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外資スタートアップ・カントリーマネージャーに挑戦して失敗した話 #3 ~ 違和感の種を見逃すな【前編】

こんにちは。ジュンイチヤマシタです。 だいぶ前回から時間が開いてしまいましたが、外資スタートアップのカントリーマネージャーに挑戦したものの、結果うまく行かずに8ヶ月で断念した経験からのラーニングの記事の3回目です

↓第二話

この韓国系スタートアップの日本カントリーマネージャーの職に就くにあたって、様々な期待(立ち上げ経験、現法社長、広がるネットワーク、広い裁量)をしていたわけですが、オファーをもらったあたりから、ところどころ「おや?」と思うような点もありました

そもそもこのポジションに出会ったきっかけは、LinkedIn経由でエージェントからの連絡で(そのエージェントは今も良い友人)、このポジションの魅力や、条件もCompetitive(=いい条件)だと聞いていました。ただこの段階ではエージェントも具体的な条件は知らされていませんでした

給与面での違和感

何回かの面接の後オファーがあり、条件面での話に。シリーズA直後のスタートアップだったのでベース+SOという考え方は理解していましたし、当時勤めていた楽天のポジションに比べて低いベースになるであろうことも想定の範囲内でした・・・・が、ベースの金額が想像以上に低かった。

水準でいうならば、「コンサル新卒の給与+同額のSO」という感じ。ジョブ・ディスクリプションで散々多方面でのハイスペック・能力を求めておいて、支払いは新卒並。。。SOも紙くずになりえますし、2年先に支払われたとしても、生活費は貯金を切り崩していくしかありません

当時は家も買っていましたし赤ん坊もいたので、当然生活水準を大幅に下げることはできませんでした。言うまでもなく家族は反対するでしょう

本社の主張としては、資金調達直後のスタートアップなのでできるだけ固定費は下げておきたいというのは分かりますが、どうやら本国である韓国の給与水準を念頭にしていたようです。

韓国と日本は似ている面もありますが、結構異なるところも多いのが事実。本国には日本というマーケットを知っている人はほぼいないため、日本からしてみると驚くような話が結構でてきました

給与については、人生を懸けた交渉の末、前職水準をキープすることができました

ラーニング:スタートアップだからといって貯金を崩さないと生きて行けないようならNOと言おう

戦略面、市場理解での違和感

条件も合意し、ジョインまで2ヶ月くらいというタイミングで、日本マーケットのGo To Marketプランを出してほしいということで、営業サイドとしてどういう企業にどうアプローチするか、どのようなマーケティングを行うか、組織をどのように作っていくか、などをまとめました。

追って書こうと思いますが、日本のB2Bマーケットは世界一厳しいということが韓国側がわかっていないし理解できていないポイントでした。

日本のある程度の規模の法人ともなれば、ちょっと声をかけてノリで使ってみてくれる、というようなケースはほとんどありません。門前払いは当然ですし、コンタクトできたとしても、いくつかの決裁レイヤーを通り抜ける必要があります。

SaaSなので、情報セキュリティーチェックなどの不安も持たれたりします。当然数ヶ月単位で時間はかかります。しかも実績もブランドもない、韓国系スタートアップのプロダクトですからね。むしろ国内企業に比べてマイナスです(笑)

ですが、本社の方はいいプロダクトなんだから、積極的に採用してくれるはずだ、という思い込みが強く、規模の大きな企業から行くべきだという主張が強かったです。私は、IT系やスタートアップ系から行くべきだという主張で色々議論しました。

ラーニング:マーケットを知らない相手と議論するのは精神と体力を消耗する

ターゲットに関する違和感

そんなGo To Market戦略と並行して事業計画をExcelでゴリゴリ作っていたのですが、あるときに本社から届いた連絡(もちろんJANDIでやりとりしていました)で、んん?と思うことが

「あれ?1ヶ月目のターゲット件数高すぎない?」

2014年9月までは楽天に在職し、10月から会社設立、体制構築も含めて活動スタートのはずなのですが、なぜか初月のターゲットユーザー数が500件とありました。

市場にまだ存在すらしていない会社・プロダクト、しかも外資、せめてブランドの効きそうなシリコンバレーならいいのですが、韓国系プロダクト、、、

会社も設立してなければオフィス探しもこれから。名刺もないしあるのはプロダクトとペライチのLPのみ。1法人10人のグループができたとしても50社獲得しないと500件にはなりません。現実的に不可能です。

知り合いの企業にアプローチしたり、プレスリリースやコンテンツマーケティングなどでじわじわ認知を上げて、そのまま使ってもらったり、リードを獲得してアタックしようと思っていましたが、そのアプローチ方法に対しても本社側は、「もっと営業で攻めていくべきだ」というスタンスで色々言ってきました。「こっちはまだ一人しかいないんですけど・・・」って思いましたね。

もともと自分は企業内部のインサイトから戦略立案・実行を中心にやってきたので、外部の企業と広く関係を持つような職種ではななかったです。法人営業経験もなかったですから、営業は営業人材が採れるまでは頑張りながら、カントリーマネージャーとしては、マーケティング的なアプローチを中心にスケールするような施策を推進していくつもりでした

いざ、知り合いネットワークにあたってみても、すでにSlackやChatworkを導入しているところが多く(さすがIT系)、ほとんど案件になりませんでした。本当は知り合いの会社で事例作って、それを使ってコンテンツ化、リード獲得していこうと思っていたので当てが外れてしまい、割とすぐに新規アプローチ先にこまるようになりました。

本社が一方的に定めたターゲットに何の納得感もなかったですが、この大きなギャプは私が辞任するまで埋まることはありませんでした

ラーニング(1):オファーを受ける前に、いつまでにどれくらいの数字を目指すのか、ちゃんと認識を揃えて起きましょう

ラーニング(2):B2Bなら、できるだけ多くの知り合い等にそのプロダクト領域で何を使っていてどのようなニーズがあるか、リプレースするならどのような課題があるか、ヒアリングしておきましょう

会社設立に関する違和感

長くなったので次回に書きますが、以下のようなことを書こうと思います
・あれ?資本金少なすぎない?
・会社設立項目の細かいところまで説明するの大変なんですけど?
・交通費って支給するもんですよ?
・オフィスの椅子、1万円切ってますけど高いですって?

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