響を与えました。紅茶、コーヒー、チョコレートは社会生活の一部となり、砂糖はこれらの商品をさらに美味しくするための重要な成分となりました。これらの商品の人気はまた、ヨーロッパと新世界、アフリカ、アジアとの間の貿易を推進し、グローバルな経済の発展に寄与しました。

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