見出し画像

『うらみ』という感情を10年追って見えたもの(2)

目次
『うらみ』という感情を10年追って見えたもの(1)
『うらみ』という感情を10年追って見えたもの(2)
『うらみ』という感情を10年追って見えたもの(3)


恨みとは

過去に他からの仕打ちを不満に思って憤りを感じ、その憤りがずっと続いている感情。

そこでわたしは、恨みを感じている人50名を、10年に渡って追跡調査をしました。

まず最初に驚いたのは、記憶の正確さ。

画像1

例えば、

あの時、母親に助けてほしかったのに、冷たい言葉で突き放された。

こういう恨みを感じている人に、1年後にまた聞くと、

一言一句違わない描写が返ってくるのです。

「わたしがこう言ったら、母はこんな表情で、こんな口調で、こんな言葉を言った」

その日の風景、服装、臭い、それらまで明確に覚えているのです。

2年後、3年後、10年後、何年経ってもその描写が1ミリも違わないのです。

いったいこの恨みはいつまで続くのか。

いつ終わるのか。

ずっと恨みに思っていたことを、ある日母親にカミングアウトして、

母親が「そんな辛い思いをさせていたなんて、ごめんなさい」と謝っても終わらないのです。

そういうことじゃない! と、心が叫ぶ。

いつまでも母親のことが許せない自分が嫌で、でもどうしようもない。

その恨みは、その相手がこの世を去っても消えないのです。

いつ終わるのか。

画像2

50名を10年追い続けているうちに、そのうちの何人かの恨みが消えたのです。

その人たちにはある共通点があったのです。

それは、

冤罪の証明。

画像3

あのころは理解できなかったことが、今なら分かるということがあります。

子どもを産んだことで知った感情。

子育てで発生する時間やお金の問題。

人生を重ね、たくさんの経験や知識を得ることで、過去の出来事の認識が変わるのです。

ああ。あの日、母は悪いことをした訳ではなかった。

あの日、母はああするしか方法を知らなかったのだ。

そして、わたしは愛されていた。

感謝 ありがとう

恨みの記憶を残す理由それは、

今は相手の冤罪を証明する経験や知識がないけれど、

いつかそれを証明できる経験を積んだ時、ちゃんと現場検証できるように、

その場面を正確に残しておくためだったのです。

事故の現場保全のために張る黄色いテープのようなもの、それが恨みだったのです。

現場 ダイニングメッセージ

母親が何度謝っても赦せなかったのは、もしそこで赦すということは、母親が悪いことをしたということになってしまうから。


わたしに託された遺言は、

「わたしは、お母さんの冤罪を晴らすための情報を、死ぬまで探し続けたよ」

ということだったのです。


彼女が亡くなってから10年後。

わたしはこの遺言をお母さまに届けにいきました。


つづく





読んでいただけて嬉しいです(*^-^*) サポートよろしくお願いいたします!