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【100.水曜映画れびゅ~】"Living"~"生きる"とは...~

"LIVING"生きる LIVINGは、現在 劇場公開中の映画。

ビル・ナイ主演、カズオ・イシグロ脚本の本作は、先日行われた米アカデミー賞にて、両氏がノミネートされました。

☆ノミネート
脚色賞・主演男優賞

第95回米アカデミー賞 結果一覧

あらすじ

1953年。第二次世界大戦後、いまだ復興途上のロンドン。公務員のウィリアムズは、今日も同じ列車の同じ車両で通勤する。ピン・ストライプの背広に身を包み、山高帽を目深に被ったいわゆる“お堅い”英国紳士だ。役所の市民課に勤める彼は、部下に煙たがられながら事務処理に追われる毎日。家では孤独を感じ、自分の人生を空虚で無意味なものだと感じていた。そんなある日、彼は医者から癌であることを宣告され、余命半年であることを知る。
彼は歯車でしかなかった日々に別れを告げ、自分の人生を見つめ直し始める。手遅れになる前に充実した人生を手に入れようと。仕事を放棄し、海辺のリゾートで酒を飲みバカ騒ぎをしてみるが、なんだかしっくりこない。病魔は彼の身体を蝕んでいく…。ロンドンに戻った彼は、かつて彼の下で働いていたマーガレットに再会する。今の彼女は社会で自分の力を試そうとバイタリティに溢れていた。そんな彼女に惹かれ、ささやかな時間を過ごすうちに、彼はまるで啓示を受けたかのように新しい一歩を踏み出すことを決意。その一歩は、やがて無関心だったまわりの人々をも変えることになる。

日本公式サイトより一部改編

最期を知り、人生を知る。

1953年、イギリス。

役所の市民課に勤めるウィリアムズは、勤勉な男であった。

毎日毎日 粛々と事務処理を続けるが、その姿勢はどこか無気力にも思えるような姿に映った。

家に帰れば息子夫婦に煙たがられ、妻には先立たれ、孤独を押し殺して日々を送っていた。

そんなある日、彼はがんと宣告される。
余命は、半年。

人生の最期を知った彼は自暴自棄となり、仕事を放り出し、ふらふらした日々を送るようになるのだが、心は全く晴れない。

そんな時、職場の同僚の若い女性マーガレットと再会する。

人生に希望を持って嬉々として生きる彼女の姿を目の当たりにし、ウィリアムズは自分の人生を思い返した…。

そして彼は、人生の最期をしっかりと"生きる"ことを決意する。

"生きる"とは…?

~最期を知り、人生が輝く。~

役所勤めのウィリアムズは、余命宣告を受け、残された時間を懸命に”生きる”ことを決心します。

といっても、”生きる”とはどういうことでしょうか?

余命宣告を受ける前のウィリアムズは、ただ黙々と流れてきた書類を処理する毎日を送っていました。

その姿からつけられたあだ名は、Mr.ゾンビ

それから余命宣告を受けると、仕事を放り投げて財産を持ち出し、遊びほおける日々を過ごすことにします。

しかし、いくらお酒を煽っても、彼の心に空いた穴は塞がりませんでした。

そんなある日に会った仕事仲間のマーガレット。

人生に明確な目標を持って"生きる"彼女の姿に感化され、ウィリアムズも残された時間のなかで"生きる"目標を持ち、進み始めました。

"生きる"とは、何か?
それは人それぞれで考え方が違うのかもしれません。

息をしていれば、それで良し。

仕事をコツコツ積み重ねていけば、それで良し。

それも全くもって”生きている”ことには変わりありません。

でも…

それで人生は
本当に輝いているのでしょうか…?

そんな素朴な疑問を、この映画に問いかけれたような気がしました。

原作『生きる』(1952)も観たくなる出来栄え

この作品は、1952年公開の志村喬主演、黒澤明監督の名作『生きる』の再映画化作品。

脚本は、『日の名残り』(1989)や『私を離さないで』(2005)で知られるノーベル賞作家カズオ・イシグロが務めています。

私は原作の『生きる』を未見なのですか、原作を知っている母とこのリメイク作を観に行ってきました。

母 曰く、「ビル・ナイの陰に常に志村喬が見えた」とのこと。

また主演俳優だけでなく、マーガレットの活力のある姿、その他の俳優陣の表情、雰囲気などなど、作品の節々に原作を感じたようです。

仕舞いには原作を思い出しすぎて、家に帰ったら『ゴンドラの唄』を聴き入ってましたね(笑)。

私も本作を観て、黒澤明の『生きる』を近々観たいと思いました。


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お楽しみに!