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Road to master 7粒目

「眞踏珈琲店との運命の邂逅」
ドアノッカーの付いた一枚扉の前に立っていた。
まるで会員制のBARのようなその佇まいは何かを試されているようだった。店内は見えない。蔦珈琲店もさほど店内は見えない仕様の扉であったが圧迫感はなかった。

しかし、この高尚に感じる扉を僕は実は初回は引き開ける事は出来ずに違う喫茶店に行ってまさに『お茶を濁した』
翌週、改めてネットやTwitterを見てその扉を開ける事に『挑』んだ。

店内は『黒』だった。お酒が飲めない僕がドラマや映画で見るイメージのまさに大人でオシャレなバーのようだった。
店員さんは綺麗な姿勢で「お好きな席へどうぞ」と大きくないがスッと通る声で案内してくれた。『美声』ってやつだ。

僕は蔦珈琲店に初めて訪れた時のようにカウンターへ座った。紅い縦長のメニューを差し出され受け取り開くと余り喫茶店のメニューでは見た事がない美しいフォントで書かれた文字列を見てまず最初の衝撃を受けた。

珈琲学校の教えはこうだった。
「メニューは見やすい文字と写真を添える事が好ましい。写真があると無いとでは売上は全然変わる」
目で食欲を掻き立てる。間違い無いだろう。

しかし僕は眞踏珈琲店のメニューを見てその学校から教わったイメージを覆された。勿論、眞踏珈琲店のホームページを見れば美しいメニューの写真は掲載されている。
しかしこういう直接的に「与える驚き」もあるんだ。。
「文字から珈琲の香りが漂ってくる」
写真は商品の美味しさを伝えるもの。
美味しさを伝える方法は文字でもできる。
なんて美しい手法なんだと思った。

僕は気になるメニューをはじから頼んだ。
琥珀と呼ばれる名前の美しい看板メニューの珈琲。
眞紅という気品に満ち溢れる高濃度抽出のデミタス。
レアチーズケーキにカレーライス。
全てが『作品』だった。動機がおさまらなかった。
『メニュー、文字』
『珈琲を淹れている人の所作』
『暗いが美しく挿し込むように演出された灯り、内装』
『美しいカトラリー』
そして『味覚に刺さる美味さ』
全ての美しさが足し算ではなく全てがかけ算で答えの出た『このお店がオーナーの芸術作品』のようだ。。

自分がただやりたい事だけを詰め込むのではない。自分が美しい、良きとする物を計算して構築してお店を作るんだ。そうするとこんなにも魅力的なお店ができるんだ。

僕はこれから『眞踏珈琲店』の虜になって行く事になる。

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