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なぜ人口1万7000人の町が、全国から注目されるのか?情報発信の大切さについて

私が代表を務める地域商社「こゆ財団」がある宮崎県新富町は、人口1万7,000人。目ぼしい観光地があるわけではない、ごく普通の小さな町です。

ところが、月に一度開催している朝市には、町民の方はもちろん、県内外から500人ほどの方が集まります。地元の親子連れから、東京の大学生、ベンチャー企業の社員、メディア関係者、視察で訪れた地域づくりのリーダーまで。集まる方々も実に多様です。

視察研修の受け入れも、設立した2017年度が97人だったのに対し、2018年度は291人と、およそ3倍に増えました。朝市にはこうした方々も参加してくださっています。中には朝市にブースを出店される方もいらっしゃいます。

新富町は、それまではよく「通り過ぎる町」と揶揄されていましたが、状況はこのように、今大きく変わってきています。

その理由は、情報発信にあります。

「地方はPR不足」ではない

地方に住んでいる方に質問です。「この町が元気がないのはPRが足りないせいだ」「もっと情報を発信しないと届かない」と巷で、もしくは周りの方がいっているのを耳にしたことはありませんか?

おそらく、一度や二度ではないと思います。地域にとって、PR不足は永遠の課題であるように、みな口を揃えていっています。

しかしながら、私はそうは思いません。地域はPR不足だと長らくいわれているが、そうではない。情報発信の重要性を認識せず、できていないことを言い訳に「PR不足だからしょうがない」と甘んじてきただけだと思います。

情報発信の重要性をしっかり認識すれば必ずできることです。誰に、いつ、どんな情報を、どのような価値をもって伝えるのか。何のためにそれを伝えるのかが大事です。

情報を発信する人材の育成がカギ

しかしながら、そうした情報発信の勘どころを身につけた人材は、正直なところなかなかないません。正確には学ぶ場はあるのですが、重要性を認識していなかったがために、本当の意味での勘どころを身につけられなかった。もっといえば、そういう人材を育てようともしていなかった。

ここに、地域でよくいわれる「PR不足」の、本質的な課題があります。

私たちはこの点に着目し、地域の情報を発見して価値あるものに磨き、全世界に発信することのできる人材を育成しようと、「地域を編集する学校」を新富町で開校しました。目的は、情報発信の重要性と勘どころを身につけられる人材の育成、そして地域への輩出です。

現場のプロから実践的に学ぶ講座を開催

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2018年1月から1期、6月からそれぞれ3ヶ月間、計5回の講座を新富町で実施しました。九州は沖縄を除く全県、他にも愛媛や広島、遠くは神奈川や埼玉県からも受講生が集まってくれました。交通費は実費です。

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