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貝になることが大人になることなのか・・・

 僕の勤めている会社には昇進試験があります。その試験の中には幹部との面談があり、そこで色々とヒアリングされ、さらに周りの人の評価も踏まえた上で昇進できるかどうかが決まるのです。

 今月、仲の良い後輩君の一人がその昇進試験を受けたんですが、落ちてしまいまして。面談のフィードバックも散々で「発言が幼稚で、周りに対する影響もよくない」と言われたらしく、打ちひしがれていたんです。

 しかたないので励まそうと飲みに行ったとき、彼はこんな事を言ったんです。

「何も意見を言わない人が昇進して、意見を言う人間は昇進できないっておかしくないですか?僕も会社の事を思って声をあげているのに。貝になることが大人の対応なら、僕は大人になんてなりたくないですよ」

 こう言われた時、僕は何も言えなかったのです。なぜなら、僕は以前に勤めていたいた会社でいろいろと主張して、後輩君と同じ経験をしたことがあって。だから今の会社では何があろうと何も言わないと決めていたんです。その結果、僕はいくつか昇進をしていて・・・。

 幹部のフィードバックの真偽はわからないけど、なんだかとても自分がズルい人間になってしまったような気がして。偉そうにアドバイスをする気がなくなってしまいました。

 組織の中で生きるって本当に難しいですよね。貝になることが大人になることならば、確かに僕もなりたくはない。でも、時には貝になることも必要で・・・

 飲み明かして別れる時に「でも俺は諦めません!絶対来年は昇進します!」と叫んだ彼にとても救われたのですが、一人で帰る道すがらはとても切なくてショッパさを感じてしまった夜なのでした。

 大人になるってなんだろう・・・難しいなあ。

 小説「中目黒の街角で」

僕は37歳のサラリーマンです。こらからnoteで小説を投稿していこうと考えています。 小説のテーマは音楽やスポーツや恋愛など様々ですが、自分が育った東京の城南地区(主に東横線や田園都市線沿い) を舞台に、2000年代に青春を過ごした同世代の人達に向けたものを書いていくつもりです。