「大企業のUXデザインをダメにする3つの問題」を読んで思ったUXの評価の難しさについて


UX Milkに「大企業のUXデザインをダメにする3つの問題」という記事があって社内のUX関係者の間でもシェアされています

問題1:エクスペリエンスより機能ばかりを気にする
問題2:リスクへの恐怖
問題3:共通言語がない

自分はUX専門家ではなく事業の立場からUXに関わっているので、専門の方とは意見が異なる部分があるかと思います。

上記の3つの問題点もそれもそうかなとは思いますが、

「UIは客観的だが、UXは主観的である。つまり人によって解釈・評価が分かれる」

というところが一番難しいところかなと思います。

例えばスピードスケートであれば単純にタイムという客観的な尺度で優劣を比較できますが、フィギュアスケートは採点種目なので、人によって評点がばらつきます。もちろん採点のガイドラインは種目ごとに整備されていますが、それでも技の完成度の評価や特に「芸術点」などは主観が大きく作用すると考えられます

なので、あるサイトやサービスがあったとして、UXが良いか悪いかは、
1)どのようなターゲットのユーザーに対し
2)どのようなアクションを期待し、
3)どのような計測可能な評価尺度で
4)どれくらい達成したいか
によって「良いUX」、「良くないUX」の評価は変わってくると思います。

東京五輪のロゴ問題の時も、デザイナーが選ぶロゴと、一般人が選ぶロゴの評価に大きな違いがあったように、判断基準が異なるとなかなか相容れないところがあると思います。

私の仕事はEコマースなので、たとえばショッピングにしても
「できるだけ短時間で買いたい」と「商品を探して迷って買った後のプロセスも含めて買い物を楽しみたい」という異なるニーズが存在することから、何がベストなUXかとは一概に言い切れない(もちろん明らかに悪いUXというのは比較的言い切りやすいですが)。

ドイツのデザイナー、ヤン・リウさんが作ったこの有名な図なんかは顕著に表していますよね。

この場合、男性視点的に良いUXを提供すると、女性にとっては良くないUXとなり、もしこのモールの主要顧客が女性だとすると、ビジネス的には悪い、ということになります。

大企業になると、必然的に関与する人数や立場の種類、利害の複雑性が増してきますので、上記の理由により、スパっと決めにくいというだけなんだと思います。

UXの専門家の知見ももちろん様々な理論や経験値からきていて有用だとはおもいますが、それもケースによって判断が分かれることがあるということを、お互いに認識して、「そのサービスにとっての最適解となるUX」を探っていくチームワークや円滑なコミュニケーションが大事なのかなと思います




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