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幸福の黄色いハンカチ・50年前のシェアハピ

子どもができたかもしれない。今日の昼間に病院へ行ってくるから。
と、妻が出勤の支度をしている夫へ言う。

夫は驚き、大喜びした。しかし、これから仕事に出かけなければならない。夫は家へ帰ってくるよりも前に、子どもができたかどうかを知りたがった。電話で教えてもらうか、直接自分が病院へいくか、ソワソワ考える。喜んで落ち着かない夫に少し呆れながら妻は言った。

もし子どもができていたら、庭に立っている鯉のぼりの竿に黄色いハンカチをつけておくから。それが見えたら、お祝いのお酒買ってきて。


この夫婦は1970年代初めくらいの北海道に暮らしている。お互いいろいろあって(夫のいろいろの部分を回想していくのがこの映画の本筋)、結婚して一緒にくらいしている。
1970年代の初めは、僕の親が生まれる頃であり、ここに出てくる夫婦は祖父母と同じくらいの年齢だと思う。若い頃の祖父母、自分と年齢が近くなってきた祖父母に会いに行くような気持ちでこの映画を観た。


子どもができたかどうか、少しでも早く知りたいけれど、仕事に行かなければいけない。しかし、朝の時点では、子どもができたと決まったわけではないので、電話をしたり、直接会いに行ったりすることも気が引ける。だけど一刻も早く祝いたい…

今の時代、同じ状況に置かれたら、妻と夫はどんな方法で情報を共有するだろう?すぐに伝えるときは、LINEのメッセージだろうか、メッセージだけだとそっけないので、電話するだろうか。

いやそもそも、妊娠しているかまだわからない状態なら妻は夫に話さないんじゃないか?夫は仕事を休んででも妻と一緒に産科へ行くだろうとか、別のパターンが浮かんでくるけど、あんまり言っても性格が悪いのがバレるだけなので言わない笑笑


話を戻すと笑笑 電話もLINEも直接的で、即座に的確に便利に情報を伝えられる。黄色いハンカチを鯉のぼりの竿に掲げておいて「幸せ」なんて、この映画に出てくる夫婦以外には通じない。でも、そういう、不便で、一般的ではなくて、直接的でもないコミュニケーションの方法で「幸せ」を共有しているところがすごく素敵だと思った。

今はSNSでもなんでもシェアハピの方法が増えて、夫婦でも家族でも友だちでもお互いの距離と時間がすごく近づいている。ずっと繋がっていると感じられるから、感情や情報をシェアできることも当たり前になり過ぎている。間接的に幸せをシェアしたり、少し時差を置いて心待ちにしてみたり。そういう不便を味わうことは滅多にない。不便さの中に、豊さを感じられる感性を持ちたいなと思った。


少し斜に構えてSNSについて語ったり、「昔はよかった」みたいなことを書いてしまいましたが😅
お涙頂戴のシーンだけではなく。武田鉄矢さんを中心にポップな雰囲気で映画は進み、高倉健さんがめちゃくちゃモジモジしていたり、「俺はここからは汽車で行くから」て6回くらいいうけど、絶対に汽車には乗らないフラグを立てまくったり笑
感情がいろいろ動きまくる映画でした〜高倉健さん、また観ます。

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